団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

ISとトヨタ車

2015年10月13日 | Weblog

  イスラム過激組織「イスラム国」ISがトヨタ製の車両を使用しているとアメリカの財務省が調査を始めたというニュースをテレビで観た。

 以前から私はテレビの画面に映るISが何台も車を連ねて行進するのを観ていた。車はほとんどがトヨタ製だった。なぜトヨタ製と判ったか。その映像はISの宣伝ビデオで映像のプロが作成したに違いない。彼らがトヨタ車を使っているのには不快感を持つ。映像が鮮明で構図もいい。ちょうど赤い夕陽が車列を照らす。車のエンジングリルに取り付けられたトヨタのマークが光り輝く。通り過ぎる車のほとんどがトヨタ車である。トラックタイプの荷台には機関銃などの武器が設置されていた。大勢のIS要員が窓から身を乗り出し、荷台の上で気勢をあげている。

 おそらくアメリカでもこの映像は何度も多くのテレビ局で放送したに違いない。光輝くトヨタのマークを面白くないと感じた政府関係者もいたのだろう。トヨタはアメリカでもう何回もバッシングを受けてきた。今回の財務省の調査もイチャモンとしか思えない。大人げない気がする。アメリカの法律や常識がどこにでも顔を出す。トヨタ車は一般車両であって戦闘用ではない。もし戦車がトヨタ車と戦闘対峙すれば、トヨタ車はひとたまりもなく木端微塵に粉砕される。アメリカはISを全滅させると言うが、陸上部隊を送り込んでいない。空爆や武器弾薬をISと戦う軍や組織に供給するのみである。

 いまや中東はアメリカ、ロシア、フランス、イラン、トルコを巻き込んで大宗派戦争に突入した。国家が存在しても国内は宗派によってグシャグシャである。アメリカはスンニ派のISとシーア派のシリアのアサド大統領を攻め、スンニ派の自由主義シリア組織を援護する。ロシアはスンニ派のISを攻め、シーア派のアサド大統領を援護し、スンニ派の自由主義シリア組織を攻める。シーア派のイランはスンニ派のISを攻め、シーア派のアサド大統領を援護し、スンニ派の自由主義シリア組織を攻める。フランスはアメリカに協力して空爆を助ける。サウジアラビアはスンニ派、トルコはスンニ派が大多数。今ドイツを目指す中東からの難民をなぜ中東諸国が受け入れないのか。宗派がその原因だと私は思う。

 以前リビアへ行った時、自動車販売会社の現地事務所で働く日本人からこんな話を聞いた。カダフィは4輪駆動車を輸入禁止にしている。カダフィの命を狙う者が4輪駆動車を使うことを防ぐためであると。また私は2013年2月26日のブログ『トヨタランドクルーザー』で多くの砂漠がある国でトヨタのランドクルーザーが「鉄のラクダ」と呼ばれていることを書いた。ISがトヨタ車を多く使っているのも中東のアラブ諸国での砂漠の走行にトヨタ車の評判が良いからであろう。アラブ諸国は宗派によってバラバラになっているかに見えるが、文化は似通っている。

 今回のアメリカの財務省による調査にトヨタは「中東における国際的な供給網や資金、物資の流れに関する財務省の広範な調査を支持している」と声明を出した。最近のトヨタに大企業病が猛威を振るっていると私は感じ心配し始めている。ソニーやシャープの二の舞を踏むことのないよう、またVWの過ちを繰り返さぬよう心からトヨタを応援したい。

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