マロリー・シリーズ第七作。ニューヨーク市警の刑事キャシー・マロリー。相棒で養父の友人でもあったライカーは四発の銃弾を受けて傷病休暇中。警察への復帰をしたがらないライカーを何とかしようとする健気?なマロリー。そこにジョアンナ・アポロというせむしの女性が現れる。ラジオではショック・ラジオなる番組でイアン・ザカリーなる男が陪審員狩りを行う。オコンネルの作品は読み進めていかないことには、何が起こっているのかも、よく分からない。今回はチャズールズは脇役で、ライカーとマロリーの物語。ライカーが守ろうとするもの、マロリーが守ろうとするもの。そこに謎が次第に明らかに、そして深くなっていく。こんなにマロリーが必死になり、いらだちを示して奮闘する姿は…。マロリー物として☆☆☆☆ほ。
主人公は中規模のゼネコンに勤めて三年目の平太。生コン流し込みの時にタバコを投げ入れた下請け作業員を殴りつけるという少々行き過ぎ熱血漢が、マンションの建設現場から本社に異動、業務課へ。次期社長と目される尾形直轄で、課長と一見いい加減に見える西田ら。建築と土木という二本柱、土木で稼ぐというゼネコンの体質。公共事業の談合、それを仕切る人々。そこに平太の恋物語と青年の成長物語が絡む。西田というのがなかなかいいが、本筋とはやや遠く、談合の天皇は少々出来すぎで。池井戸小説の中では☆☆☆ほかと。