団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

美声、声質

2015年10月05日 | Weblog

  9月30日水曜日の夜だった。悲しい現実に落ち込み気味だった私はテレビの前にいた。歌声が聴こえてきた。美しい声だった。以前妻が言った。「最高の楽器は人間の声」 私は姿勢を正して画面を観た。

 日本テレビの『のど自慢 THE ワールド』という番組だった。歌っていたのはチリから参加した高校生のマカレナ・グアハルトさん。曲はZONEの『SECRET BASE 君がくれたもの』だった。曲名はチンプンカンプン、聴いたこともない知らないものだった。しかし声が美しい。音楽の才能はからっきしない私である。そんな私の身体を突き抜け心にしみわたるような綺麗な声だった。マカレナさんが歌い終わった。審査員の小室哲哉さんが言った。「大好きな声。大好きな声質」ミュージシャンの彼がそういうのを聞いて嬉しくなった。鈍感な私も同感できた。

 それにしても参加者はみなどうやって海外に住んでいて日本の曲を手に入れ聴いているのだろう。意味の分からない日本語の歌詞にどう気持ちを込めて歌うことができるのだろう。自分が疑問に思ったことをテレビやラジオに出演している人が、即、私に代わって相手に尋ねてくれると嬉しくなる。インターネットの普及が貢献しているのだ。世界のどこにいても瞬時に音も画像も手に入れることができる時代。参加者の多くは学校で日本語を学んでいない。ましてや日本へ留学もしていない。たまたま目にして耳にした日本のアニメ、歌手、俳優、曲、声に魅入られたことをきっかけに独学で日本語や日本の文化を学ぶ。インターネットの恩恵もさることながら、結局は個人の飽くなき憧れや惚れこみが努力の後押しをする。

 私が音痴なのは、耳が悪いからである。もちろん頭が悪いから耳も悪いのは当然である。耳が良いと語学の習得に役立つ。オペラ歌手や声楽家は外国語が上手になると聞いたことがある。音楽家は音感がいい。“絶対音感”という言葉を聞くと私なんぞはひれ伏したくなる。ピアニストの辻井伸行はまさにそんな存在である。

  音感も大切だが、さらに声質も重要である。イタリアの女性歌手フィリッパ・ジョルダーノが私の「大好きな声。大好きな声質」だ。映画『マンマ・ミーア』のアマンダ・サイフリッドの声もいい。

  このブログを書斎で書いていると、台所から妻の鼻歌が聞こえてきた。妻は流しで洗い物をしているのだろう。水道の蛇口から勢いよく水が流れている音がする。そうだ忘れてた。私が一番好きな声、声質は妻の声なのだ。機嫌がいいのだろう。妻が笑ったり歌ったりするのを見たり聞いたりするは嬉しいものだ。この1週間、私は心配で押しつぶされそうな時間を過ごした。重大決心もして、実行に移した。妻はそのことを知っている。それなのに台所で鼻歌を口ずさんでいる。

  これでいいのだ。私も歌おう、「♪これも馬鹿、あれも馬鹿、みんな馬鹿、僕も負けずに一番馬鹿♪」

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