団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

小中高一斉休校

2020年03月06日 | Weblog

  地元に私が注目している小中学生が3人いる。土日祭日休暇中、散歩中その生徒たちと時々すれ違う。一人は女子中学生。もう二人は似ているのでたぶん兄弟の小中学生。女子は腕の時計を気にしながら坂道を颯爽と走る。長距離の選手か?男子は競技用の自転車に乗っている。この3人を昨日木曜日なのに見かけた。一斉休校!真剣に黙々と練習をしていた。彼らにとって一斉休校は、自身のトレーニングの絶好の機会ととらえているかのように思われる。

  今回の新型コロナウイルスの感染が拡がる中、安倍首相は2月27日全国の小中高に一斉休校の要請を出した。私は要請そのものに反対しない。このような人類に危険を与える未知の伝染病に対して最悪の事態に備えて先手先手で責めることはこれからも実行して欲しい。

  だが私が恐れていた通りに、街で多くの子供たちを見かけるようになった。普段、私が住む町で登下校する小中学生以外、子供を見ることは稀である。テレビのニュースで東京の竹下通りや渋谷には多くの中高生が押し寄せている様子が映った。他でもカラオケやゲームセンターは子供でいっぱいだという。最初に書いたようなスポーツや勉強に打ち込む生徒は少数派なのだ。「暇だ」「やることがない」「友達と一緒にいたい」 たむろする。群がる。これが多くの生徒がすることだ。

 今回の安倍首相の要請に驚いた。最悪の事態を想定しての事だとは思う。しかし極端、性急、丸投げしすぎで説得力や指導概念に欠けているのが残念である。

 私はもしこの事態が私が十代後半から二十代前半を過ごしたカナダの家庭ならどう受け止めたか考えてみた。親の多くは喜ぶであろう。特に農家は、家族で仕事を切り盛りしている。家畜の世話、乳しぼり、畑での農作業、納屋の整理。子供も親を普段から助けているので、当たり前のように手伝うに違いない。農家でなくても、家のペンキ塗り、壁紙の張替え、床のワックスがけ、母親の保存食づくりなどの家の仕事を手伝わされる。日本の子供の多くは、中国の小皇帝に負けないくらい過保護で家事を手伝う子どもは少ない。今回の一斉休校は日本の家庭にとって子供に手伝ってもらえる機会でなく、厄介者であることが悲しい。働き方改革も必要だが、それ以前に家庭生活改革も必要だ。父親の働き中毒、会社人間のあまり、家庭のことは妻に任せ。妻も共働きすれば託児所もない会社で、母親であることを考慮されない環境で働かざるを得ない。女性が活躍できない国に未来はない。

 新型コロナウイルス感染の緊急事態は、私たち日本人にとって考え方を変える良い機会である。一斉休校より教育訓練の場として学校を活用するべきである。学校で教科書を学ぶことを脇においてでも、新型コロナウイルスについての学ぶべきである。子供達の将来において、もっと変異したウイルスが蔓延するかもしれない。今回のようになすすべもなく、後手後手な他人任せの責任逃れのような施策は通用しない。未知のウイルスを恐れるだけでなく、対処する勇気を知育し体験させることも重要である。子供が防護服を身につけて校内の消毒を経験するのも将来きっと役に立つ。学校は受験のためだけの機関ではない。ましてや託児所でもない。子供には大人にない遠慮のない発想がある。耳を傾けたい。

 もう一斉休校は取り消せない。ならば小中高生に進言したい。普段読めない大作名作の本を読め。映画(『コンテイジョン』、『アウト・ブレイク』、『風をつかまえた少年』がお勧め)を観ろ。料理をしろ。家事を手伝え。家の補修、掃除をしろ。

 昨日、私は綿棒とタオルを使って1時間かけて電気炊飯器をピカピカにした。テレビの裏のゴチャゴチャで埃だらけの配線を整理して束ねた。トイレの便器もこれでもかというぐらい磨いた。包丁も12本丁寧に研いだ。コロナが去れば、きっと家の中はピカピカ!


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