団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

『コバエがポットン』とツバメとコウモリ

2015年04月30日 | Weblog

  寒い寒いと家の中に籠る日がこの冬は多かった。3月になってやっと冬が終わると思っても天気が不安定で4月の日照時間は記録的に少なかった。3月末桜が咲き花見を楽しんだというのにその後冬へ逆戻りしたような天気が続いた。一歩前進、二歩後退を繰り返して季節は巡る。どんなに天候が不順であっても動植物を見ていると生命力が感じられる。

  アオサギの雛たちも松並木の松のてっぺんの巣で順調に育っている。山の木々の芽吹きも進み緑色も安定してきた。川にも鮎が放流され時々魚影を見る。私は子ども頃から川面がぬるくなる季節が好きだった。

  最近散歩中ツバメがよく目に入る。ぬるまった川面でたくさんのツバメが水浴びしたり水を飲んでいるのを見る。明るいうちはツバメが飛び交う。カラスもスズメもメジロもセキレイもいるが、ツバメの飛び方はずば抜けている。急上昇、急降下、急転回。自由自在に空を翔る。弾丸のように速度がある。羽をバタバタさせない。滑空する。時速50キロは当たり前で、時速200キロを出すことさえできる。ツバメが飛ぶのを見るのは痛快である。

  東京駅など乗降客の多い駅では、ゴロゴロとキャスター付きの旅行ケースをひいている人の急な立ち止まり、急転回でケースをぶつけられたり、靴を轢かれることがある。また携帯電話を使いながら歩いている人との接触も増えた。急停止、急転回はツバメ並だがそれを回避する能力が悲しいかな人間にはない。

  夕方妻を駅へ車で迎えに行って家の近くに来ると、今度はコウモリが飛び交う。車スレスレに多くのコウモリがツバメ並の見事な飛行を展開する。はじめはツバメって暗くなっても飛べるのかと感心していたが、よく見るとコウモリだった。餌の翅虫をめがけて縦横無尽に飛び交う。ツバメもコウモリも飛び方がよく似ている。餌の虫を捕えるため一点集中真剣である。人間は“ながら”行動をとれる能力もないのに一度にいくつものことをなそうと欲張る。

  コウモリを見るとネパールのオオコウモリを思い出す。高い木の上にたくさん逆さにぶら下がっていた。今回の大地震のニュースの映像で鳩やカラスが空を飛んでいるのを観た。人間にも空を飛べる事ができたら今回のような地震でも逃れられる可能性が高かったのではないだろうかなどと考えてしまう。あのオオコウモリはどうなったのだろうか。

  人間は空を飛ぶことはできないが、家族や親族が助け合うことはできる。カトマンズから45万人もの人々が地方の家族親戚を頼って避難したという。ネパールは農業国である。貧しくても食べ物にあまり不自由しない。頼りにならない政府を見切って生きぬく術を模索する生命力に感嘆。オオコウモリもきっと無事避難したに違いない。

  キンチョー『コバエがポットン』のコマーシャルで『嫁さんが出て行きました。 荷物ぜーんぶ持って。でも台所に「コバエがポットン」残ってて。 うわ、めっちゃ捕れてるやん。 気持ちがちょっとは、楽になりました。良かったですねえ。キンチョウ コバエがポットン』とあった。コバエには残酷な話であろう。しかしこの裏に人間の生き物としての本音が隠されている。私の経験と重なる。辛い苦しい時期であっても人間も生き物で、生き物に囲まれて生きていることが無性に嬉しいことがある。生きながらえている者には無念にも犠牲者になってしまった人々に対して責任がある。命を粗末にしない事である。そして、できる範囲で真剣に一点集中して目標に向かって生き、他人の迷惑になるようなことをしないと心掛けるのもそのひとつではないか。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ネパール大地震 | トップ | ゴールデンウィークと湘南ゴ... »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事