映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

ギターとプサルタリー

2009年03月04日 | 音楽
 このところ、あちらこちらで「ギター&プサルタリー・コンサート」が開催されるようになってきました。

 あるいは、“プサルタリー”のことをご存知ないかもしれません。
 上の画像でお分かりのように、二等辺三角形の形をした木箱の上面に長さの異なる弦を何本も張ったもので、通常はヴァイオリンのように弓で弾きます(ただし、弓を2本使いますが)。
 
 元々は、ヨーロッパ生まれの楽器で、それが発達してチェンバロからピアノになったとされています。オーストリアのチロル地方などでは、民俗楽器としても生き残っているようです。
 私の先生のギタリスト・加藤誠氏がそれを探し出し、わが国での普及に努めています。

 ところで、加藤氏が演奏するギターは変わっています。大きさ・形は通常のクラシック・ギターそのものですが、そこには通常に比べてかなり細い弦が緩く張られています。
 加藤氏は、若い時にギターの弾き過ぎで腱鞘炎を患ってしまい、今でも右手中指が満足に曲がりません。
 ですが、腱鞘炎に罹ってもなんとかしてギターの演奏を続けたいという思いが強く、だったら指に負担をかけないで引くにはどうしたらいいのかと考え続け、その挙句行き着いたのが、細い弦を緩めに張るという方法でした。
 こうしますと、音量はかなり落ちてしまいますが、腱鞘炎の人でも、練習さえすれば誰にも負けない速さで演奏が可能となります。加えて、通常のギターでは味わえない非常に繊細で美しい音質が確保できるようになります〔元々、西欧音楽は、宮廷のサロンという少人数相手のものでしたから、音量よりも音質の方が大切と言っていいのかもしれません〕。

 としても、ただでさえ音量が小さいのがギターの宿命ですから、緩めの細い弦を使うことによってなお一層音量が減ってしまいますと、ほかの楽器と合奏しようとしても、かなりの困難が伴います。
 そこで、格好の楽器として選び出されたのが、この“プサルタリー”というわけです。
 ギターの弦とほぼ同じものを盤面にズラッと並べ、それを弓で擦るわけですから、音量は小さく、非常に繊細な音がします。加えて、ギターのように指で押さえて音の高さを変える必要はありませんから、演奏自体もかなり簡単といえます。
こうしたプサルタリーによってメロディーを弾き、ギターが伴奏するというのが一般的な形のようです。 

 “プサルタリー”は、わが国においては殆ど知られてはいませんが、3年ほど前に放送されたTV朝日「徹子の部屋」に出演した叶和貴子氏が、番組の中で紹介し演奏してみたことから、次第に知られるようになってきたようです。

 わが国で演奏される楽器の種類が増えるのは、それがどんなものであれ楽しいことですから、その普及を応援したいものです。

 なお、この楽器にご興味のある方は、次のホームページをご覧になられては如何?http://homepage2.nifty.com/psaltery/