団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

大津の保育園児の交通事故とドライブレコーダー

2019年05月13日 | Weblog

  5月7日の朝、いつものように車を運転して妻を駅に送った。左手の包帯グルグル巻きの人差し指でハンドルに触れないように気をつけて運転した。駅で妻を降ろし、家に向かった。T字路の交差点の信号でのことだった。私の前に1台、信号が赤で停まっていた。信号が青になった。見通しは良い。注意深い運転手なのだろう。右左に首を振って安全を確かめていた。T字路の左側の車線に車が停止していた。その時だった。一台の白い車が停止している車を反対車線に出て追い越しT字路交差点に入ってきた。私の前の車はゆっくり動き出していた。とっさに急ブレーキを踏んで停まった。その違反車はエンジンをふかして更にスピードを上げて走り去った。前の車も私も寸前のところで事故を回避した。(この画像はドライブレコーダーの映像を撮ったもの。信号は青。私の前の車はすでに停止線を超えて交差点に入ろうとしていた)

 家に戻っても釈然としなかった。私の車にドライブレコーダーが付いている。そうだ、その録画を調べて、記録が鮮明に残っていたら、交番へ持っていって、あの無謀運転の車の運転手を告発しようと決めた。いまだかつて一度も自分の車につけたドライブレコーダーを再生して見たことがない。良い機会だ。10時過ぎに私はまず車を買った販売店へ行った。店の人から再生の方法を教えてもらった。家のパソコンで5月7日の録画を再生した。このドライブレコーダーは、車のエンジンがかかっている間稼働する。驚いた。私と妻の7日の駅へ行く会話がばっちり入っていた。妻が私のクダラナイ冗談に「ハッハッハ」と笑う。恥ずかしい。いよいよ駅から家に戻る画像。例のT字路に来る。すべて写っていた。

 私は交番へ行った。警察官の格好をした男性に話し始めた。彼が言う。「警察官に話してください」 私はこの人警察官じゃないの。交番の奥へ部屋からガタイのしっかりした如何にも警官という人が出てきた。私は7日の朝交差点で見た無謀運転の話をした。警察官の答えは、映像証拠があっても一般人がその人を告訴することはできない。それができるのは警察官が実際にその現場に居合わせて告発するしかない。最後に「私たちもその運転手に気をつけておきます」とありきたりの言葉で締めくくった。

 その次の日、5月8日、滋賀県大津市で琵琶湖湖畔へ日課の散歩に出かける途中だった保育園児の集団に車が突っ込んだ。2人の園児が亡くなり、一人がいまだに意識不明の重体である。むごい。まだ2歳である。5月5日の子供の日が終わったばかり。5日に餃子パーティをやった。その中に2歳の男がいた。可愛い盛り。言葉もまだ赤ちゃん言葉。私も童心に帰り一緒に遊んだ。自分の子供がまだ2歳の頃を思い出しながら、相手した。2歳。私は71歳。私が今日まで経験してきた、良いこと悪いこと悲しいこと楽しいこと不味いもの美味しいもの叱られたこと褒められたこと、2歳の犠牲になった子供は経験することなく事故で殺されてしまった。このような悲劇が起こると「二度と……」という記事が出る。この考えが私を更に落ち込ませ鬱々させる。

 日本は少子化で国家の存亡の危機にある。それなのに毎日というように年寄りが引き起こす事件事故に巻き込まれて幼い命が失われる。少子化の中、生まれた命を守ってあげられない。私には理解できないが、すべては偶然の重なりのように思える。あの時間にあの場所にあの人があの車があの信号が。人間は完全ではない。間違いを犯す。人間はいろいろな法律や規則を作って自分たちの間違いを減らそうとする。現代社会は自分たちが作った規則規制にがんじがらめにされ、身動きが取れなくなっている。

 ドライブレコーダーという最新機器を使いながら、画像に残された不正や無謀が野放しにされている。医学に予防医学がある。その目的は「病気になってしまってからそれを治すことより、病気になりにくい心身を作る。病気を予防し、健康を維持する」 これを「事故や事件が起こってしまってからそれをなくそうとするより、事故や事件が起こりにくい社会を作る。事故や事件を予知して、安全を維持する」に変えてみた。 ドライブレコーダーは、予防のひとつになる。

 私は何もできない。それがつらい。亡くなった伊藤雅宮ちゃん、原田優衣ちゃんを想い、線香をあげて手を合わせる。そして意識不明で重体の園児の回復を祈る。

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