あしたのブログ!趣味や日々の報告ページ

このページを活用し趣味や日々のことなどを中心に報告しています。

ジミー・ヒースのオン・ザ・トレイル

2014-06-29 | JAZZ
ヒース3兄弟の一人であるジミー・ヒースの1枚を取り上げてみました。
ジミー・ヒース(James Edward Heath) 1926年10月25日 - ペンシルヴァニア州フィラディルフィア生まれ

ジミー・ヒースが、リヴァーサード・レーベルに残した最後の1枚です。
ここにあるのはWAVE社が、「アナログの密かな愉しみ」というタイトルで、「WEVE JAZZ CLASSICS」として、1990年6月から94年2月にかけてリヴァーサイドやプレスティッジ・レーベルの音源を元に発売したものです。 

「ON THE TRAIL」 RIVERSIDE 9486 (WAVE WWLJ - 7033)
   
1. ON THE TRAIL
2. CLOAK AND DAGGER
3. VANITY
4. ALL THE THINGS YOU ARE
5. GINGERBREAD BOY
6. I SHOULD CARE
7. PROJECT S
JIMMY HEATH(ts) WYNTON KELLY(p) KENNY BURRELL(g)
PAUL CHAMBERS(b) ALBERT HEATH(ds)  録音 1964年春

タイトルの「オン・ザ・トレイル」は、フェルデ・グローフェの書いたグランド・キャニオン組曲からのもので、ヒースの吹く朗々としたテーマは、非常にのどかな雰囲気を持っています。
バックを務めるピアノとギターのユニゾンによるリフが、この曲のイメージを一層高めています。
アドリブに入って最初はヒースが、続いてウイントン・ケリーの出番となりますが、最初からケリー節全開で、演歌のコブシの様な手癖も出てきます。
さらにケニー・バレルのソロへ渡された後、再び最初と同じパターンのテーマに戻っています。
3曲目のバラードであるヴァニティは、サラ・ヴォーンの歌唱でヒットしていますが、ここではヒースとバレルのデュオから始まり、以前取り上げたことのあるバレルとコルトレーンによるアルバムの中の「ホワイ・ワズ・アイ・ボーン」同様、見事なバラード解釈となっています。

このアルバムは50年前の録音ですが、メンバーも大ベテランばかりで、非常に内容の濃い演奏になっています。
サックス奏者としてのヒースは、ロリンズ派とも言われていますが、ここでの奏法(音色、フレージング)はプレスティッジ時代のコルトレーンに近く、どの曲でも好演していて、彼の魅力が十分に発揮されています。

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ホレス・シルヴァーの作品をもう1枚

2014-06-28 | JAZZ
前回の「ホレス・シルバーの2枚」に続くもう1枚・・・
録音日からみると、「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」と、「ドゥーイン・ザ・シング / アット・ザ・ヴィッレジ・ゲイト」の間に入る作品です。

「HORACE - SCOPE」 BLUE NOTE 4042
   
1. STROLLIN’
2. WHERE YOU AT ?
3. WITHOUT YOU
4. HORACE - SCOPE
5. TEAH !
6. ME AND MY BABY
7. NICA’S DREAM
BLUE MITCHELL(tp) JUNIOR COOK(ts) HORACE SILVER(p)
GENE TAYLOR(b) ROY BROOKS(ds)  録音 1960年7月8日 ~ 9日

前回のページでも触れましたが、この時期ドラムスの交代はあるものの、レギュラー・グループとしてメンバーが固定されていたことから、このアルバムもグループとしての纏まりが良く、ファンキー~ハード・バップの全盛期の演奏を聴くことができます。
ここでは1952年にピアノ・トリオで吹き込んだ「ホレス・スコープ」と、「イェー」をクインテットで再現しています。
このアルバムの最初と最後には馴染みの曲が入っていますが、その最初の「ストローリン」はミデアム・テンポによる軽快な曲です。
一方、多くの奏者が取り上げている「ニカズ・ドリーム」は、ジャズ・メッッセンジャーズ時代(CBS)の吹き込みや、後年になって日本で先行発売されたケニー・バレルのK.B.ブルース(GXF3052)等がありますが、シルヴァーのリーダー作としてはこれが初演で、こちらはアップ・テンポで演奏されています。
「ウイズアウト・ユー」はドン・ニューイの作品ですが、ここではバラード演奏におけるシルヴァーのピアノを聴くことが出来ます。
なおこの曲は、キューバの作曲家オズヴァルド・ファレルが作曲した「トレ・パラブラス」という曲を、英語訳として「ウイズアウト・ユー」とした同名異曲があり、そちらの方がよく知られています。

このアルバムのタイトルである「ホレス・スコープ」を、「ホロスコープ(西洋占い術)」と捩ったジャケットも洒落ています。
ちなみに占星学上のシルヴァーは、9月2日生まれであるからして乙女座に当たります。


ホレス・シルヴァー作曲の「ストローリン」は、デクスター・ゴードンがビック・トーンで演奏しているアルバムがあります。
アドリブの中で、ファーディ・グローフェ作曲の組曲「グランド・キャニオン」の「山道を行く」の一節を取り上げたりして、ユーモラスなところも見せています。
これもデクスター・ゴードンの快演が聴ける良いレコードですよ。
「THE APARTMENT」 STEEPLE CHASE RECORDS SCS-1025
    
1. THE APARTMENT
2. WEE-DOT
3. OLD FOLKS
4. STROLLIN’
5. CANDLELIGHT LADY
6. ANTABUS
DEXTER GORDON(ts) KENNY DREW(p) NILES-HENNING ORSTED PEDERSEN(b)
ALBERT HEATH(ds)  録音 1974年9月8日

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2014年の富士山 (6月)

2014-06-27 | 富士山
梅雨入り以降、現地入り時と好天がかみ合わず、中々シャッター・チャンスに恵まれませんでした。
従って、前回(5月13日)から1.5ヶ月ぶりの富士山で、6月は最初で最後となりました。
写真は6月27日、午前6時過ぎの何時もの場所からのものですが、その1時間後には完全に雲に隠れてしまいました。
その後、天候は回復せず、夕方からは雨模様になったため、貴重な早朝の時間でした。

お山は大分雪が解けて、夏山らしくなりましたが、今年は残雪が多いようです。
4日後の7月1日は山開きとなるため、地元の新聞に関連記事が掲載されていました。

     

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ホレス・シルヴァーの2枚

2014-06-25 | JAZZ
フアンキー・ジャズの大御所、ピアニストのホレス・シルヴァーが先日亡くなりました。
ご冥福をお祈りします。

ホレス・シルヴァー(Horace Silver)1928年9月2日 - 2014年6月18日)
コネチカット州ノーウォーク出身

私がジャズを聴き始めた1960年代後半、ファンキー・ジャズは下火となり、「フュージョン」や、「フリー」という言葉が聞かれるようになっていましたが、デキシーからフリーまで一通り聴かねばと、時代を後戻りしながら聴いた中の懐かしい一人でもあります。
そこでホレス・シルヴァーを偲んで、代表的な2枚を取り上げてみました。

「BLOWIN' THE BLUES AWAY」 BLUE NOT  ST 84017
    
1. BLOWIN’ THE BLUES AWAY
2. THE ST. VITUS DANCE
3. BREAK CITY
4. PEACE
5. SISTER SADIE
6. THE BAGHDAD BLUES
7. MELANCHOLY MOOD New Version
BLUE MITCHELL(tp) JUNIOR COOK(ts) HORACE SILVER(p)
GENE TAYLOR(b) LOUIS HAYES(ds) 
録音 1959年8月29 ~ 30日、9月13日

ホレス・シルヴァーのファンキー色が強く出てきたのは、ブルーノートに吹き込まれたクインテットからで、中でもこのアルバムはアレンジも良く、フロントの2管が素晴らしい演奏を繰り広げています。
ここで演奏されている7曲は、全てシルヴァーのペンによるものですが、内2曲(No.2, 7)はピアノ・トリオとなっていて、ファンキー一辺倒とならず、これが一服の清涼剤のようで好ましいです。
本人はバド・パウエルの影響を受けていたことから、ピアノ演奏はその辺の影響も伺い知れます。
またクインテットで演奏される「ピース」や「シスター・セイディ」は、多くのミュージシャンも取り上げている親しみ易いナンバーです。

上記のレコードは、ブルーノートの国内販売権が従来の東芝からキングに移行した時に、ジャケット、文字、及び中袋をオリジナル盤同様とし、録音も「キングの音」として東芝盤とは異なった音作りとしたため、当時はチョッと話題になり、巷では「東芝盤より音が良い」という噂も聞こえてきたほどでした。
しかし、トレード・マークである「レーベルの青」は再現されず(恐らく意識して変えたのでしょう)、ブルーノートとしては違和感がありました。

「DOIN’ THE THING AT THE VILLAGE GATE」 BLUE NOTE ST 84076
   
1. FILTHY McNASTY
2. DOIN’ THING
3. KISS ME RIGHT
4. THE GRINGO ~ THE THEME
BLUE MITCHELL(tp) JUNIOR COOK(ts) HORACE SILVER(p)
GENE TAYLOR(b) ROY BROOKS(ds)  録音 1961年5月19 ~ 20日

ホレス・シルヴァーがブルーノートに吹き込んだリーダー・アルバムは19枚
(12インチ LPで後期に発売されたものを除く)ありますが、この1枚だけはニューヨークのクラブでのライブ録音となっていて、シルヴァー32歳の若々しい声もたっぷり入っています。

メンバーは、ドラマーを除き「ブローイン・ブルース・アウエイ」と同一で纏まりも良く、ライブ演奏と相俟ってファンキー・ジャズの醍醐味を味わうことができます。
シルバーがこれらのファンキー~ハード・バップを演奏していたのは1965年頃までで、その後は時代と共に8ビートやラテンを取り入れ、更には思想を歌にしたヴォーカルや電気楽器を用い、ワウ・ワウのギターが鳴り響く演奏となり、ジャズとはかけ離れていきました。
その後、暫らくのブランクを経て、晩年には再びオーソドックスな一面も見せていました。

余談ですが、1970年頃のヤマハ楽器店は銀座と渋谷にジャズの輸入盤コーナーがあり、渋谷店は年末年始にバーゲン・セールをやっていました。
このレコードはその時購入した内の1枚で、久しぶりに棚から引っ張り出したところ、レーベルが大分汚れていました。

偶には棚から引っ張り出して大気に触れさせてあげないと、だめなんですねぇ~。

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私の愛聴盤 (第42回)

2014-06-22 | 私の愛聴盤
第42回はアレンハウザーの「ノー・サンバ」です。

アレン・ハウザー(Allen Houser) 1941年ワシントンDC生まれ

11歳からトランペットを始め、ハイ・スクール時代から地元のクラブを中心に活動しています。
1961年には大学対抗ジャズ・コンペに於いて第2位を獲得しています。
しかし、アレンは生地ワシントンDCを活動の基盤としていることから、一般には余り馴染みのない奏者でもあります。

「NO SAMBA」 ALLEN HOUSER MUSICAL ENTERPRISES INC.  ARS001
   
1. MEXICO
2. CHARLOTTESVILLE
3. NO SAMBA
4. COUSIN RAE’S 3-STEP
5. 10 YEARS AFTER
ALLEN HOUSER(tp) BUCK HILL(ts) NCE GENOVA(p) 
STEVE NOVOSEL(eb) TERRY PLUMERI(b) MIKE SMITH(ds)
録音 1973年

アレンの自主出版のこのレコード、発売当時、都内のジャズ喫茶で良く掛かっていて気に入り、即刻購入した1枚です。
曲想全体はハード・バップで、中でも聴きものは、A・B面の頭を飾る「メキシコ」と「ノー・サンバ」で、伸びのあるトランペットの音色が魅力です。
また1、2曲目ではアルコ・ベースをフューチャーした面白いサウンドも聴くことが出来ます。
4曲目の「カズン・レイズ・スリー・ステップ」は、変調子のリズム・パターンを持った曲で、エコーを利かせたトランペット・ソロ披露しています。

アレン・ハウザーは、この初リーダー作の後、数枚のアルバムを発売していて、それらも期待して聴いたことがありますが、これを越えるものは無く、気が付いたら、これだけが手元に残っていました。

日本では、1996年にBOMBA RECORDSよりCDで発売されています。
評論家の杉田宏樹氏は、このオリジナル盤以来の復刻にに際し、「CD化を実現したボンバ・レコードの担当氏はお目が高い! と拍手を送りたい気持ちだ」と語っています。

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ピー・ウィー・ラッセルのモダン・クラリネット

2014-06-21 | JAZZ
ピー・ウィー・ラッセル(Pee Wee Russell) 1906年3月27日 - 1969年2月15日
ミズーリ州メイプルウッド出身

スイング時代のクラリネット名手であるピー・ウィー・ラッセルは、1920年にデビューし、当初はデキシーランド・スタイルのグループで活躍していました。
1960年代に入ってからは、トロンボーン奏者のマーシャル・ブラウンとグループを結成し、ジョン・コルトレーン、オーネット・コールマン、セロニアス・モンク等のレパートリーにも挑戦しています。

以下のレコードは、ピー・ウィー・ラッセルのインパルス・レコードへの最初の吹き込みです。
彼のリーダー作となっていますが、レコーディングに当たりマーシャル・ブラウンは、「スイング時代のクラリネットの名手を選んで、ピアノ・レスでバラードとブルースを適度に混ぜ合わせ、当時の先鋭的なミュージシャンのメロディを取ってスパイスを利かせた音楽を作る」と考えていたそうです。

「ASK ME NOW ! THE PEE WEE RUSSELL QUARTET」 IMPULS A-96
   
 1. TURNAROUND (Ornet Coleman)
 2. HOW ABOUT ME ? (Irving Berrin)
 3. ASK ME NOW ! (Thelonious Monk)
 4. SOME OTHER BLUES (John Coltrane)
 5. I’D CLIMB THE HIGHEST MOUNTAIN (Lew Brown, Sidney Clare)
 6. LICORICE STICK (Marshall Brown)
 7. PRELUDE TO A KISS (Duke Ellington)
 8. BABY YOU CAN COUNT ON ME (Freddie Stewart)
 9. HACKENSACK (Thelonious Monk)
10. ANGEL EYES (Matt Denis)
11.CALYPSO WALK (Marshall Brown)
PEE WEE RUSSESELL(cl) ARSHALL BROWN(b-tb, b-tp) 
RUSSELL GEORGE(b) RONNIE BEDFORD(ds) 録音1963年4月9日、10日

このレコードの曲目の後に作曲者を併記しましたが、元来スイング系のミュージシャンが、オーネットやコルトレーンの曲を如何に料理するかという非常に興味がある内容となっています。

そして、その結果は・・・
トリッキーな演奏は全くありませんが、非常に新しい感覚でアップ・テンポからスロー・バラードまで、好演を繰り広げています。
ピアノ・レスであることが、いい結果を生んでいるのかも知れません。

このレコーディングのリハーサルは綿密に行われたようですが、ピー・ウィーがあんまり気を使っていなかったので、何度もやり直しをしたようです。
また、当初のプロデューサーはジョージ・アヴァキャンですが、彼に支払う制作費が工面できなかったことから、レコーディング後は一旦オクラ入りとなりました。
しかし、2年後にインパルスのブロデューサーであるボブ・シールが引き取って、目出度く発売となったいわくつきのレコードです。
そのため、初期のジャケットに彼等の名前はありません。

同じ年の63年、ニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演したセロニアス・モンク・カルテットに、ピー・ウィー・ラッセルが2曲で参加しています。
 

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北の大地で

2014-06-20 | グルメ
仕事で北海道へ・・・

宿泊したホテルのワイン・カフェで購入した(有)マオイワイナリーの「山ブドウワイン」、
北海道余市と岩手県洋野町の山ぶどうを使用した純国産の原料でつくられた赤ワインです。
 

http://maoiwinery.com/

そして、仕事帰りに千歳空港内で、美味しい味噌拉麺を頂いて、
   

北海道に行ったら買ってきてと家族に言われ、
こちらでしか購入できない「じゃがポックル」と「じやがピリカ」を購入しました。


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加藤秀男さん

2014-06-17 | 演歌・ポップス
加藤秀男(出門 英) 1942年12月15日 - 1990年6月17日

東京出身の彼は、中央大学中退後、水木 英二(みずき えいじ)の芸名で、1962年にソロ歌手として東芝レコードからデビュー。
その後、出門ヒデと改名し、1966年には佐藤由紀と「ユキとヒデ」を結成し、活動しましたが解散。
その佐藤由紀は後に藤ユキ、さらにはアン真理子へと・・・
一方のヒデは、1968年にイタリア出身のロザンナ・ザンボンと「ヒデとロザンナ」を結成。
デビュー曲が大ヒットして、一躍売れっ子歌手の仲間入りを果たしました。

デビュー曲「愛の奇跡」(1968年10月15日発売)
作詞 中村小太郎 作曲 田辺信一 日本コロムビア P-42
   

1975年2月にロザンナと結婚し、俳優としてもテレビドラマ「必殺仕事人V・旋風編」や、映画「光る女」にも出演していました。
歌の方ではソロ・アルバムも何枚か制作されましたが、下記はその中の1枚です。(1988年発売)
A面の「黄昏に愛を込めて」は、同名異曲に「たそがれに愛をこめて」があり、そちらは伊藤咲子が歌っていました。
また、B面の「野風増」は当時競作となり、橋幸夫、デューク・エイセス等もレコーディングしていました。

「黄昏に愛を込めて」
作詞 ありそのみ 作曲 佐藤 健 ワーナー・パイオニア 07L7-4009
  

ヒデさんは仕事の傍ら、癌の研究・啓発活動や基金事業にも奔走していましたが、47歳という若さで亡くなっています。
早いもので、今日で24年の月日が経っています。

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アンソニー・ブラクストンのスタンダード集

2014-06-14 | JAZZ
アンソニー・ブラクストン(Anthony Braxton) 1945年6月4日 イリノイ州シカゴ生まれ

マルチ・リード奏者、作曲家のアンソニー・ブラクストン、
モダン・ジャズのマルチ・リード奏者と言えば、フランク・ウエス、エリック・ドルフィー、サム・リバース等の様に、サックス、クラリネット、フルート等を持ち替えて演奏する優れたミュージシャンがいます。
ところがアンソニー・ブラクストンは、あらゆるサックス(ソプラニーノ、アルト、テナー、バリトン、バス、コントラバス)、クラリネット(A管、B♭、アルト、バス)等々、それにピアノも弾くし、取り上げたらキリが無いほど数多くの楽器を演奏することがあります。
1970年初頭、短期間でしたがチック・コリアのグループ(サークル)で活動していた時期もありましたが、大抵は自身の作曲による文字や記号のタイトル曲ばかりで、それらの大半はアヴァンギャルド・ジャズです。

しかし、時にはスタンダード曲を演奏することがあり、その内の3種類を取り上げてみました。
とは言っても、ブラクストン流解釈による演奏です。

「IN THE TRADITION」VOLUME 1 & 2  SteepleChase SCS-1015、1045
  
   
ANTHONY BRAXTON(as, cb-cl) TETE MONTOLIU(p) 
NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN(b) ALBERT HEATH(ds)  
録音 1974年5月29日

デンマークのレーベルに録音した最初のスタンダード集(2枚)で、ヨーロッパを中心に活動しているリズム陣との共演です。
中でもスペインのテテ・モントリューの参加が珍しいです。
ブラクストンはアルト・サックスで、ゴツゴツした感覚のアドリブを展開します。
一方のコントラバス・クラリネットを使用する曲では、極限の低音域のずっしりした演奏です。
このコントラバス・クラリネット、1980年を境に演奏することは無くなった様です。


「SEVEN STANDARDS 1985」 VOLUME Ⅰ&Ⅱ 
WINDHAM HILL RECORDS MA-0203, 0205
  
  
ANTHONY BRAXTON(as) HANK JONES(p) RUFUS REID(b) VICTOR LEWIS(ds)
録音 1985年1月30日、31

最初の録音からおよそ10年後に、ニューヨークで米国の一流ミュージシャンと共演したものです。
ブラクストンはアルト・サックスのみを使用しています。
最初のアルバムと同じピアノ・トリオとのセッションながら、普通のスタンダード集となっています。
やはりメンバーとの関係もあるのでしょうか。

「STANDARDS (QUARTET) 2003」 LEO TECORDS CD LR 431/434
  
ANTHONY BRAXTON(reeds) KEVIN O’NELL(g) ANDY EULAU(b) 
KEVIN NORTON(perc)  録音 2003年2月~11月 

この4枚組CDはいずれも同じメンバーで、フランス、ベルギー、スペイン、イタリアの各々数か所で録音されています。
こちらはスタンダード集とはいえ、ミュージシャンのオリジナル曲も多く取り上げられています。
中でもビル・エバンスのワルツ・フォー・デビや、ポール・デスモンドのテイク・ファイブを演奏するとは、ちょっと驚きです。
大半の曲はアルト・サックスによるオーソドックスな演奏ですが、エディ・ハリスのフリーダム・ジャズ・ダンスではクラリネットに持ち替えチョッと過激に、アヴァンギャルド奏者の顔を見せています。
また、ロニーズ・ラメントではテナー・サックスを吹いていますが、ジョン・コルトレーンのこの曲をいかに料理するかが聴きどころです。
リズム陣はピアノからギターに代わり好演していて、これら3種類の中ではこのCDがブラクストンの演奏に一番合っているように思います。
それにしても1曲の演奏時間が長~く、20分を超すものまでありますが、聴いていて違和感は無く、CDのメリットを生かした内容となっています。

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アンブレラ・ダンス

2014-06-13 | JAZZ
梅雨時に相応しいタイトルの「アンブレラ・ダンス」は、第3次山下洋輔トリオの5度目のヨーロッパ・ツアー時に、西ドイツのスタジオで録音されています。
ジャケット・デザインは絵本・童話作家の今江祥智の童話「どしゃぶりねこ」を、グラフィック・デザイナー・イラストレーターの矢吹申彦が書いたものです。

「UMBRELLA DANCE」 日本フォノグラム(FRASCO) FS-7022
   
* UMBRELLA DANCE PART Ⅰ ~ Ⅲ
山下洋輔(p) 坂田明(as, a-cl) 小山彰太(ds) 録音 1977年6月16日

この年、山下トリオは2回のヨーロッパ・ツアーを行っていて、最初は西独の「メルス・ジャズ・フェスティバル」を中心に、2回目はワルシャワの「ジャズ・ジャンボリー」他、東欧でのツアーです。
このアルバムは最初のツアー時に、エンヤ・レコードのプロデューサーでもあるホルスト・ウェーバーがプロデュースしています。

過激なトリオと、タイトルを想像しながらこのアルバムを通して聴いて見ると、
Ⅰは、トリオ演奏で、ドシャ降り雨の様子、
Ⅱ(a)(b)は、前半がピアノ・ソロからドラムスとのデュオで、ポツポツと雨が落ちて来たところから、段々雲行きが怪しくなり、バス・ドラの強烈な一発で雷も落ち・・・
後半はバス・クラのソロになり、嵐は過ぎ去ったけれど、カラッと晴れた訳ではなく、再びトリオに戻って徐々に怪しい天候となるが、最後はバス・クラのソロに戻って一旦持ち直し・・・
Ⅲは、前曲から切れ目なしで続き、ピアノとドラムスで静かにスタートするも、直ぐに雨・霰のエネルギッシュな音の洪水となり、何時もの過激なトリオに戻っています。

と、まぁ~、こうして想像を働かせながら聴いて見るのも良いですよ。

LPはⅡが途中で分断されてしまうため、このアルバムはCDがお勧めです。
但し、深夜に大きい音は出せません。

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