団塊的“It's me”

コキロク(古稀+6歳)からコキシチ(古稀+7歳)への道草随筆 2週間ごとの月・水・金・火・木に更新。土日祭日休み

安倍首相の英語 高校生よりひどい?

2015年05月22日 | Weblog

 4月末に安倍首相は日本の総理大臣として初めてアメリカ議会上下両院において英語で40分間の演説を行った。

 ネットには多くの意見が飛び交った。民主党の小西洋之議員が自身のツイッターで「単語を読み上げているだけ、高校生よりひどい」「日本国の国会議員として、この上なく米国議会に恥ずかしいし、この上なく申し訳ない」とつぶやいた。もともと英語のtwitterは「鳥のさえずり」や「おしゃべり」を意味する。動詞のtwitは「なじる」「からかう」なのだからツイッターで何を呟いても勝手である。

 私自身カナダの学校でスピーチの授業では苦労した。高校のスピーチのクラスで日本から来た英語の下手な私を指導したランディーン先生が授業で宿題のスピーチを私が発表する前にクラス全員に向かって言った。「いいですか、スピーチはスピーチする人だけの技術ではありません。聴いている側にも技術が必要です。カナダにはいろいろな国から移民してきた人々が住んでいます。その人たちが話す英語は、発音、抑揚、語彙において母国語の影響を受けてさまざまです。だから聴く側は、自分が持つ知識を総動員して理解しようとしなければいけません。それがスピーチを聴く技術です」 私のスピーチは小学生どころか3歳児よりひどかったと思う。しかしクラス全員が耳を澄ませて私の3分間のスピーチを聴いてくれた。終わると拍手までしてくれた。アメリカも移民の国である。アメリカ議会の議員たちの多くは、ランディーン先生のいういろいろな人が話す英語を聴く技術を持っているであろう。ランディーン先生は「スピーチで一番大事な事は、自分が聴いてくれる人々に何を訴えたいのかの強い気持ちを持つこと。口から発する言葉に自分がこうして訴えられる機会を与えられたという感謝と自信の強さを音声としてこめることです」 安倍首相は、通訳を使わずに自らスピーチを行った。日本の首相のさきがけとなった。そのことが一番重要である。もし安倍首相が自身で「自分の英語はまだまだだな。これから日本の学校での英語教育にももっと力を注がなければ」とでも思ったなら日本の英語教育にも大きな前進である。

 最近、興味深い記事を読んだ。「アメリカのヒット曲の歌詞の読解レベルは小学校3年生程度である」とアメリカの会社が2005年以来の225曲を調査して発表した。私は英語を習いたいなら好きな歌手の曲を何回も聞いて自分で歌えるようになってからその歌詞を勉強することを勧めてきた。自分の好きな曲なら何回でも繰り返して聴ける。英語を母国語としない外国人が英語を学習するなら、小学3年生程度は理想的である。ラジオやテレビで“過払い金”のCMと同じくらい頻繁に流される“プロゴルファーの石川遼選手も学んだ”と宣伝する英語教材もいいのだろうが、わざわざ高い教材を買わずとも家にあるCDやレコードで十分である。

 知人がAFSの交換留学生として渡米した時代のヒット曲を2枚のCDにして送ってくれた。知人は留学先の高校の同級会に参加した。その記念にと留学していた1961年から62年のヒット曲を集めて幹事委員会が作成したものだという。聴いてみた。懐かしい。そして「アメリカのヒット曲に使われている英語の読解力は小学生3年生程度」に納得する。年代はずれているが大した違いはない。ヒットしたというのだからアメリカの一般大衆の支持を得た証拠である。であるならば話されている英語もそのレベルと言える。英語を学ぶ者には朗報である。

 私もなじったりけなしたりする。しかしそれは密室だけの楽しみとしている。天に唾すれば自分に落ちてくるのを嫌というほどよく知り納得しているからである。

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