(オーストラリアに置かれたアメリカの情報監視基地「パインギャップ」【https://www.youtube.com/watch?v=M9F2LbwpsO0】)
【アメリカが主導する中国企業排除 欧州の動向は不透明 ファーウェイ製品を使えなければ、5G整備が少なくとも2年遅れる】
今後は今以上に、通信技術が軍事・安全保障面を含めた社会全体における致命的に重要な技術となりますので、アメリカがこの分野での中国の著しい台頭に危機感を抱き、ファーウェイなどを標的にした攻勢をかけていることは周知のところです。
****米、中国製排除を強化 近く無線通信で大統領令か****
先端産業での中国の追随に危機感を持つトランプ米政権は、国内での中国製品の締め出しを強化する方針だ。
トランプ大統領が近く、第5世代(5G)などの無線通信網について、中国製機器の使用を禁じる大統領令に署名するとも報じられた。自国での厳しい対処を表明し、国際的な対中包囲網を主導する狙いとみられる。
米政治専門サイトのポリティコはこのほど、安全保障上の脅威を理由に米政府が検討してきた中国製機器の排除策について、「来週(11日の週)にも大統領令への署名が行われる可能性がある」と伝えた。
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の2社が措置の念頭にある。米政府は、中国製が使用されれば、機密情報が漏れたり、サイバー攻撃に脆弱(ぜいじゃく)になったりする恐れがあるとみている。
通信業界では今月下旬、スペインで携帯端末や通信技術の国際見本市が開かれる。米政府はその前に大統領令を公表し、各国が取り組む最先端通信網の整備では、機密保護やサイバー対策を最優先にするべきだと訴える狙いもあるという。【2月10日 産経】
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大統領令云々については、“トランプ米大統領は11日、人工知能(AI)や次世代通信規格「5G」など最先端技術の開発を加速させるため、政府の役割を強化する大統領令に署名した。経済・軍事力を左右するハイテク技術で台頭する中国に対抗し、官民連携で国内産業の育成に取り組み、優位の維持を図る。”【2月12日 時事】という大統領令は署名されましたが、この大統領令では中国製品排除・使用禁止については触れられていないようです。
別途、中国製品排除・使用禁止の大統領令が出されるのか、あるいは、対中国関係も考慮して、上記のような“AI・5G開発の加速”という一般論にトーンダウンしたのかは知りません。
いずれにしても、アメリカは自国だけでなく、欧州など関係国に5Gへの中国企業・ファーウェイ参加を思いとどまるように警告しています。
****5G網構築、ファーウェイ採用は「安全保障リスク」 米が欧州諸国に警告****
米国が欧州諸国に対し、第5世代移動通信システムの構築に中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を参加させることの安全保障上のリスクについて警鐘を鳴らしている。
欧州連合は、瞬時の接続や膨大なデータ容量、未来のテクノロジーを可能とする5G通信網の構築に乗り出しており、米政府はこの問題を喫緊の課題とみなしている。
5日、米国務省高官はEU本部のあるベルギー・ブリュッセルで報道陣に「中国のような国々の信頼できないサプライヤーに慌てて飛びつき契約を結ぶことのないよう呼び掛ける」と述べた。
同高官は「ファーウェイや中興通訊のような信用できないサプライヤーと組めば、各国の国家安全保障にとって、あらゆる種類の派生問題が生じる可能性がある」と指摘。さらにそうした提携は、知的財産保護やプライバシー、人権などを損なう恐れもあると訴えた。
この当局者はEUとベルギー、フランス、ドイツの当局者と会談。さらに米国務省は懸念を明確に示すために、スペインなど他のEU諸国へも要員を派遣する。
一方、ファーウェイは、自社製品がスパイ活動に使われているとの疑いを強く否定している。
専門家によると、5G機器の品質に関してはファーウェイを先頭に、スウェーデンの通信機器大手エリクソンは半年〜1年遅れており、フィンランドの通信機器大手ノキアはさらにそれを追う状態だという。
フランスでは、ブイグ・テレコムやSFRといった複数の通信事業者が既に複数の都市で、ファーウェイ製機器を使った5G通信網のテストを実施している。
また米ブルームバーグが入手した内部文書によると、独通信大手ドイツテレコムは、欧州がファーウェイ製5G機器の使用を見送った場合、中国や米国に2年もの遅れを取る恐れがあると警鐘を鳴らしていた。
前述の米当局者は、米政府の警告の動機は商業的な利益ではなく安全保障だと述べた上で、ファーウェイ製機器の使用禁止で利益を得るのは米国企業ではなく、むしろエリクソンやノキア、韓国のサムスン電子だろうと述べた。
4〜5日にかけて来日したドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ファーウェイ製機器の使用について、ドイツ国内で「大きな論争」があると述べていた。 【2月6日 AFP】
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こうした中国通信情報企業警戒論の流れに同調したノルウェーに対し、中国は反発しています。
****ノルウェーが中国の安全保障上の脅威指摘、中国大使館が反論****
2019年2月5日、環球網によると、ノルウェー当局が中国について安全保障上の脅威になっているとの報告を発表したことについて、駐ノルウェー中国大使館が強い不満を示した。
同大使館は4日、公式ウェブサイト上で「ノルウェー国家公安警察局(PST)が4日に発表した2019年の国家リスク報告書並びに同局局長の言論に注視している。われわれは報告や局長の発言における中国に関する部分について、強い不満と断固たる反対を示す」とした。
同局長は報告を発表した際に「ファーウェイのような企業と中国政府との密接な関係について注意を払う必要がある」などと発言したとされる。
同大使館は「中国はこれまでノルウェーの主権と国家の安全を尊重し、内政に干渉したことはなかった。中国とノルウェーとの間には何の利害の衝突もなく、中国はノルウェーにとって何の安全上の脅威にもならない。一国の情報機関が自国の安全問題について仮説で評価し、中国にいわれなき攻撃を仕掛けるのは非常に荒唐無稽だ。ノルウェーの情報機関には事実に基づき話をしてもらい、国際社会の笑いものにならぬようしてもらいたい」としている。
また、「中国はいかなる形式によるネットワーク上での機密窃取や攻撃に反対し、取り締まりをしてきた。そして、中国の法律ではいかなる機関に対しても企業に『バックドア』のインストールを脅迫する権限を与えていない」と改めて説明し、「国の安全を理由に貿易の保護をする動きに反対する。関係当局が中国企業のノルウェーでの運営に対し、公正かつ公平な競争環境を提供することを望む」と呼び掛けた。【2月6日 レコードチャイナ】
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“バックドア”云々に関しては、その方面の知識がないのでとくわかりませんが、実在する機器を調査・分析すればわかるものなのでしょうか?
以前、ファーウェイ機器に関し“日本政府が分解検査したところ、不審なものが見つかったことが分かった。日本政府はすでに政府機関や自衛隊でファーウェイ製品を使うことを禁止し、さらにファーウェイの部品が使用されている日本製品も使用を禁止する方針を固めた。”といった、フジテレビが与党関係者の発言として流した報道もありましたが、“不審なもの”だか“余計なもの”だかの実態・真相は何だったのでしょうか?
逆に言えば、日本政府が調べたぐらいですぐに特定できるものなら、とっくに全世界で使用禁止になっているようにも思えるのですが・・・。相当にフェイクの臭いがする報道です。
現在すでにファーウェイなどの技術は世界最先端のものとなっており、これを外すことは上記【2月6日 AFP】にもあるように、開発の遅れ・質の低下・コスト上昇を意味します。欧州各国も対応に苦慮しています。
****ファーウェイ問題で欧州ジレンマ 5G整備で割れる****
中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への対応で、欧州を舞台とした米中の綱引きが激しくなってきた。米国は安全保障上の懸念から同盟国への華為排除の働きかけを活発化。欧州を重要市場に持つ華為は抵抗に必死だ。
狭間に立つ欧州は華為への警戒を強めるが、経済への影響を恐れジレンマも抱える。
ポンペオ米国務長官は11日から欧州諸国を歴訪する。米当局者はこれに先立ち、ポンペオ氏が最初の訪問先、ハンガリーで「華為の存在感増大に懸念を表明する」と強調した。
ハンガリーは近年、対中接近が顕著だ。オルバン政権は昨年、華為と第5世代(5G)移動通信システム整備で協力する覚書に署名した。米国は北大西洋条約機構(NATO)加盟国のハンガリーに警鐘を鳴らし、中国と引き離したい考えだ。
米国務省筋はブリュッセルで5日、欧州連合(EU)や欧州各国に関係者を送り、華為排除を呼びかけていると明らかにした。同盟国の動きは米国の安全保障と密接に絡むため「欧州(の説得)は最優先だ」としている。
一方、華為にとり、収益の約27%を占める欧州・中東・アフリカは中国国内に続く市場だ。欧州はその大半を占めるとされ、締め出しは大きな痛手となる。
「根拠のない批判にわれわれは驚いている」。華為の欧州駐在幹部は7日、ブリュッセルで開かれた春節祝賀会で100人超の参加者を前にこう強調。関係機関の検査でこれまで問題は指摘されていないとし、安保上の脅威との見方に反論した。
華為は懸念払拭のため、ブリュッセルや、社員がスパイ容疑で逮捕されたポーランドにセキュリティー関連施設を置く用意があると表明している。中国の張明EU代表部大使も1月末、英紙で華為への懸念が「ねつ造だ」と訴えた。
欧州各国の対応も一様ではない。ドイツなどは華為製品の使用回避策を検討中だが、スロバキア政府は「脅威の証拠となる情報はない」と否定的だ。イタリア政府は5Gへの採用を禁じる方針と伝えた現地紙報道を「その意図はない」と否定した。
華為製品がすでに普及した状況では、排除が難しいとの見方も根強い。米メディアは、華為製品を使えなければ、5G整備が「少なくとも2年」遅れるとする独通信大手の内部文書の内容を報じた。
スウェーデンのエリクソンなどが華為の代替候補に上がるが、5G技術では華為より遅れ、コスト上昇も懸案だ。通信各社は、今月下旬にスペインで開く業界団体の会合で問題を議論する予定という。【2月10日 産経】
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オーストラリアはすでに5G整備でファーウェイの設備を使用することを禁じており、カナダもこの動きに追随するとみられていますが、独・伊・英などの動きを見ると欧州の方針は不透明です。
ポンペオ氏はハンガリーで「華為の存在感増大に懸念を表明する」と強調しましたが、当の(近年、中国との関係を強化している)ハンガリーの外相はこれに反対しています。
【「ファーウェイのいない5Gシステムは、ニュージーランドのいないラグビーみたいだ」】
(長くなりましたが)ここまでは前置きで、こうした流れにあって、今日見た“面白い”ニュースを2件
一つ目は、アメリカに同調するニュージーランドへの中国側の“気の利いた”反論。
****ファーウェイなしの5GはNZなしのラグビーみたい?同社が全面広告****
「華為技術(ファーウェイ)のいない第5世代移動通信システムは、ニュージーランドのいないラグビーみたいだ」──ラグビー大国ニュージーランドが、中国の通信機器大手ファーウェイに5G通信網構築への参入を禁止したことに対し、ファーウェイ側は13日、大手新聞各紙に全面広告を掲載し、軽い皮肉のメッセージを送った。
ニュージーランドの情報当局は昨年11月、「安全保障上のリスク」を理由に、同国における5G通信網にファーウェイの技術を使う計画を却下した。
多くの国々では、ファーウェイの製品が中国当局のスパイ活動に使われるとの懸念から、ファーウェイを5G通信網から排除する動きが相次いでいる。一方、中国当局は「根拠がない」疑いだとしてこれを否定している。
ファーウェイの現地法人、ファーウェイ・ニュージーランドも不正を示す証拠はないと主張し、ファーウェイの排除によってニュージーランドは最高水準の5G通信網を使用する機会を失うことになると訴えている。
同社はラジオ・ニュージーランドに対し、「ひねりの効いた方法でこのメッセージを伝えたかった」と述べ、「ラグビーのフィールド上だったら、ニュージーランドは2位とか3位であることを受け入れないだろう。5Gについても、そうした地位に甘んじるべきではない」と主張した。
しかし、ニュージーランド政府はこれに動じていない。情報機関を監督するアンドリュー・リトル法相は報道陣に「彼らはほえたいだけほえればよい。だが、われわれはニュージーランドの国家安全保障上の利益のために決定しなければならない」と述べた。 【2月13日 AFP】AFPBB News
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【「われわれは中国人に盗まれるか米国人に盗まれるかの選択をすることになる」】
もう一つは、ことの本質をついたものかも。
****ファーウェイ問題は「中国人に盗まれるか米国人に盗まれるかの選択」―仏専門家****
2019年2月11日、仏国際放送局RFIの中国語版サイトによると、フランスのサイバーセキュリティー専門家が「ファーウェイ危機」について、「何も目新しいことはない」と評した。
記事は、「フランスのテレビ局の番組内でファーウェイ機器および米中貿易戦争について討論が繰り広げられた」と紹介し、その中で同国のサイバーセキュリティー専門家でパリ政治学院で教師を務めているFabrice Epelboin氏の話を取り上げた。
同氏はファーウェイによる技術情報窃取の疑いについて「何ら新しい現象ではなく、同様の事件はすでに起きている。スノーデン事件は国と国との間における情報の盗みあいがすでに久しく行われていることを十分に説明している。そして、情報や特許を盗むという分野では現状、米国の国家安全保障局(NSA)が抜きんでている。NSAの情報窃取は、ファーウェイよりも一層システマティックなものだ」と論じた。
また、ファーウェイと中国政府の「服従関係」が取り沙汰されていることに関しては「中国は一層顕著ではあるものの、他の国も同じ。米国には愛国法があり、米国企業は政府に協力しなければならない。
フランスの国民議会も先ごろ似たような法案を通しそうになっており、これは世界的な現象だ。われわれは事実上すでに監視管理社会の時代に入っていて、中国はこの問題を明確に認識しているが、米国をはじめとする他国は依然として認識できていない」と指摘している。
さらに、ファーウェイが設備を通じて情報を窃取することが可能かどうかについては「完全に可能だ。しかし、米シスコの設備も同様の機能を持っている。
欧州ではこのような設備は生産されていないので、われわれは中国人に盗まれるか米国人に盗まれるかの選択をすることになる。陰謀論などとメディアは言うが、こんなことはとうの前から存在することだ」との見解を示した。【2月13日 レコードチャイナ】
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Fabrice Epelboin氏の指摘しているように、通信網から情報を盗むということにおいて、今現在もっとも大規模に行っているのはアメリカ自身でしょう。
以前も取り上げましたが、ネットフリックス配信動画「パイン・ギャップ」(オーストラリアに置かれた現存するアメリカ主導のアジア・南シナ海をカバーする情報監視基地を舞台にしたドラマ)は、このスノーデン事件が明らかにした世界の現実を印象的に示してくれています。
もちろんフィクション・ドラマですから、描かれているもののうち、どこまでが現実のものかは不明ですが、現代社会の実像に関する大まかなイメージをつかむのには役立つでしょう。
アメリカが全世界に展開する通信傍受技術や衛星監視技術を駆使すれば、対象さえ特定されれば通話・メールをすべて傍受し、衛星から画像監視することも可能なようです。携帯・スマホも遠隔操作で本人が知らないうちに盗聴・盗撮装置になってまうようです。
ドラマの中では、米中核戦争の危機に際して、中国の国家主席と首相の会話も傍受されますが、アメリカ側は、“中国側が意図的に傍受させたのでは?”と判断に迷う場面も。
実際はそんなものかも・・・と面白かったのは、特定の対象を監視するために衛星を操作するには莫大な費用がかかるとのことで、アメリカ側のチームリーダーが衛星を使うかどうか迷うシーン。
結局、衛星を使うことを決断すると、オーストラリア側スタッフが「行け、行け、金持ち」とからかいます。
ファーウェイのバックドアはともかく、中国も情報監視に取り組んでいるのは間違いないでしょうが、それはアメリカも同じで、もっと大規模に行っています。(個人情報に対する“表向き”の姿勢に差があると言えばそうですが・・・)
中国一人が絶対悪で、アメリカがそれを阻止する正義の味方という話ではなく、新旧の情報泥棒同士の争いであり、どっちに味方するか・・・という話です。
【「われわれは中国人に盗まれるか米国人に盗まれるかの選択をすることになる」】
もう一つは、ことの本質をついたものかも。
これは本当の話
ただアメリカの方が一応資本主義で自由社会。中国は共産党の一党独裁
どっちもどっちだけど未だアメリカの方がまし?って言う話です
ファーウェイの替わりにイスラエルが手を挙げていますよ
ファーウェイ(華為技術)任CEOは、「我が社は法律を守って正々堂々とビジネスをしている」と記者会見で胸を張った。実は、その裏で贈賄工作をして製品の売り込みをしていたことが判明した。『大紀元』(2月13日付)は、「ファーウェイ、贈賄など世界21カ国で捜査―米VOA」と題する記事を掲載した。
あれあれ(笑)