佐方貞人シリーズ。四話収録。検事編。「心を掬う」「業をおろす」「死命を賭ける」(「死命」刑事部編)「死命を決する」(「死命」公判部編)。相変わらずの鋭い直観と、えぐるような調査。それによって検事としての正義を行く。「業を…」では『検事の本懐』の続編にもなる。佐方がどのようにした佐方となったのか、そして佐方がどうして…。プロットとてもいいです。☆☆☆☆ほ。
『臨床真理』で第7回このミステリーがすごい!大賞受賞した柚月裕子の第二作。『検事の本懐』を先に読んだので順番が狂った。とは言え、検事時代を読み、その後の弁護士時代へとなった次第。法廷ミステリーと言えば言えるが、絶対先に読んではいけない「解説」にもあるように法廷ミステリーの範疇を超えるような。冒頭の緊迫した場面があり、弁護士としての佐方が登場し、場所は『検事の本懐』の舞台となる米崎という地検にいた頃の町。かつての上司の秘蔵っ子が相手と舞台はそろったという感じ。人間の愛情、家族というもの、それがミステリーの背後に流れる。途中で筋を読み切ったと思ったら、どかんときた。この作家、なかなか。新たな脇役も登場させており、今後にも期待。☆☆☆☆ほ。