トム・クランシーとの共作をした軍事アナリストから小説家となったボンドのデビュー作。北朝鮮が突然に南に向けて侵攻を開始する。金日成の末期、金成日が権力を握ろうといている頃の話。韓国では軍事政権に対して学生運動が盛り上がり、政情は不安な状況に。そこに付け込んだのがアメリカの下院議員とそのスタッフ。議会を巻き込み、政情不安な韓国からの米軍の撤退を画策する。そこに侵攻が始まった。マクラレン米韓連合軍司令官、ブレーク・ファウラー国家安全保障会議のスタッフ、ケヴィン・リトル陸軍予備役少尉、金成日、趙陸軍司令官…。米、韓、朝、ソ、中の多くの人々の視点から物語は展開。これがなかなかハラハラして面白い。ケヴィンと李の成長物語など味がある。ちょっと終盤が駆け足で拍子抜け感もあるが、☆☆☆☆としとこうか。
英国正当冒険小説と帯にあったのは確かに。2001年のオーストリアで1台の車が水中から引き揚げられた。そこから始まるのは第二次世界大戦でレジスタンスで戦った自動車レーサーの物語。フランス人レーサーのロベール・ブノワ、イギリス人でフランス人の母を持つウィリアムズ。車に命をかけた男達が戦火の中、ウィリアムズはSOEの工作員としてフランスに、ブノワはレジスタンスに加わって戦いに。ウィリアムズの妻イヴを中心に描かれる。その登場人物の多くが実在の人物かそれをモデルとした人物で、活動も史実がベースといから驚きである。こちら5部作の第1作というが、これしか手元にないのがちと残念。☆☆☆☆。
『アンダードックス』のロブ・ライアンの日本第二作。不思議な物語である。アトランティック・シティとニューヨークの間にある架空の町コッチフォード。そこに生まれ育った少年たちは「アーリー・オー」で遊んでいた。「警察・泥棒」のようなゲームで二チームで対戦。留置所を決め、そこに捕虜を収容。留置所を襲撃し「アーリー・オー」と叫べば解放となる。その遊びが禁止され、そこで事件が起き、少年たちは刑務所(少年なのに)、少年院に送られる。それから数十年。それぞれが年を経ていた時に、再び偶然の邂逅。そこから事態が一気に展開する。と書いてみたが、かなり無茶苦茶な展開で、なんとも、かんとも。☆☆☆。