映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

ジェネラル・ルージュの凱旋

2009年03月15日 | 邦画(09年)
 「ジェネラル・ルージュの凱旋」を吉祥寺プラザで見ました。

 確かに、なかなか見応えがある映画だなと思いました。
 “つぶあんこ”氏が☆4つも与えて「良作」としているのは、推測するに、救急医療センターという現在大きな注目を集めている部署の問題を全面的に取り上げることによって、前作に比べてリアリティーが著しく増し、それを通じてこの作品が市場万能主義・効率性重視という方向性を強く批判しているためではないでしょうか〔ただ、“つぶあんこ”氏が、「とにかく詰め込めるだけ詰め込まれたクライマックスの詰め込み感が、緊急事態である現場の臨場感をも表現しており目が離せなくなる」と高く評価するシーンは、私にはかなり冗長に思えましたが〕?

 また、今回引き起こされる殺人事件は、前作の医療過誤の中での殺人と違って、屋上から突き落とすというごくありきたりの手法によるものですから、その意味でも現実的といえるでしょう〔ただ、犯人の告白によって殺人事件だったことが判明する、という程度のインパクトのない小さな事件になっているので戸惑ってしまいますが〕。

 そうなると阿部寛・竹内結子のズッコケコンビの活躍する余地が狭くなって、変な場面も減り、かなり真面目な仕上がりになってしまっているように感じられます〔竹内結子につき「ビジュアル演技ともにヒロインの器にない」と不当にも決めつける “つぶあんこ”氏にすれば、だから良かったというわけでしょう。むしろ、「脇に回る主役コンビの活躍シーンも増える」などと、一つの文章の中で矛盾することも平気で述べてはいますが!〕。

 総じて言えば、前作の「チーム・バチスタの栄光」の出来が酷かったので、今回の作品はそれと比べればかなり良くなっているはといえるものの、リアリティーが増した分だけ常識的な仕上がりになってしまっているのでは、と思えるところです。

 とはいえ、この映画は、堺雅人の好演がなければ、この映画は成り立たないのではとも思えるところで、これからの幅の広い活躍が期待されると思いました(「ジャージなふたり」的な軟弱路線ではなく、かなり引き締まった役もできるようです)。