ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

告別式

2022-01-16 23:28:00 | 日記
                        告別式


                    寒い夜の風の音
                    がたがたと戸を揺する
                    あられの降ったあの日はもうない
                    
                    さよなら
                    こどもの日々
                    小さなおかっぱが手を振っている
                    いがぐり頭の少年は
                    穴だらけで泥だらけのシャツに
                    風をはらんで
                    走り去った
                    急ぎ足で
                    
                    さよなら
                    だけどしばらくは
                    ふたりして
                   
                    大きな顔をして
                    したり顔で
                    説教でもして
                    庭の見える部屋に
                    とどまっていてほしい

                    生きてきた通りに
                    その人生を閉じた

                    残った
                    のこぎりや
                    ペンチを
                    どんなふうに使えばいいのか
                    困ったときには
                    写真を見上げるさ

                    ビールも半分残して
                    あわてて
                    走っていった
                    二人の兄よ

                    ほんとに
                    いがぐり頭のあの時のように
                    あわてもので
                    どじだな

                    あした
                    ビールを二人ぶん
                    
                    その写真の前にささげよう

                    
                    
                    
                    
                    

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