団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

2019年10月07日 | Weblog

  好きな桃の季節が終わった。固い桃が好き。今年もたくさん食べた。桃が終わると葡萄。葡萄はシャインマスカットがいい。色が好き。種がないので食べるのが楽。皮も食べられる。葡萄と同じ頃梨が出て来る。日本の秋は果物が実に豊富に出回る。嬉しい。旨い。

 以前、京都の料亭で食事した。丁寧なお品書きの最後に“水菓子”とあった。何が出て来るのかと想像した。水羊羹のようなものだろう、と予測した。残念。出てきたのは、梨だった。でも“水菓子”は、いい名だと感心した。さすが京都。

 梨、日本の梨は、海外の梨とは違う。英語で日本の梨は、Japanese Pearが普通だが、Sand Pearと呼ばれることもある。おそらく戦後のアメリカの駐留軍やキリスト教の宣教師たちが、齧った時、砂を噛んでいるようだということでそう呼んだのかもしれない。

 海外で暮らしていると日本の食べ物が恋しくなる。鮨、天ぷら、かつ丼、カレー、ラーメン。私は果物、特に梨が無性に食べたかった。ネパールの市場で梨らしきものを見つけ、小躍りして買った。家で食べようと包丁で切ろうとしたが、硬くて中々切れなかった。味も渋く、日本で子供の頃、野山で採って食べた地梨(クサボケ)の味だった。アフリカのセネガルで梨は見なかった。東ヨーロッパのセルビアには洋梨がたくさんあったが、日本の梨はなかった。当番制の買い出しでオーストリアのウイーンの市場で日本の梨を見つけた。でもその梨には「Nashi Korea(韓国)」のシールが貼ってあった。リンゴも「Fuji Korea」 やっと見つけて入った鮨屋は韓国人が握っていた。今は韓国では反日の嵐が吹いているが、まだウイーンで韓国の梨、リンゴ、鮨もあるのだろうか。

 四国から人の頭ほどある大きな梨が届いた。新高梨(にいたかなし)という品種だそうだ。長野県の伊那からは長十郎、店で先日買った二十世紀もある。加えて洋梨とアボカド。5つ並べて写真を撮った。梨を口に入れて、歯で噛む、シャリッという。その後、みずみずしい果汁が流れ出る。スイカも同じ感じだが、シャリッの感じが違う。アメリカ人が言う砂を噛む感じは私にはない。シャリッは快い。

 日本ではラ・フランスを筆頭に西洋梨も普及してきた。以前、西洋梨は、日本でワールドカップが開かれる前のラグビーのように知られていなかった。いまやラ・フランスは、良く知られた果物である。本来、洋梨はデザートとして調理される果物である。しかし日本では生食が普通。ラ・フランスという梨の品種は、フランスにはないというのも日本らしい。

 妻はアボガドが好きだ。私は妻ほど好きでない。アボカドはメキシコ原産で英語名はAlligator Pear(ワニナシ)。形は梨(西洋梨)皮はワニの皮のよう。Avocadoアボカドは、アステカ語で“ふぐり”を意味する言葉が語源。

 メキシコで麻薬カルテルは、取り締まりが厳しく麻薬で稼げなくなり、今やアボカド産業にかつての麻薬カルテルが手を出しているという。彼らはアボガドをGreen Gold といまや呼ぶ。まさにアボカドの木は、金を生む。

 カルテルと言えば関電と高浜町は原子力カルテルではないだろうか。麻薬も原子力も使い方によっては人間を破滅に追い込む。メキシコのアボカドカルテルは武器を持ち、アボカド農家の人々を脅し誘拐して略奪を繰り返す。日本では利権を握ると、狡猾に金を掠めとる。両方のカルテルに言いたい。「おぬしも悪よのう」と。

 梨を旨い旨いと食べているだけならカルテルとは無縁でいられる。海外であれほど食べたかった梨が手の届くところにある。幸せである。

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