第184回はリチャード(リッチー)・バイラークのECMレーベルにおけるタイトルの頭文字が共に「E」の2作品です。
1枚目は、リッチー・バイラークが27歳の時にレコーディングした最初のリーダー・アルバムで、硬質な響きを持つバイラークのピアノと、ビートの利いた音で迫るフランク・ツゥサの対比を随所に聞くことができます。
「EON」 ECM 1054 ST

1. NARDIS
2. PLACES
3. SEEING YOU
4. EON
5. BONES
6. MITSUKU
RICHARD BEIRACH (p) FRANK TUSA (b) JEFF WILLIAMS (ds)
録音 1974年11月
収録されている6曲の内、後半3曲がリッチー・バイラークの作品です。
1曲目のマイルス・デイビスの「NARDIS」は、12分にも及ぶ熱演となっていて、長いイントロを経てテーマが現れますが、バイラークのクリスタル的な音に絡んでくるフランク・ツゥサのベースが絶妙で、後半でロング・ソロを取るジェフ・ウイリアムスのソロを経てテーマに戻るという展開となっています。
同じピアノ・トリオのビル・エヴァンスのそれと比較して見てもこの演奏のインパクトは大きいです。
2曲目は、デイヴ・リーブマン作の耽美的なバラードですが、これをピアノ・ソロでじっくり聞かせてくれます。
3曲目はフランク・トゥサとバイラークの共作で、どこか懐かしいメロディが聴けるECMらしい演奏です。
アルバム・タイトルにもなっている「EON」は、ピアノが美しい響きを奏でるミディアム・テンポで、続く「BONES」はアップ・テンポの激しい曲で、いずれも3人が上手く融合しています。
最終曲の「MITSUKU」は、これまでの5曲とは異なった雰囲気を持ったエキゾチックな曲で、中間部でソロを取るトゥサにもスポットが与えられており、また、エンディングの纏め方はいかにもこれで演奏が終わりという印象を与えてくれます。
続いては、全曲ソロで構成された「Hubris」に続くECMレーベルへの3作目で、ECMでの最後のリーダー作です。
「ELM」 ECM 1142

1. SEA PRIESTESS
2. PENDULUM
3. KI
4. SNOW LEOPARD
5. ELM
RICHARD BEIRACH (p) GEORGE MRAZ (b) JACK DEJOHNETTE (ds)
録音 1979年5月
最初の作品からベースとドラムスが替わったことで、サウンドにも変化が出ていて、どっしりとしたジョージ・ムラーツのベースが演奏に安定感をもたらし、ジャック・ディジョネットの多彩なドラミングが邪魔にならず、上手く纏まっています。
全曲リッチー・バイラークの作品となっていることもあり、アルバムの統一感があります。
1曲目の「SEA PRIESTESS」は大海原を連想させる雄大な曲想で、演奏が徐々に熱気を帯びて行き再び静かに終わるという構成になっています。
2曲目の「PENDULUM」はポール・ブレイの曲想に似ていて、一聴すると彼の演奏のようにも聞こえるし、これに呼応するディジョネットのドラミングと絶妙な間を持ってピッチを刻むムラーツのベースは素晴らしいの一言です。
続く「KI」は、フリー・リズムにおいて、ピアノとベースの対話による小品で、2人の合間を縫ってディジョネットのドラミングが鋭く切り込んでくるというスリルある演奏で、バイラークのピアノの響きがキラキラと輝く名演です。
「SNOW LEOPARD」は、ディジョネットの高速なシンバルレガートからスタートし、これにムラーツのヴァンプなベースが加わって演奏が進行して行きます。
前半は3者による激しいやり取りが続き、中間部ではそのテンポを維持したままベースとドラムスの攻防となりますが、ムラーツはディジョネットの激しいドラミングに触発されてか、いつになく熱くなっているように感じます。
途中フリーの即興演奏を挟んで、後半は豪快で且つ繊細なドラム・ソロを経てミドルテンポによる3人のインタープレイで終演となるこのアルバム一番の演奏です。
一方、タイトルとなっている「ELM」は、ピアノの響きに重点を置いた演奏で、これに絡むベースとドラムスが絶妙な間を取りながら進行して行きますが、中間部でのムラーツの絶妙なソロも聞きどころとなっています。
多くのピアノ・トリオ・アルバムがある中で、このアルバムは、3人の技量を含めピアノ・トリオの現代版として最上位に上げられる作品だと思います。
なお余談ですが、これだけ実力のあるリッチー・バイラークのECM作品が3作のみで終了し、しかもその全てが市場から消えてしまっているのですが、これにはECMのプロデューサーであるマンフレット・アイヒヤーとのあるトラブルから、アイヒヤーがバイラークのリーダー・アルバムと客演参加の音源の全てを廃盤扱いにしてしまったことによるものだそうです。
この2枚を改めて聴いてみて、この素晴らしいECM作品が再び市場に出て、万人に聞いてもらえることが出来ることを願ってやまない一人でもあります。
1枚目は、リッチー・バイラークが27歳の時にレコーディングした最初のリーダー・アルバムで、硬質な響きを持つバイラークのピアノと、ビートの利いた音で迫るフランク・ツゥサの対比を随所に聞くことができます。
「EON」 ECM 1054 ST



1. NARDIS
2. PLACES
3. SEEING YOU
4. EON
5. BONES
6. MITSUKU
RICHARD BEIRACH (p) FRANK TUSA (b) JEFF WILLIAMS (ds)
録音 1974年11月
収録されている6曲の内、後半3曲がリッチー・バイラークの作品です。
1曲目のマイルス・デイビスの「NARDIS」は、12分にも及ぶ熱演となっていて、長いイントロを経てテーマが現れますが、バイラークのクリスタル的な音に絡んでくるフランク・ツゥサのベースが絶妙で、後半でロング・ソロを取るジェフ・ウイリアムスのソロを経てテーマに戻るという展開となっています。
同じピアノ・トリオのビル・エヴァンスのそれと比較して見てもこの演奏のインパクトは大きいです。
2曲目は、デイヴ・リーブマン作の耽美的なバラードですが、これをピアノ・ソロでじっくり聞かせてくれます。
3曲目はフランク・トゥサとバイラークの共作で、どこか懐かしいメロディが聴けるECMらしい演奏です。
アルバム・タイトルにもなっている「EON」は、ピアノが美しい響きを奏でるミディアム・テンポで、続く「BONES」はアップ・テンポの激しい曲で、いずれも3人が上手く融合しています。
最終曲の「MITSUKU」は、これまでの5曲とは異なった雰囲気を持ったエキゾチックな曲で、中間部でソロを取るトゥサにもスポットが与えられており、また、エンディングの纏め方はいかにもこれで演奏が終わりという印象を与えてくれます。
続いては、全曲ソロで構成された「Hubris」に続くECMレーベルへの3作目で、ECMでの最後のリーダー作です。
「ELM」 ECM 1142



1. SEA PRIESTESS
2. PENDULUM
3. KI
4. SNOW LEOPARD
5. ELM
RICHARD BEIRACH (p) GEORGE MRAZ (b) JACK DEJOHNETTE (ds)
録音 1979年5月
最初の作品からベースとドラムスが替わったことで、サウンドにも変化が出ていて、どっしりとしたジョージ・ムラーツのベースが演奏に安定感をもたらし、ジャック・ディジョネットの多彩なドラミングが邪魔にならず、上手く纏まっています。
全曲リッチー・バイラークの作品となっていることもあり、アルバムの統一感があります。
1曲目の「SEA PRIESTESS」は大海原を連想させる雄大な曲想で、演奏が徐々に熱気を帯びて行き再び静かに終わるという構成になっています。
2曲目の「PENDULUM」はポール・ブレイの曲想に似ていて、一聴すると彼の演奏のようにも聞こえるし、これに呼応するディジョネットのドラミングと絶妙な間を持ってピッチを刻むムラーツのベースは素晴らしいの一言です。
続く「KI」は、フリー・リズムにおいて、ピアノとベースの対話による小品で、2人の合間を縫ってディジョネットのドラミングが鋭く切り込んでくるというスリルある演奏で、バイラークのピアノの響きがキラキラと輝く名演です。
「SNOW LEOPARD」は、ディジョネットの高速なシンバルレガートからスタートし、これにムラーツのヴァンプなベースが加わって演奏が進行して行きます。
前半は3者による激しいやり取りが続き、中間部ではそのテンポを維持したままベースとドラムスの攻防となりますが、ムラーツはディジョネットの激しいドラミングに触発されてか、いつになく熱くなっているように感じます。
途中フリーの即興演奏を挟んで、後半は豪快で且つ繊細なドラム・ソロを経てミドルテンポによる3人のインタープレイで終演となるこのアルバム一番の演奏です。
一方、タイトルとなっている「ELM」は、ピアノの響きに重点を置いた演奏で、これに絡むベースとドラムスが絶妙な間を取りながら進行して行きますが、中間部でのムラーツの絶妙なソロも聞きどころとなっています。
多くのピアノ・トリオ・アルバムがある中で、このアルバムは、3人の技量を含めピアノ・トリオの現代版として最上位に上げられる作品だと思います。
なお余談ですが、これだけ実力のあるリッチー・バイラークのECM作品が3作のみで終了し、しかもその全てが市場から消えてしまっているのですが、これにはECMのプロデューサーであるマンフレット・アイヒヤーとのあるトラブルから、アイヒヤーがバイラークのリーダー・アルバムと客演参加の音源の全てを廃盤扱いにしてしまったことによるものだそうです。
この2枚を改めて聴いてみて、この素晴らしいECM作品が再び市場に出て、万人に聞いてもらえることが出来ることを願ってやまない一人でもあります。