備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

余韻が続く

2009-02-22 10:58:58 | Weblog
ドゥダメルの余韻が続いている。

ユースオケながら弦の一音一音がクリアな粒々感。硬質感のあるそれを未熟と見るかどうかで好みが分かれるだろう。どんなに細かい音になってもしっかりと縦のラインが揃う。安易に流さないでしっかりと全体の輪郭を形作る。そして、管楽器は倍管編成。無理せずに大きく鳴らす為ではない。あくまでも倍の力を得る為。ひと頃のアメリカのオケのような鳴らし方だ。でも細部まではっきりとして、やっつけな薄っぺらな印象にはならない。指揮者の裏拍までも振ろうとする手の動きに音作りのあり方が伺える。良く訓練されたオケ。

一方で、音量の変化やニュアンスには欠けるし、チャイコの音の長さへのこだわりが表現できているかとなると…。

でも、「このオケは細部を聴くべきでない」という第一印象を再確認した。

情熱がほとばしり、会場との一体感をテレビでも感じる。
名演奏の時の演奏後の拍手は、息を吐く半拍分遅れて、一気にマックスで沸き起こる。まさにそれ。ブラボー屋でも出遅れる人がいるぐらい。「 ッ!ブラヴォ~!」圧倒された感。その後は、地響きのような拍手が止まない。
個性的で本気の音作り。最大公約数的なラインは端(はな)っから狙っていない。そこが凄い。

久々に「おぉ!」とテレビでさえ思えた。最後までグイグイと惹きつけられる。
アンコールの『マンボ』は最初の数小節で、もう客席がうねっている!『マランボ』では、ここは日本か?という客席のノリ。良いなぁ。
聴いたり演奏するのに、『かしこまり』なんていらない!という強烈なメッセージ。ドレスコードのあるあの国のあのホールではどうなるのだろう?

ベルリン・フィル相手では、流石にオケの力に余裕があり、お互いにもっと違う色が引き出せそうな可能性を感じた。今まで見たことが無いようなベルリン・フィルが、そのうちに出てくるかもしれない。

会場に行けた人は本当に一生モン。音楽はその瞬間にそこにいる人しか享受できない。
でも、テレビで見れて良かったと思っておく。それ以上は望めないのだから。


さて、翌日。

かねてより注目していた『たまごかけごはん』のお店『食堂 かめっち。』へ、朝一番に。座席数が15席なので遅くなると長蛇の列となる。

小生は弟子時代に毎朝あまりにも『卵掛けご飯』を食べ過ぎた為に、生卵のコンディションがモロにわかる体質になっていて、結構不便。
鮮度、飼い方、餌、それぞれの因果関係によるのだろうけれど……。原因不明。

ここの卵は鼻に絡みつくニオイはしない。お米(棚田米)も美味しい。見れば大きな羽釜で炊いている。
お客さんは皆、お決まりの『黄福定食 300円』をオーダーする。
ご飯、卵はお代わり自由。味噌汁、漬物が付く。「おいしいからといって、よくばっての食べすぎには注意しましょう」とは本当の事。
食べた後に、なんだか渋いお茶としょっぱい物が欲しくなるのはご愛嬌です。

ローカルならではの鮮度の良い限定素材を上手く組み合わせて、地域個性として売り出す。何でも揃うという真逆のスタンス。全員一致はあえて求めない。


個性的で、余韻を感じるものが続いたこの頃。「 ッ!ブラヴォ~」


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