ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

春の夢

2022-02-08 22:49:49 | 日記
                         春の夢


                    桃色のさくらが咲きました
                    冷たい風と
                    暖かな風の
                    間で
                    揺れています

                      むかし
                      むかし
                      またその
                      むかし
                      むかし
                      生暖かい風の中
                      夢を見ていました
                      こんなふうに
                      物語を書き
                      ちぎった白い紙に書き
                      夢は
                      ちぎれた
                      紙切れ
                      の端っこで
                      風に
                      散っていきました

                      冷たい水溜りで
                      重く
                      暗い底に沈んでいきました

                      溶けない
                      氷
                      紙切れのまじないは
                      そのまま
                      こころを縛り
                      
                      にじむ傷口
                      すり傷は
                      乾くこともなく
                      そのまま

                      かさぶたもできず
                      じくじくと
                      隠して
                      顔を背けて

                      欠けたパズルの1片
                      穴が空いたまま
                      もう埋められないのか

                    春の
                    冷たい風と
                    暖かい風の
                    間を
                    さまよい

                    さまよい
                    覚めない夢をみている
                



                      
                   

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