見渡せばごみー記憶のかなたー
久しぶりの外で
周囲を見回したら
白いおひげで
ある女(ひと)は
腰が曲がり
あんなに
胸をつきだして
誇っていたのに
お酒を買いに
階段を下りたら
よろけて
転げ落ちて
額がぱっくり
表で
起き上がれずに
たまたま通りかかった知らない人に
助け起こされ
救急車で
運ばれた
自分が
何をしているのか
よくわからなくなり
胸に札束を抱き
哀れとも思わず
恥ずかしさもなく
気遣いの女(ひと)は
不機嫌に
なに?
そっちにはいないよ
お知らせすればいいの?
と
優しかった声は
どこにいってしまったのだろう
年月が
引き裂いた
ぺったんこのするめ
味も何もなく
ただのゴムの切れ端
何が変えてしまったのか
他人のことは言えぬ
輝きのうせた目は
しょぼしょぼのまぶた
古い写真と
茶色になった原稿用紙の束を抱えている
久しぶりの外で
周囲を見回したら
白いおひげで
ある女(ひと)は
腰が曲がり
あんなに
胸をつきだして
誇っていたのに
お酒を買いに
階段を下りたら
よろけて
転げ落ちて
額がぱっくり
表で
起き上がれずに
たまたま通りかかった知らない人に
助け起こされ
救急車で
運ばれた
自分が
何をしているのか
よくわからなくなり
胸に札束を抱き
哀れとも思わず
恥ずかしさもなく
気遣いの女(ひと)は
不機嫌に
なに?
そっちにはいないよ
お知らせすればいいの?
と
優しかった声は
どこにいってしまったのだろう
年月が
引き裂いた
ぺったんこのするめ
味も何もなく
ただのゴムの切れ端
何が変えてしまったのか
他人のことは言えぬ
輝きのうせた目は
しょぼしょぼのまぶた
古い写真と
茶色になった原稿用紙の束を抱えている