あしたのブログ!趣味や日々の報告ページ

このページを活用し趣味や日々のことなどを中心に報告しています。

ソニー・ロリンズ・トリオ(1967年)

2024-07-14 | JAZZ
ソニー・ロリンズの1967年(5月)の貴重な音源、
IMPULS時代の最終アルバムである「East Broadway Run Down」(1966年)と、Milestoneの「Next Album」(1972年)の間を埋める演奏集で、このアルバムは2020年秋のBLACK FRIDAYで発売されたものですが、ドラマーのハン・ベニンクをリサーチしていたところ、これが目に留まったので、聴いて見たいと思い探してみました。
レコードは3枚組で、同じメンバーによるピアノレス・トリオからなり、オランダでのスタジオ録音とライブ・レコーディングが収録されています。

「ROLLINS IN HOLLAND」KKJ 10002
  
  
1. Blue Room
2. Four
3. Love Walked In
4. Tune Up
Sonny Rollins (ts) Ruud Jacobs (b) Han Bennink (ds)
スタジオ録音 1967年5月5日

1. Sonnymoon for Two
2. Love Walked In
3. Three Little Words
4. They Can't Take That Away From Me
5. Sonnymoon for Two
6. On Green Dolphin Street
7. There Will Never Be Another You
8. Love Walked In
9. Four
Sonny Rollins (ts) Ruud Jacobs (b) Han Bennink (ds)
ライブ録音 1967年5月3日

このアルバムのレーベルは、多くのビル・エヴァンスの発掘音源でも知られているResonanseで、オランダ出身の2人のリズム陣を従えてのもので、演奏は勿論のこと、スタジオでステレオ収録されている最初の4曲が素晴らしいです。
というのも、ロリンズを中央に、左寄りにベース、右寄りにドラムスが配置されていて、豪快で膨よかなロリンズのサックス音がしっかり収録されているからで、往年のロリンズは本当に素晴らしく、このスタジオ録音はその再現演奏となっています。

そのスタジオ録音ですが、ゆったりとしたテンポで、一聴してロリンズと分かるサックス音と、ハン・ベニンクのブラッシュ・ワークが素晴らしい「Blue Room」の演奏からスタートします。
続いて、アップ・テンポでルード・ヤコブスのランニング・ベースが大きくフューチャーされる「Four」に移り、後半ではロリンズとベニンクの4バースを経てテーマに戻っています。
「Love Walked In」はミディアムで、朗々と歌い上げるロリンズの演奏をたっぷり聴くことが出来るし、「Four」は3人の夫々ソロ・スペースが割り当てられていて、特にベニンクはドラムスを駆使して力演しています。

一方のライブは全てモノラル録音で、スタジオ録音に比べて音質は落ちますが、こちらもロリンズのパフォーマンスは素晴らしく、彼のオリジナル曲の断片や、ナット・アダレィの「ワーク・ソング」などを織り交ぜながら、様々なフレーズが淀みなく湧き出てきています。
なお、このアルバムでドラマーを務めているハン・ベニンクは、1960年代後半以降、ヨーロッパの前衛シーンでの活動が注目を集めますが、この収録はその一歩手前の演奏で、これも貴重な一コマとなっています。


アルバムには、演奏時のフォトを多く含んだ英文解説と和訳の冊子が付いているので、フォトの3枚を掲載しましたが、これを眺めながらだと、この演奏集を更に興味深く聴くことができます。

   

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中本マリのライブに行ってきました。

2024-07-12 | JAZZ
昨夜(7月11日)、富士吉田市のジャズ・ハウス「ON LAVA」で開催された『中本マリと福井ともみ』のデュオ・ライブに行ってきました。
ライブの後、凡そ100㎞離れた自宅まで戻ったことから帰宅が遅くなったので、今日の掲載になりました。

  

開演は午後7時で、6時30分開場ということだったので、6時40分頃行ったところ、整理券は21番目で既に大勢のお客さんが席に着いていました。(開演時には、40名ほどになりました)
室内の壁には、中本マリのアルバムが6枚と、正面にはTBMの「マリ・ナカモトⅢ」が飾ってありました。
何か1つ飲食のオーダーをということで、車の運転があることからコーヒーとフライド・ポテトをオーダーしました。



当夜は2部構成で、各々7曲(後半はアンコールを入れて8曲)を披露してくれました。
歌い始める前に各々の曲目紹介もあったのですが、聞き取れない所もあったので全曲とはいきませんでしたが、メモした部分だけをピックアップしました。

第1部は、壁に掲載してあったアルバム「Love Touch」の最初に入っている追憶のテーマ「The Way We Were」からスタートしましたが、マイクとの間隔に微妙なズレがあったり、声出しも十分でなかったようで、レコーディングの歌に比べてまだまだという感じでした。
2曲目は「Give Me The Simple Life」で、この曲からは、ピアノと歌のマッチングも上手くいくように思えました。
3曲目は「Come Rain Or Come Shine」で、この歌の歌い方について説明があり、1音のみの同じ音程で続く曲なので歌詞に抑揚を付けて歌うのだそうで、最初の1コーラスは全くのフラットで、2コーラス目はその抑揚を付けてその差を披露してくれました。
4曲目は「Old Devil Moon」をラテン・リズムで、
5曲目は「You'd Be So Nice To Come Home To」を、少し遅いテンポによるパンチの効いた声で、
6曲目はブルースを、(曲目不明)
7曲目は、昨年6月に発売された自身のアルバム「Muse 1」から、「Don't Be Afraid Of Love」(愛を怖がらないで)を熱唱してくれました。

曲の間のトークの中で、40年前に八ヶ岳、南アルプス、富士山の見える小淵沢に家を建てて、4年前からそこに住んでいることや、デビュー当時から一緒にプレイしてきたベーシスト(米木康志)の病気療養への募金の呼びかけがありました。

凡そ20分の休憩を挟んで、第2部が始まりましたが、最初に歌ったのはホーギー・カーマイケルの「Georgia On My Mind」で、“Georgia”と歌い出した後、突然歌が止まり、マリさんが聴衆に向かって「この曲は“Georgia”と歌い出せば、“わぁー”と声が掛かるのに、ここで全く反応が無いのはどうしたことか」とアピールがあり、再びのトライでは聴衆を巻き込んで大いに盛り上がりました。
2曲目はキャロル・キングの「You've Got A Friend」(君の友だち)で、Georgiaの後だったことと、よく知られた曲でもあったことから、聴衆も声を出して歌ったりと、かなりの盛り上がりがありました。
3曲目は「Days Of Wine And Roses」(酒とバラの日々)で、最初のコーラスはゆったりとしたぺースで、ピアノも4小節毎におかずを入れる程度で、殆どアカペラ状態で気持ちよく歌い出していて、2コーラスからはイン・テンポになっての歌でした。
4曲目は、スティビー・ワンダーの「For Once In My Life」(たった一度の人生)で、
5曲目はブルースで、本来この曲は男性が歌った方が良いのだそうですが(曲目は不明)、かなりリキを入れての熱唱でした。
6曲目はポピュラーな曲でしたが、曲目が思い出せませんでした。
この曲を歌い終えたところで時刻は9時近くなり、「何か聴きたい曲はありますか」と、マリさんがアンコール前のリクエストをするというハプニングがあって候補は色々出ましたが、夏なのでボサノバを歌ってということから、急遽「Day By Day」をボサ・リズムで歌ってくれました。
最後は再びのアンコールとなった「All Of Me」を、大ハッスルした歌で、エンディングも決めて大いに盛り上がったところ終了となりました。

演奏中は、撮影、録音が禁止されていたので、演奏が終わった後のトークと記念撮影時に、何枚か写真を撮らせていただきました。




彼女には、2003年4月録音のスタンダードを中心に集めたデュオ・アルバムがありますが、それと比較すると今夜の歌は巧さと表現力が抜群に備わっていました。
そして、今年喜寿を迎えるのだそうで、ある先輩からジャズを50年やるとその後が本物になるといわれ、今が最も充実していると話しており、声は太くなりましたが相変わらずのハスキー・ヴォイスを至近距離で聴けたライブを大いに楽しんだ夜でした。


下の2枚のCDですが、
2003年4月の「NADECICO」は、今回と同じピアノ(3曲は中牟礼貞則のギター)を伴奏に歌っているデュオ・アルバムです。
また、2023年6月に発売され、自身のオリジナルを集めた最新アルバム「Muse 1」は、今回の会場で販売していたので、購入してサインをしていただきました。

 


[ 7月14日追記 ]
中本マリのライブ終了後に、ON LAVAのマスターからこのお店が掲載されている雑誌(JAZ.in 009)を紹介して頂きました。
帰り際でお客様でごった返していたので購入して読むことにしましたが、その本が先ほど自宅に届きました。

 

写真はモノクロで少し暗いですが、3ページに渡ってこのお店の様々な情報が掲載されています。
興味のある方は、是非ご覧ください。

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アーマッド・ジャマルのインパルス盤

2024-07-07 | JAZZ
ここに掲載したアーマッド・ジャマルのインパルス盤は、何時も楽しみに聴いている「Sometimes I'm Happy」さんが、今宵のジャズ 「今宵のジャズ」ノートで4月30日に紹介されていた「DOLPHIN DANCE」の演奏を知って、全曲が聴きたくなったことで購入したレコードです。

「THE AWAKENING」 Impulse AS 9194
  
1. THE AWAKENING
2. I LOVE MUSIC
3. PATTERNS
4. DOLPHIN DANCE
5. YOU'RE MY EVERYTHING
6. STOLEN MOMENTS
7. WAVE
AHMAD JAMAL (p) JAMIL NASSER (b) FRANK GANT (ds)
録音 1970年2月2, 3日

演奏は勿論のことハービー・ハンコックやオリバー・ネルソンのオリジナルをジャマルが如何に弾きこなすかも興味を持って聴いてみました。
特に凝ったアレンジはなく、録音と3人のバランスが極上のアルバムで、ファンキーな部分も陰をひそめ、ピアノに向かって淡々と弾いているように感じました。

タイトル曲でもある「THE AWAKENING」は、2小節毎のパターン化されたリズムの上をスムースなピアノが気持ちよくスイングし、途中4ビートになってからもその雰囲気は変らず、後半は始めのリズム・パターンに戻っています。
ピアノ・ソロで始まる「 I LOVE MUSIC」は、イン・ナ・センチメンタルムードを断片に織り交ぜながら演奏が開始され、トリオになってもソロの雰囲気がそのままに進行していきます。
「PATTERNS」もリズミックな曲で、ジャミル・ナッサーのベース・パターンにピアノが絡む対比が心地良いです。
レコードのB面は、よく知られた曲のオンパレードで、ハービー・ハンコックの「DOLPHIN DANCE」は、フランク・ガントのブラッシュ・ワークによるプッシュが爽やかで、その上をジャマルが気持ちよく演奏していることが分かります。
スタンダードの「YOU'RE MY EVERYTHING」は、アドリブの途中にテーマ・メロディを散りばめながら演奏が進んでいくという粋な奏法を披露しています。
「STOLEN MOMENTS」は、オリバー・ネルソン「ブルースの真実」のオリジナル演奏に忠実に、テーマ部分が演奏されますが、アドリブ部分は4ビートのリズムに対してジャマルのフリーなピアノ演奏がイカしています。
最終曲の「WAVE」は、本来ボサノバの曲ですが、独特なベースラインの上を風を切るような快適な演奏となっています。


なお、アーマッド・ジャマルには1969年にニューヨークのヴィレッジ・ゲイトで録音されたもう1枚のインパルス盤があり、こちらもスタンダードを中心とした演奏集で、愛聴盤の1枚となっています。

「AT THE TOP」 Impulse A-9176
 

コメント (8)
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ジャック・ディジョネットのピアノ・プレイ

2024-06-23 | JAZZ
ジャック・ディジョネットのピアノ・プレイが堪能出来るアルバム

「JACKEYBOARD」 TRIO PA-7086
  
1. McCoy's Tune
2. Fun Calypso
3. Minority Blues
4. Jack's Blues
Jack DeJohnette (p, melodica) 古野光昭 (b) ジョージ大塚 (ds)
録音 1973年8月6日

ドラマーが本職?のジャック・ディジョネットが、全曲ピアニスト(1曲はメロディカを使用)として参加したアルバムで、2人の日本人をパートナーとしてトリオで演奏した4曲が収録されています。
1曲目の「 McCoy's Tune」は、その名もマッコイ・タイナーのオリジナルで、テーマの後はアップ・テンポで、作曲者に劣らぬアドリブを展開しており、後半はドラムスとの8小節交換を経て、テンポを落として更にイマジネイティヴなソロを聞かせてくれます。
「Fun Calypso」は、その名からも分かるカリプソナンバーで、4小節を基本としたテーマ部をピアノ・ソロでスタートし、その後はリズム陣の2人が加わりますが、ジョージ大塚のドラミングがその雰囲気を盛り上げており、ディジョネットのテクニックにも注目の1曲です。
レコードのB面では、2曲のブルースを演奏しています。
悠雅彦さんのライナーノーツによると、「 Minority Blues」は、このレコーディングの最後の録音となった演奏で、当初はディジョネットのお遊びと思っていたようだったが、そこへベースとドラムスがあわてて入って言った様で、最初の部分は演奏が乱れているのでカットせざるを得なかったと書かれています。
そこで、注意深く聴いてみると、確かに冒頭部分はテーマらしき部分が明確ではなく、なんとなく演奏が進行しているように聞こえますが、次第に盛り上がっていき、ディジョネットのテクニックとドライブ感に圧倒される演奏となっています。
また、「Jack's Blues」ではディジョネットが、メロディかを吹いており、無伴奏でテーマを吹いた後、テンポを上げて2人が加わりますが、ノリノリのディジョネットが最後までペースを乱さず熱演を展開しています。

このレコードは、普段はドラマーとして多くのアルバムに参加しているジャック・ディジョネットの、ピアニストとしての素晴らしいテクニック収めた1枚であり、日本のレコード会社でなければ出来なかった企画であったと思います。
トリオ・レコードと、このレコードの制作に関わった鯉沼利成さんと悠雅彦さんに感謝のアルバムです。

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マル・ウォルドロン・クインテットの2枚のアルバム

2024-06-09 | JAZZ
マル・ウォルドロンがenjaレーベルに録音したクインテットによるライブとスタジオ録音です。

最初は、ワーグナーの歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の舞台としても知られる独のニュルンベルクで開催された「EAST-WEST '74 FESTIVAL」での演奏集で、ジャケットの写真にあるように、ホーン奏者の2人は演奏しながら譜面台を見ているようで、ジャズでは珍しい光景です。

「HARD TALK」 enja 2050
  
1. RUSSIAN MELODY
2. SNAKE OUT
3. HARD TALK
MANFRED SCHOOF (cor) STEVE LACY (ss)
MAL WALDRON (p) ISLA ECKINGER (b) ALLEN BLAIRMAN (ds)
録音 1974年5月4日

マル・ウォルドロンの演奏パターンは、ホーンが加わっても変わらずのスタイルとなっています。
「 RUSSIAN MELODY」とは言っても、ロシアに関係したメロディが聞こえてくる訳ではなく、ゆったりとした演奏が進行する中で、マンフレッド・ショーフのけだるい感じのトランペットが印象的ですが、続いて収録されている「SNAKE OUT」においては目の覚めるようなハードな演奏に変っていて、スティーヴ・レイシーも同様にフリーキーな音を連発しています。
レコード裏面全部を占める「HARD TALK」では、前曲の流れが増幅されて行き、特にレイシーには珍しく、ダーティな音まで発しています。
中間部では、マルの静寂なピアノ・ソロに続いてトリオによる演奏となり、ベースとドラムスのデュオを挟んでテーマに戻りますが、イスラ・エッキンガーのベース・ソロも特出しています。


続いてのスタジオ録音は、サブ・タイトルに「with Steve Lacy」とあるように、スティーヴ・レイシーの出番が多くなっています。

「ONE-UPMANSHIP」 enja 2092
  
1. ONE-UPMANSHIP
2. THE SEAGULLS OF KRISTIANSUND
3. HURRAY FOR HERBIE
MANFRED SCHOOF (tp) STEVE LACY (ss)
MAL WALDRON (p) JIMMY WOODE (b) MAKAYA NTSHOKO (ds)
録音 1977年2月12日

アルバム「HARD TALK」と違い、こちらは2人のホーン楽器を主役に立てての演奏で、「ONE-UPMANSHIP」は、2管によるテーマらしき提示があり、続いてステーヴ・レイシーがソプラノ・サックスで登場しますが、ゆったりしたテンポで入り、演奏途中ではリズムレスで瞑想的なプレイを聞かせてくれます。
その後はアップ・テンポに変わり、マンフレッド・ショーフのトランペットが激しいプレイで正にハード・トークとなっています。
「THE SEAGULLS OF KRISTIANSUND」は、美しいメロディを持った曲で、ゆったりしたテンポで演奏されますが、先発はスティーヴ・レイシーで、マル自身のピアノ・プレイもその雰囲気のまま演奏されています。
また、サブタイトルには“Wigdis Wollanに捧ぐ”となっていたことからその人をネットで検索したところ、写真家のようであり、そのことを思い浮かべながら聴いて行くと色々な風景が浮かんできます。
「HURRAY FOR HERBIE」は、一聴してマルの曲と分かるリズム・パターンを持った演奏となっており、ベースとドラムスの強烈なリズム陣が一役買っています。そしてそのリズムパターに乗ってマンフレッド・ショーフが絶妙なソロを展開したかと思えば、ベース、ドラムスにも十分なソロ・スペースが与えれています。

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enjaのマル・ウォルドロン

2024-06-02 | JAZZ
先のECMに続いて、こちらはenjaレーベルからの初期の作品で、独ミュンヘンのジャズ・クラブ(DOMICILE)でのライブ盤です。

「BLACK GLORY」 enja 2004
  
1. SIEG HAILE
2. LA GLOIRE DU NOIR
3. THE CALL
4. ROCK MY SOUL
MAL WALDRON (p) JIMMY WOODE (b) PIERRE FAVRE (ds)
録音 1971年6月

一聴してマル・ウォルドロンと分かるパターン化したリズムを中心とした演奏集で、2小節、または4小節の繰り返しにおいて、ベースとドラムスがそれに絡んでいくのですが、そのパターン化された曲がレコード・ジャケットの裏面に2曲掲載されています。
また、前作のECMとは同じピアノトリオながら、レーベルの違いでサウンドは全く異なるし、曲想は同じ雰囲気を持っていながらフリー系のドラマーが加わったことで各者のプレイに自由度が増しており、そこがジャズの醍醐味で面白い所です。

レコードの片面を占める「SIEG HAILE」では、中間部でピエール・ファヴレと、ジミー・ウッドことジェームス・ブライアント・ウッドのベース・ソロが興味深く、偶然にも先のECM盤に入っていた「ROCK MY SOUL」がこちらにもあるので、比較して見ましたが、こちらのライブ盤はジミー・ウッドのベースがロックのリズムには融合せず自由奔放に動き回っており、演奏自体もメリハリがあって好印象でしたが、収録時間の関係からか、ドラムスのソロからベース・ソロに移るところでフェイド・アウトしてしまっています。

スイス出身のドラマーであるピエール・ファヴレは、過去にリーダー・アルバムで掲載したことがありました。


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マル・ウォルドロンとマンフレート・アイヒャー

2024-05-26 | JAZZ
ヨーロッパを代表するレーベルの一つであるECMの第1作目を飾ったマル・ウォルドロンのアルバム

「FREE AT LAST」 ECM 1001
  
1. RAT NOW
2. BALLADINA
3. 1-3-234
4. ROCK MY SOUL
5. WILLOW WEEP FOR ME
6. BOO
MAL WALDRON (p) ISLA ECKINGER (b) CLARENCE BECTON (ds)
録音 1969年11月24日

このECMのレコーディングに関するメイン・スタジオはノルウェーのオスロですが、このレーベルが独のミュンヘンで創設されたことからか、第1作のロケーションは南独のLUDWIGSBURGとなっています。

レコード・ジャケットの裏面にマル・ウォルドロンのノートがあり、そこには最初にこのレコードを購入したオーディンスに対して「私の新しいアルバムを買ってくれてありがとう」と書かれていて、また、このアルバムは自分にとっては、これまでとは異なったアプローチの “Free Jazz” であるとのコメントを残しています。
Freeとはいえ、演奏の中身は従来のマルのサウンドを踏襲したものですが、彼としては初期の米国録音からヨーロッパ録音に移ったことで開放的になったと解釈すべきことなのでしょうか。
また、このレーベルの特徴である透明感ある唯一無二の音質で弾くマル・ウォルドロンのピアノは、彼の特徴であるダークな表情の音の周りをそぎ落としてしまった様な印象があり、これもこのレーベルの音であると思って聞けば納得感はあります。

全6曲の内、スタンダードの「WILLOW WEEP FOR ME」を除いてマルの作曲によるものですが、オリジナル曲はトツトツとした独特のリズムの反復を中心とした曲想であり、ECMでの録音は強靱なタッチがクリアでありながら増幅された音となっていて、これを1970年始めの初来日時に日本ビクターでレコーディングしたTOKYO BOUNDの演奏と比較して見たところ、サウンドは似通っているものの響きは全く異なって聞こえました。
唯一のスタンダードである「WILLOW WEEP FOR ME」での主役はベーシストのイスラ・エッキンガーで、マルが弾くメロディーのバックでピアノに代わってリズムとソロを取っています。

このECMレーベルは、「Edition of Contemporary Music」の略で、マンフレート・アイヒャーによって創設され、しかもこのレーベルのプロデューサーでもありますが、彼はクラシック音楽とジャズの演奏家として活動した後、20代半ばでECMを立ち上げています。
下に掲載したアルバムは、アイヒャーがベーシストとしてピアノ・トリオに参加しているもので、プレイの大半はフツーのベーシストですが、最終曲の「Gem」においてはピアノとのインタープレイに続き際だったソロを展開しています。

「CELEBRATIONS」 Calig-Jazz CAL 30602
  
1. For a better tommorrow
2. Little Gaeden
3. Celebrations
4. Petal
5. Gem
Bob Degen (p) Manfred Eiher (b) Fred Braceful (ds)
録音 1968年5月25日

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江利チエミの “テネシーからさのさまで”

2024-05-12 | JAZZ
江利チエミが歌うテネシー・ワルツをチェックしていたところ、#&bのバンドリーダーとして活躍していた原信夫さんのコレクション・レコードが目に留まったので、それを譲って戴きました。

ショップのコメント
★★★ASTROTUNES MUSIC SHOP★★★
ビッグバンドジャズの神様、故・原信夫氏所蔵のアナログレグレコードコレクションからの出品!!
Japan's god of big band jazz, Nobuo Hara's vinyl record collection!!
江利チエミのLPレコード、「テネシーからさのさまで」 を出品します。
オリジナルリリース / レコード会社品番/King Records KC 19 / ジャンル:歌謡曲
参加アーチスト:江利チエミ, 原信夫とシャープス&フラッツ, 見砂直照と東京キューバン・ボーイズ, 猪俣武とウエスト・ライナーズ 製造年:1962年  オリジナルリリース盤 190g重量盤
あくまで中古品(一部未開封品を除く)ですので神経質な方は入札をお控えください。


自宅に届いた段ボールを開けると、このレコードに関するメモと、ジャケットには、生前、原さんが所有していた日本楽器のビニールカバーが掛けてありました。
  

≪江利チエミ歌手生活10周年記念発売≫
「テネシーからさのさまで」 KING RECORDS KC 19
  

レコードは、フラット・ディスクのモノラル盤でコンディションは良好でした。
江利チエミが歌う「テネシー・ワルツ」の最初は、昭和26年(1951年)暮れに録音され翌27年に発売されていて、生涯彼女の代表曲となっています。
この曲に関しては、テネシー・ワルツを聴くとして、以前ここで取り上げたことがありますが、幼少時代に初めて聴いた洋楽で、就職してからの米国出張においては最も回数の多かったMemphisということもあり、この曲に関する思い入れが強いことから、江利チエミがこの曲を歌うアルバムはなぜか欲しくなります。
最初のレコーディングは彼女が15歳の時のSP盤で、この音源はYouTubeで聴くことが出来ますが、1stコーラスの後半から2ndコーラスの前半を日本語で歌っていて、伴奏にはストリングスも入っています。
一方、今回掲載したアルバムは#&bの伴奏で、デビュー時の歌い方とは変えて和訳部分が少なくなっていて、当然のことながら歌唱力も上がっています。


下記は、上記の前に発売されていて以前から所有していたアルバムで、デルタ・リズム・ボーイズとのカップリング盤ですが、江利チエミは“テネシーからさのさまで” をメドレーとして歌っていて、「マリーナ」から「聖者の行進」までの4曲は両者が共演しています。

「CHEMI ERI & THE DELTA RHYTHM BOYS」 KING RECORDS SKC 4
  
録音 1961年2月20日 産経ホールでのジョイント・コンサート

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ナット・キング・コールの初音源化盤

2024-05-05 | JAZZ
ナット・キング・コールがシカゴのブルーノート・クラブで演奏した2枚組アルバムです。

「LIVE AT THE BLUE NOTE CHICAGO」 iconic IAG00005
  

下は、ジャケットの内側と、付属されていたブックレットの一部です。
  
NAT KING COLE (vo, p)
JOHN COLLINS (g) CHARLIE HARRIS (b) LEE YOUNG (ds)
録音 1953年 CHICAGO BLUE NOTE CLUB

ナット・キング・コールの歌とピアノ演奏が彼の十八番を多く含んだ選曲で、ギター、ベースによるレギュラー・トリオの他に、ドラムスを入れたカルテットというシンプルな編成で、モノラル録音ながらオリジナルテープをリマスター処理しており、クリアな音で楽しめます。
2枚のレコードは2部構成のステージを収録していて、各々の冒頭には司会者による紹介があり、大半の曲は歌う前にキング・コールのおしゃべりも入っていて、ライブの雰囲気が味わえます。

Side 1では、挨拶代わりに「Little Girl」がアップ・テンポで演奏され、続いて歌われる「Unforgettable」がなんと言っても素晴らしく、更に「It's Only A Paper Moon」では、ヴォーカルの他にピアノ演奏もたっぷりと楽しめます。
Side 2 では、「Sweet Lorraine」の演奏時間が4分15秒と全曲の中で最も長いことから、ピアノとギターのソロも交えての演奏で、1956年に録音したアルバム「AFTER MIDNIGHT」で歌っている同曲を彷彿とさせる内容となっています。
この2枚を比べてみたところ3年間の隔たりがあるものの、どちらもバック・メンバーが同一であったことから、当時のキング・コールのレギュラー・バンドであったものと思われます。

Side 3では、ギターのみの伴奏で感情を込めて歌う「Mona Lisa / Too Young」と、「Nature Boy」が圧巻です。
Side 4では、しっとり歌う「Pretend」スタートしますが、最終曲の「Route 66」は何時もの様に演奏はアップ・テンポで進行し、中間部ではピアノ演奏も披露しています。また、ライブ演奏らしくエンディングにおいて “Get's Kicks on ・・・” を何度も繰り返して次の “Route 66” に中々進んで行かないというパフォーマンスもあり、拍手喝采を受けてステージが終了しています。

ということで、絶頂期のナット・キング・コールがたっぷり聴ける25曲を一気に聴き通しました。

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チェット・ベイカー&ジャック・シェルドンの未発表音源

2024-05-01 | JAZZ
チェット・ベイカーとジャック・シェルドンの2トランペットによる未発表盤です。

「CHET BAKER & JACK SHELDON IN 1972」 JAZZ DETECTIVE DDJD-015
  
 1. This Can't Be Love
 2. Just Friends
 3. Too Blue
 4. But Not For Me
 5. Historia de un Amor(ある恋の物語)
 6. Once I Loved
 7. You Fascinate Me
 8. When I Fall in Love
 9. I Crird For You
10. I'm Old Fashioned
11. Evil Blues
Chet Baker & Jack Sheldon (trumpet, vocals)
Dave Frishberg (piano)
Jack Marshall (guitar)
Joe Mondragon (bass)
Nick Ceroli (drums)
録音 1972年

このアルバムをメーカーの紹介記事から拾ってみると・・・。

「西海岸ジャズ・シーンを代表する2人のトランペッターによる極上のジャズ!
ジャック・シェルドンとチェット・ベイカー、2人の失われた音源が半世紀を経て発掘!
闘病後のチェットの気迫あふれる旋律が爆発した一枚。」
ジャック・シェルドンとチェット・ベイカー、西海岸ジャズ・シーンを代表する2人のトランペッターが残した世に出ることのなかった音源『In Perfect Harmony: The Lost Album』が180g重量盤LPにてリリース。
今作はチェットにとって1966年の闘病以来初のレコーディングとなった。


ということで、聴いてみての感想ですが・・・
チェット・ベイカーのラッパと歌が聴けることと、何れも演奏時間が短いながら、興味深い曲目が並んでいることから期待していましたが、ヴォーカルがメインとなっている中で「Once I Loved」だけはチェットのラッパを中心とした1曲丸々インスト演奏で、
またステレオ録音で、チェットが右チャンネル、そしてジャック・シェルドンが左チャンネルに分かれていますが、少しだけ両チャンネルに音が被っているという完全なセパレートでは無いところは聴いていて違和感は感じませんでした。
このような中で、チェットは十八番の4曲をフル・コーラスを歌っており、「Just Friends」「But Not For Me」「When I Fall in Love」はしっかりした音程で、また「I'm Old Fashioned」は、ミディアム・テンポで快調に歌っていて、曲によっては中間部ではトランペットも吹いています。
そしてチェットが歌っている間、ジャック・シェルドンはトランペットでバックに回っていました。

一方、相方のジャック・シェルドンは、「This Can't Be Love」の1stコーラス(2ndはチェットに交代)の他、「Too Blue」、ラテン曲の「ある恋の物語」、そして「I Crird For You」で渋い喉を披露しており、この間のチェットはバックでオブリガートを付けており、曲によっては2人のトランペットの共演部分も収録されていました。

・・・ヴォーカルが全体を占めている中で、各曲の演奏時間が短かいこともあり、なんとなく中途半端で欲求不満の残る演奏集でした。

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