ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

風は薫らない

2016-05-24 21:39:10 | 日記


               風は薫らない



                     
           風は薫らない
           5月
           沖縄だけ
           梅雨
           湿った風が
           重く
           地を這う


           能天気に
           バラエティーで
           飯食っているだけの奴らには
           5月の
           梅雨の重さは
           わかるはずはない
           なかったことにした数々の凌辱


           1945年
           食糧の配給の列の若い子を
           引きずり
           拉致したという
           その日から
           

           植民地の
           虐げられたものの
           子孫は
           まだ
           踏みつけられたままで


           じゃらじゃらと
           着飾ったやつらには
           わかりはしない


           夕餉に
           白い歯だけのけだものが闊歩する
           恐怖を
           知りはしない


           知らず知らずに
           忍び寄る
           その足音を
           耳の奥底で聞いているのは



           5月の
           梅雨に
           毎年
           毎年
           さらされた
           ものだけさ


           やつらは知らない
           
           
           


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