夏場所の12日目突然7勝6敗で勝ち越し目前で、大関朝乃山が休場した。怪我でもしたのかと思った。今場所、朝乃山は最初から精彩に欠け、何か物足りなかった。夫婦で朝乃山をずっと応援していた。富山県出身力士であることや、妻の甥っ子に顔立ちが似ているのも一因だった。休場の理由は、週刊誌にキャバクラ通いの記事が記載されたが、相撲協会の調査に事実無根と、答えたことが発覚したからだった。つまり嘘をついたのである。
ちょうど朝乃山の嘘休場の頃、私も嘘を疑われていた。コロナ禍で買い物を控えているので、高島屋の積立金でオンラインショッピングを利用している。パソコンから注文でき、宅急便で商品が届く。気仙沼の石渡商店の『ふかひれ凝縮スープ』を3箱注文した。数日後にクロネコで商品が届いた。この商品はすでに4回購入している。いつも3箱注文していた。届いた荷物がいつもより軽かった。開けた。1箱分の3袋しか入っていなかった。高島屋のオンラインで問い合わせた。翌日電話がきた。「もう一度一箱だったか確かめていただけますか?」 疑っているようだった。でも確かめようがない。1箱と3箱どうやって電話で相手に証明できるのか、こっちが尋ねたい。これって信号のある交差点の交通事故でよく自分の方が青信号だったと言いあうのと同じ。今はドライブレコーダーがあるが、以前はこれでもめたと聞いている。「発送元に問い合わせてみますので、わかり次第お電話します」
次の日、高島屋オンラインショップの別の女性から電話が来た。「発送元では確かに3箱送ったそうです。」 これには返す言葉がない。新手の詐欺かと思った。高島屋の積立金ローズサークルからは、3箱分の料金がすでに引かれている。でも届いたのは1箱。これなら利益は2箱分。今回は諦めようと思い始めていた。自分が年とってきて、いろいろな事に過ちを犯しやすい。今度の事も、きっと私の老化のひとつの症状なのだろう。しかしこれは完全犯罪とも言える。3箱注文して1箱しか届かなくてもそれの証明方法がない。一方は送ったといい、他方は受け取ってないという。運んで届けてくれたクロネコにも証明できない。クロネコに中身などわかるはずもない。高島屋は大企業。出品している企業は下請けのようなもの。ただ高島屋はそのブランド力で客から注文を取り、下請けの出品業者から上前をはねる。
3日後、高島屋から電話。「発送元で調べたところ、1箱しか発送してないとわかったので、後の2箱今日発送したそうです。ご迷惑をおかけいたしました。」でもその言葉に心を感じなかった。 最初から私は“事実無根”と訴えた。でもそれを証明できなかった。2日後、残りの2箱が届いた。中に詫び状くらい入っていると思って、開けた。ただ商品しか入っていなかった。
贔屓力士の朝乃山の嘘は、暴かれた。でもふかひれスープの私への疑惑は完全に払しょくされたのか。一連のやり取り、商品の受け取りから、割り切れない思いが残る。信用とか信頼、慎重とか念には念を入れて作業する風土は、日本から消えたのだろうか。絶対そんなことあるはずがない。しばらく届いたふかひれスープを口にすることはないだろう。