あしたのブログ!趣味や日々の報告ページ

このページを活用し趣味や日々のことなどを中心に報告しています。

私の愛聴盤(第194回)

2024-07-21 | 私の愛聴盤
第194回は、フランク・ウエス&ローランド・ハナによるニューヨーク・ジャズ・カルテットです。

「FRANK WESS - ROLAND HANNA」 AMIGA 855 718
  
1.Surge
2. Placitude
3. Big Bad Henry
4. 87th Street
5. What, Dose It Matter?
6. Tee Piece
Frank Wess (fl, ts, ss) Roland Hanna (p) George Mraz (b) Richard Pratt (ds)
録音 1977年2月19日

ニューヨーク・ジャズ・カルテットは、1972年から1982年までの10年間に活動したグループで、創始者はピアニストのローランド・ハナでした。
このレコードは、西独のenjaから発売されている「SURGE」の東独盤で、1980年7月にハンガリーに出張した時に、一緒に仕事をした現地社員のお父様から頂いたもので、毎年この時期になると当時の事を思い出しながらターンテーブルに乗せています。

当時は、ベルリンの壁の崩壊前で、ドイツが西側と東側に分断されていましたが、ハンガリーの人々にはとても親切にして頂いた懐かしの1枚で、毎年この時期が来ると当時を回顧しながら1度は聴いています。
下の写真は3枚を繋ぎ併せたもので、大分古ぼけてしまいましたが、出張時にブタペスト市内を撮ったもので、今でも自宅の壁に掛けてあります。
中央を流れるドナウ川と、夜になると照明が美しいチェーン橋を挟んで、左がブダ地区、右がペスト地区です。




アルバムの内容は、ベテラン4人による充実した演奏集で、フランク・ウエスはサックスとフルートを使い分けており、タイトル曲の「Surge」はフルートで軽快にスタートし、ピアノ、ドラムスとソロがリレーされますが、再びウエスに戻る時はソプラノ・サックスに持ち替えており、全体を通してカチッと締まった録音が何とも心地いい1曲です。
バラードによる「Placitude」はアルトフルートで、広大な大海原を想像するような演奏が繰り広げられていて、それをローランド・ハナのピアノが一層強調しています。
ジャズ・ファンクとも言うべき「Big Bad Henry」は、独特のリズムに乗って、テナー・サックスによるブローと、中間部でソロを取るジョージ・ムラーツのフィンガリングがカッコイイです。

このアルバムでドラムを叩いているリチャード・プラットの作品である「87th Street」は、再びアルトフルートに持ち替えて、ドラムスのジャンプするリズムの上をなめらかで滑るようなソロを展開しており、この対比が何とも言えず素晴らしいです。
「What, Dose It Matter?」は、「You don’t know what love is」の断片が織り込まれたテーマのような部分も散見されますが、ウェスのテナーは、ペタペタと地を這うような独特の音色で、ベニー・ゴルソンがプレイしているような感覚の演奏となっています。
最終曲の「Tee Piece」は、フルートによるアップテンポの演奏でスタートしますが、ピアノ・ソロを挟んでテナー・サックスに持ち替えたかと思うと、最後は再びフルートで締めくくっています。


下は、西独盤の「SURGE」(enja 2094 )のジャケットで、比較的地味な演奏集にもかかわらず、内容は素晴らしいアルバムです。



ちなみに、この年の7月は、社会主義国で始めてオリンピックが開催された年(1980年(昭和55年)7月19日から8月3日までの16日間)ですが、7日にモスクワ経由でローマに行き、そこからハンガリーの航空機でブタペスト入りしました。
トランジットでモスクワに着いた時は、乗客全員が一端飛行機から降ろされてパスポートも取り上げられたため、この先どうなるかと思いました。
このモスクワ・オリンピックは、ソ連のアフガニスタン侵攻により多くの国が、オリンピックをボイコットしたため、日本も金メダル候補であったマラソンの瀬古や、柔道の山下が参加出来なかったことで、今でも語り継がれています。

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私の愛聴盤(第193回)

2024-06-30 | 私の愛聴盤
第193回は、ジャック・ディジョネットの日本で制作されたアルバムです。

「HAVE YOU HEARD ?」 CBS SONY SONP 50282
  
1. HAVE YOU HEARD ?
2. FOR JANE
3. NEOPHILIA (LOVE OF THE NEW)
4. PAPA DADDY
BENNIE MAUPIN (ts, fl, bcl) 市川秀男 (p) GARY PEACOCK (b) JACK DE JOHNETTE (ds)
録音 1970年4月7日

このレコードが制作された当時は、米国CBSが日本コロムビアとの契約終了(1967年10月)により新たにソニーとのレコード合弁会社を立ち上げて間もない頃で、ジャズとしてはゲイリー・ピーコックと菊池雅章のセッションであるEAST WORDを始めとして多くの名盤が排出されました。
私もレコードの収集を始めた頃で、貧乏学生の少ない手持ちの資金からあれこれ迷いながら買っていた中の1枚です。

この録音時代のジャック・ディジョネットは、トニー・ウイリアムスの後を継いでマイルス・デイビスのグループに参加していた時期で、このアルバムでは、スイングからアヴァンギャルドまでのディジョネットのドラミングを堪能出来る1枚となっています。
それは1曲目の「HAVE YOU HEARD ?」の冒頭のドラム・ソロで、スネア、シンバル、バスドラを駆使し、ハードでありながら心地よいドラミングを聞かせてくれます。
続いてメンバーの3人が夫々ソロを取りますが、その中で、ゲイリー・ピーコックのベース・ランニングや、ボディを叩いての変幻自在のパフォーマンスには圧倒されます。
また演奏の後半では、意味不明のうなり声が聞こえますが、この声はベニー・モウピンでしょうか?
この演奏に参加しているピアニストの市川秀男も、大御所の3人の演奏に臆することなく素晴らしいプレイを披露しており、「FOR JANE」でのフェンダー・ローズも見事であり、ベニー・モーピンがフルートを吹いていることから、心安まる小品となっています。

テナー、フルート、バスクラで参加しているベニー・モウピンは、ディジョネットと同時期にマイルス・グループに参加していたことがありますが、ここでも真価を発揮しており、特にバスクラでの「NEOPHILIA」が印象的で、さらにピーコックの超絶技巧のベースプレイを聴くことが出来る1曲でもあります。
「 PAPA DADDY」は、テーマを持たない瞑想的な演奏で、冒頭ディジョネットのドラミングでスターとした後は、リズム・キープがないフリーとなり、4人が夫々のパフォーマンスを展開しながら進行していきますが、ピーコックはべース・ラインをキープしながら進めており、ソロにおいては圧巻のプレイで迫ってきます。

ディジョネットは、いかなる場面においてもしなやかにスイングしており、これに他の3人が様々な場面で触発されたプレイを演じることで、非常にまとまりの良い演奏集となっています。

なお、ジャック・ディジョネットとゲイリー・ピーコックは、このアルバムから10年ほど後に、キース・ジャレットと共に「スタンダーズ」を結成して数々の名演を残すことになります。

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私の愛聴盤(第192回)

2024-06-16 | 私の愛聴盤
第192回は中本マリのビクター・レーベルからの1枚で、ジャケットのフォトは、写真家、タレントの加納典明によるものです。

「Love Touch」 Victor SJX - 20045
  
 1. The Way We Were
 2. Nature Boy
 3. Antonio's Song
 4. Skylark
 5.I Write the Songs
 6. Can't Help Falling in Love
 7. No Regrets
 8. The Lady Wants to Know
 9. Simple Man Simple Dreams
10. Stardust
11. Only You ~ The Way We Were
中本マリ (vo) 横内章次 (arranged)
録音 1977年11月

以前、ここに彼女のデビューアルバムである「UNFORGETTABLE」を掲載していますが、この「Love Touch」は、TBM ~ 東芝に続いて発売された日本ビクターからの2作目に当たります。
そして、ビクター・レーベルのアルバムは、その何れもがジャズをベースに幅広い歌の世界を取り上げています。
アレンジを担当しているのはギタリストでもある横内章次で、フルバンドに近い編成の中でシンセサイザーとベースを上手く使っていて、これも聞きどころとなっています。

追憶のテーマとして知られる「The Way We Were」は、ピアノ、センセサイザーによる伴奏でスタートし、2コーラス目からベース、ドラムスに弦が絡むシンプルなアレンジで、うまく歌を引き出しているし、エルビス・プレスリーの映画で有名になった「Can't Help Falling in Love」(好きにならずにいられない)は、出だしの4小節を無伴奏でスタートし、歌の盛り上がりに従ってバック・コーラスが入って来るゴージャスなアレンジとなっています。

「The Lady Wants to Know」では、テナーの市原宏祐のソロが、また「Simple Man Simple Dreams」では、ギターの直居隆雄のフィンガリングも良い効果を上げています。

スタンダードの「Nature Boy」は、エイト・ビートのアレンジに乗ってジャジーでかっこよく、また、ホーギー・カーマイケルの作曲による「Skylark」と「Stardust」は、共にストリングスを上手く使ったアレンジとなっていて、しっとり歌い上げる見事な歌唱を披露しています。
最後に収録されている「Only You ~」は、コーラス・グループのプラターズでヒットした懐かしい曲ですが、この歌のエピローグにおいて 「The Way We Were」の4小節をスキャットで挿入するという粋なアレンジとなっています。


また、下に掲載したのはビクター移籍後の最初のアルバムですが、上記の2作目の方が歌唱、アレンジ共に一層充実している様に思えます。

「NICE FEELING」 Victor SPX - 1039
  


なお、7月11日(木)には、富士吉田市のジャズ・ハウス「ON LAVA」で、中本マリのライブが企画されています。



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私の愛聴盤(第191回)

2024-05-19 | 私の愛聴盤
第191回はバック・クレイトンのブロー・ザ・ブルースです。

「Buck & Buddy Blow the Blues」 SWINGVILLE SVLP 2030
  
1. Rompin' at Red Bank
2. Blue Creek
3. A Swinging Doll
4. Dallas Delight
5. Don't Mind if I do
6. Blue Breeze
7. Blue Ebony
Buck Clayton (tp) Buddy Tate (ts, cl) Sir Charles Thompson (p)
Gene Ray (b) Gus Johnson (ds)
録音 1961年9月15日

ジャズではお馴染みの12小節のブルースを集めた7曲で、演奏はカウント・ベイシー・スモール・バンドのような雰囲気を持っており、スイングとモダンを足して割ったような演奏集です。

1曲目の「Rompin' at Red Bank」は、サー・チャールス・トンプソンを中心としたピアノ・トリオによる長い演奏を経て、バック・クレイトンのスイング・スタイルのトランペットが続きますが、その後ろではバディ・テイトがリフで相槌を入れており、続いてのバディ・テイトのサックス・ソロにおいては、反対にクレイトンがリフでサポートに回っており、この間のリズム陣は正にベイシー・スタイルのスイング感を持って演奏をプッシュしています。

「 A Swinging Doll」はジャンプ曲で、バディ・テイトのブロー気味のテナーが、また「Dallas Delight」のテーマ部は、2管による変わった音作りをしていますが、ソロに入るとバック・クレイトンが中心となって演奏が進行しますが、この2曲のリズムは完全にベイシー・スタイルそのものです。
「Don't Mind if I do」もA面の最初の演奏と同様にチャールス・トンプソンのロング・ソロを経て、バディ・テイトが満を期してコールマン・ホーキンス張りのブロー・テナーで迫力あるソロを披露しており、続くクレイトンは対照的にシンプルな音で淡々とプレイしていますが、後半になって2人の掛け合いになると演奏が熱くなっていくのが分かります。

ブルース曲に相応しい「BLUE・・」とタイトルされた曲が3曲入っており、「Blue Creek」はゆったりしたテンポにおいて、バディ・テイトがクラリネットでブルージーな演奏を披露し、その雰囲気を持ったままバック・クレイトンとチャールス・トンプソンがそれぞれ神妙なプレイを披露しています。
また「Blue Breeze」は、対照的にミディアム・テンポによる軽快な演奏となっており、「Blue Ebony」においては、トランペットとテナーが絡み合いながらテーマを演奏した後、絶妙なテナーとミュートを付けたクレイトンのラッパの落ち着いた雰囲気のソロが味わえます。

全7曲はそれぞれが曲ごとに特徴を持っており、飽きずに聞き込めるアルバムとなっています。

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私の愛聴盤(第190回)

2024-04-28 | 私の愛聴盤
第190回はレッド・ロドニーが1955年にシカゴのユニヴァーサル・スタジオで録音したクインテットのアルバムです。

「MODERN JAZZ FROM CHICAGO」 Fantasy 3-208
  
 1. Taking A Chance On Love
 2. Dig
 3. Red Is Blue
 4. Clap Hands, Hear Comes Charley
 5. On Mike
 6. The Song Is You
 7. You And The Night And The Music
 8. Laura
 9. Hail To Dale
10. Jeffie
11. Rhythm In A Riff
12. Daddy-O
Red Rodney (tp) Ira Sullivan (ts, tp) Norman Simmons (p) Victor Sproles (b) Roy Hayes (ds)
録音 1955年6月

この録音当時、既に薬物にドップリと浸かっていて、しばしば演奏活動が中断されていましたが、その合間を縫って数回の録音が行われていますが、そのいずれもが名演集であり、その中で時々取り出して聴いているこのアルバムを取り上げました。
2管によるクインテットの演奏で、相方を務めるアイラ・サリヴァンは曲によってトランペットとテナーサックスを使い分けており、「On Mike」では2本のトランペットによるバトル演奏を聴くことが出来ます。
1曲目の「Taking A Chance On Love」は、テーマの前に8小節のイントロを追加しており、トランペット、テナーサックス、ピアノが順次ソロを取ってテーマに返すパターンの典型的なハードバップです。
「Red Is Blue」は、8小節に渡るベースの独特なリズム・パターンを経た後、レッド・ロドニーがテーマ部をミュートで演奏していますが、ちょっとミステリアスな雰囲気を持った曲想で、アイラ・サリヴァンのテナーに移ってからは開放的となり、中間部ではレッドもオープン・トランペットで柔らかくて明るい音色に替わっています。
「Clap Hands, Hear Comes Charley」は、ベースを除く4人がそれぞれ交互にソロを取りますが、特にアイラ・サリヴァンのテナーとロイ・ヘインズのドラムスが見事な演奏を展開しています。

また、次の2曲はアイラ・サリバンを除く4人の演奏となっていて、「The Song Is You」は、レッド・ロドニーのソフトでレガートを中心としたスムースなトランペット・ソロが魅力的で、中間部ではノーマン・シモンズのピアノ・ソロも大きくフューチャーされており、後半ではトランペットとロイ・ヘインズの4バースを経てテーマに戻っています。
一方の「Laura」は、ゆったりしたテンポの中で、ミュート・プレイの妙が聴ける演奏となっていてこちらも名演です。

「Rhythm In A Riff」は、そのタイトル通り幾つかの音が繰り返し演奏されるバップの典型的な形の曲で、テーマの後はレッド・ロドニーがスキャットを交えたヴォーカルを披露し、続くアイラ・サリヴァンのテナー・サックスは特に輝いて聞こえます。

各曲の演奏時間は3分前後と短いですが、同時期に活躍したローチ・ブラウン・クインテットに負けず劣らずのハードバップが詰まった濃い内容の演奏集です。

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私の愛聴盤(第189回)

2024-04-21 | 私の愛聴盤
第189回はジョージ・ルイスとラグタイム・バンドのアルバムです。

「Jazz at Vespers」 RIVERSIDE RLP 12-230
  
1. Just a Little While to Sray Here
2. Bye and Bye
3. The Old Rugged Cross
4. Sometimes My Burden Is Hard to Bear
5. Down by the Riverside
6. Just a Closer Walk with Thee
7. Lord, You've Been Good to Me
8. When the Saints Go Marching In
Avery “Kid” Howard (tp) Jim Robinson (tb) George Lewis (cl) Alton Purnell (p) 
Lawrence Marrero (bnj) Alcide “Slow Drag” Pavagean (b) Joe Watkins (ds)
録音 1954年2月21日

これはニューオリンズで有名なプリザベーション・ホールを彷彿とさせる演奏集で、「Down by the Riverside」や「When the Saints Go Marching In」のような良く知られている曲も入っており、バンジョーが刻むリズムが心地よく、今から35年ほど前に行ったニューオリンズでのライブを思い浮かべながら聴いています。

「Just a Little While to Sray Here」「Bye and Bye」「Down by the Riverside」「Just a Closer Walk with Thee」の4曲は、ヴォーカルが主役となっていますが、記載がないので誰が歌っているのかは不明ですが、その中で「Just a Closer Walk with Thee」は、バス・ドラの“ドンドン”とした地面に響くリズムと、トランペットとクラリネットがこれに絡んで心躍る演奏です。
リーダーのジョージ・ルイスのプレイは「The Old Rugged Cross」「Sometimes My Burden Is Hard to Bear」で彼の特徴であるヴィブラートを聴かせたソロがたっぷり楽しめます。

最後の2曲もヴォーカル入りですが、「Lord, You've Been Good to Me」は、ピアノを含めた楽器奏者のプレイも楽しめるし、続く「聖者が町にやってくる」は、コーラスや奏者の紹介も順次入ってエンディングにふさわしい演奏となっています。

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私の愛聴盤(第188回)

2024-04-07 | 私の愛聴盤
第188回はジョニー・スミスのアルバムで、古い音源をモノラルカートリッジで鳴らしてみました。

「Moonlight in Vermont」 ROOST LP 2211
  
 1. Moonlight ion Vermont
 2. Tabu
 3. Tenderly
 4. Cavu (**)
 5. A Ghost of a Chance (*)
 6. Joguar
 7. Star Fell on Alabama
 8. Where or When
 9. I'll Be Around (**)
10. Cherokee (**)
11. Yesterdays (**)
12. Vilia (*)
Johnny Smith (g) Stan Getz (ts) Zoot Sims (ts)(*) Paul Quinichette (ts)(**)
Stanford Gold (p) Eddie Safranski (b) Arnold Fishkin (b) Don Lamond (ds)
録音 1952年/1953年

これは、端正でクールなサウンドが特徴であるジョニー・スミスが、3人のテナー・サックス奏者を迎えてのセッションです。

このアルバムの中で、ジョニー・スミスの特長が良く現れているのはレコードA、B面の最初にある「Moonlight ion Vermont」と「Star Fell on Alabama」の2曲ですが、「Moonlight ion Vermont」の他に「Tenderly」において、スタン・ゲッツがこれまた良い味を出しています。
一方で、以外なのはアップ・テンポによる「Tabu」や「Cherokee」で、これがジョニー・スミスかと耳を疑いたくなるようなフィンガー・ワークでグイグイと迫ってきます。
また、3人のテナー奏者の音の変化も楽しめ、「I'll Be Around」や「Yesterdays」ではポール・クインシェットの巧さも光りますが、やはりジョニー・スミスにはスタン・ゲッツが一番合っているように感じます。

ジョニー・スミスの代表的な1枚でもあるこのレコード、
フラット・ディスクで初期のものでありながら、古い録音故にテープの収縮による回転むらが少し気になるところがあります。

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私の愛聴盤(第187回)

2024-01-28 | 私の愛聴盤
第187回はドド・グリーンのブルーノート盤です。
先のアイク・ケベック繋がりで、彼がドド・グリーンの唄伴奏をしていて、アルバム・ジャケットの裏面には2人の姿も掲載されています。

「MY HOUR OF NEED」 BLUENOTE BST-89001
  
1. MY HOUR OF NEED
2. TROUBLE IN MIND (*)
3. YOU ARE MY SUNSHINE
4. I'LL NEVER STOP LOVING YOU
5. I WON'T CRY ANYMORE
6. LONSOME ROAD
7. LET THERE BE LOVE (*)
8. THERE MUST BE AWAY
9. DOWN BY THE RIVER-SIDE (*)
10. LITTLE THINGS MEAN A LOT (*)
DODO GREENE (vo) IKE QUEBEC (ts) GRANT GREEN (g) 
SIR CHARLES THOMPSPON (org) HERBIE LEWIS (b) BILLY HIGGINS (ds)
MILT HINTON (b) (*) AL HAREWOOD (ds) (*)
録音 1962年4月2, 12日

このレコードは、1994年春に東芝から発売された「オリジナル・ジャズ・ヴォーカルLPコレクションj」からの1枚で、同じブルーノート・レーベルからのシェイラ・ジョーダンの「ポートレイト・オブ・シェイラ」と共に愛聴してきたヴォーカル・アルバムの1枚です。
ベースとドラムスを入れ替えて2回に分けて録音されています。

彼女は、教会のゴスペル・グループで歌っていたことからその影響を受けており、発声はクリアで且つソウルフルな歌手です。
バックを務めるアイク・ケベックの他、サー・チャールス・トンプソンが、ここではピアノでは無くオルガンを担当しており、また全曲では無いけれど、グラント・グリーンのソウルフルなギターの音色がドド・グリーンの声とうまくマッチングして効果を挙げている様に感じます。

「YOU ARE MY SUNSHINE」「LONSOME ROAD」「DOWN BY THE RIVER-SIDE」等の良く知られたナンバーはソウルフルに歌い、「I'LL NEVER STOP LOVING YOU」「I WON'T CRY ANYMORE」「LITTLE THINGS MEAN A LOT」等は、温か味のある表現で感情を込めて歌っています。

私の中では歌と共にバックの演奏が楽しめる「MY HOUR OF NEED」や「TROUBLE IN MIND」が好みであり、「TROUBLE IN MIND」は、同じゴスペル歌手のニーナ・シモンの他、浅川マキも取り上げています。

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私の愛聴盤(第186回)(ビクター・フェルドマン・トリオ)

2023-12-24 | 私の愛聴盤
第186回はリーダーのビクター・フェルドマンにスコット・ラファロが参加したトリオによる演奏集です。

「THE ARRIVAL OF VICTOR FELDMAN」 CONTEMPORARY S7549
  
1. SERPENT'S TOOTH
2. WALTZ
3. CHASING SHADOWS
4. FLAMINGO
5. S'POSIN
6. BEBOP
7. TOO BLUE
8. MINOR LAMENT
9. SATIN DOLL
VICTOR FELDMAN (vib, p) SCOTT LA FARO (b) STAN LEVEY (ds)
録音 1958年1月21, 22日

先の「レロイ・ヴィネガー・セクステット」に参加していたヴィクター・フェルドマンが、スコット・ラファロを迎えて録音したもので、同じコンテンポラリー・レーベルからのアルバムです。
これは、スコット・ラファロがビル・エヴァンスのトリオに加わる前の録音で、トリオというシンプルな編成において、フェルドマンとラファロのプレイが堪能できます。

アルバムは、フェルドマンの3曲とジャズマンを含めたスタンダード作品から構成されていて、ラファロのビートの利いた力強いベースの演奏も聞きどころとなっています。
ピアノを中心に演奏するのは「CHASING SHADOWS」「MINOR LAMENT」の2曲、また、ピアノとヴィブラフォンを交互に演奏するのは3曲ですが、「WALTZ」というタイトルでありながら4ビートで演奏しているものもあれば、「S'POSIN」ではミディアム・テンポで軽快にスイングしていて、この曲ではドラマーのブラシによるサポートが効果的です。
そして、「SATIN DOLL」では大半の曲の中でラファロのベース・ソロを聴くことが出来ますが、この曲でのラファロのプレイは特別です。

その他はヴィブラフォンの演奏となっていて、「FLAMINGO」では楽器の特徴である残響を上手く活かしており、「BEBOP」は超高速での演奏で、ヴィブラフォンは兎も角ラファロのベースの運指がすざまじいスピードで突っ走るスリルを味わえます。
また「TOO BLUE」では、ラファロがベースをまるでギターを弾くような感じのアドリブを披露してくれます。

このアルバムでのフェルドマンは、ピアノよりヴィヴラフォンによる演奏を楽しむプログラムとなっていますが、スコット・ラファロの超絶なベースも、エヴァンス時代と同様に聴き所が沢山あります。


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私の愛聴盤(第185回)(レロイ・ヴィネガー)

2023-12-17 | 私の愛聴盤
第185回はレロイ・ヴィネガーの「Walk」に関連する曲を集めたアルバムです。

「LEROY WALKS!」 STEREO S 7003
  
1. WALK ON
2. WOULD YOU LIKE TO TAKE A WALK
3. ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET
4. WALKIN'
5. WALKIN' MY BABY BACK HOME
6. I'LL WALK ALONE
7. WALKIN' BY THE RIVER
LEROY VINNEGAR (b) VICTOR FELDMAN (vib) GERALD WILSON (tp)
TEDDY EDWARDS (ts) CARL PERKINS (p) TONY BAZLEY (ds)
録音 1957年7月15日、9月16,23日

これはベーシストのリーダー・アルバムですが、ヴィブラフォンが入ったことで非常に洗練されたサウンドが心地いい演奏集です。
そして、聴きどころは、リーダーの確実で端正なベース音と、ヴィクター・フェルドマンによるアレンジで、特に1曲目の「WALK ON」と3曲目の「ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET」は演奏時間も長く、アレンジの妙をたっぷりと味わうことが出来ます。

その「WALK ON」は、リーダーのレロイ・ヴィネガー自身の作曲によるもので、バウンスするベースのビートをバックに全員によるテーマが演奏され、続いてテナーサックス、ヴィブラフォン、ミュート・トランペット、ピアノが順次軽快なアドリブを披露し、最後はベースがソロを取って(と言ってもコード進行に沿って歩くように4つを刻むだけですが)、最後はベースと残りのメンバーによる4バースという珍しい組み合わせを経てテーマに戻っています。
そして、軽快なテンポで演奏される「ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET」は、管楽器が入って華やかであり、ドラムスを含め全員が順次ソロを取っています。

「WOULD YOU LIKE TO TAKE A WALK」はホーンを除いての演奏で、ヴィブラフォンのファンによる残響とベースの調和が美しく、続くカール・パーキンスも粋なピアノ・ソロを披露してくれます。
なお、演奏途中でヴィブラフォンから瞬時にピアノに代わることから、後からの被せ録音かも知れません。
「WALKIN’」はテーマの後、ピアノ、ミュート・トランペット、ヴィブラフォン、テナーサックスの順でソロのリレーが行われますが、この間裏方で支えていたベースがそのまま4ビートのウォーキングでソロを取った後テーマに戻っています。
「I'LL WALK ALONE」もホーンを除いた形での演奏で、冒頭からヴィネガーのベースがソロを取る形で進行し、それにヴィブラフォンとピアノが加わりますが、後半はやはり4ビートによるベース・ソロとなりますが、淡々とした演奏にも関わらず味があります。
最終曲の「WALKIN' BY THE RIVER」は、アップ・テンポの曲ですが、ゴツゴツした感じのアドリブを取るテナーサックスのテデイ・エドワーズと、ヴィブラフォンとピアノを交互に使い分けながらアドリブを展開するフェルドマンと、リーダーのベース・ソロが印象的な1曲です。

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