

Joe Newman / Joe Newman Quintet at The Count Basie's ( 米 Mercury Records MG-20696 )
カウント・ベイシー・オーケストラに在籍したミュージシャンがソロ活動でアルバムを作る際、その音楽はスイング系だったり中間派だったりする場合がほとんどなので、
彼らはそういうタイプの音楽しかやらないのか(できないのか)と考えがちだが、カタログの中にはこっそりとモダンをやっているものがある。そして、そういうタイトルを
聴くと、意外にも上手くモダンをこなしていることに驚かされることが多い。フランク・フォスターにしてもフランク・ウェスにしても、彼らのやったモダンの演奏はなぜか
数は多くないけれどもどれも一級品で、私も愛聴している。
ジョー・ニューマンもベイシー楽団に長く在籍してその腕を振るっていたが、ソロ活動にも積極的で自己名義のアルバムをたくさん残している。その中で珍しくメインストリーム
側に寄せた音楽を披露しているのがこのアルバムだ。そのカギを握るのがオリヴァー・ネルソンで、彼の重みのあるテナーが音楽をグッとモダンに寄せる効果を出している。
オリヴァー・ネルソンも結局何をやりたかったのかがイマイチよくわからなかった人だが、ここでの一テナーマンとしての演奏を聴いているとベースはやはりモダン・テナー奏者
だったのだと思う。バックのリズム・セクションも地味なメンツながらしっかりと音楽を支えていて、熱いライヴ演奏となっている。
ジョー・ニューマンの奏法のベースはやはりスイング系のもので、こういう音楽の中で聴くとモダン・トランペッターのそれとの違いが明確にわかるが、随所で鋭くキレのいい
フレーズを挟み込むなど、彼の他のリーダー作とは一味違う。百戦錬磨のベテランらしく演奏は安定していて、しっかりと聴かせる。
この "Count Basie's" というのはニュー・ヨーク7番街132通りにあったクラブのようだが、どんな感じのクラブだったのだろう。この演奏を聴く時はいつも、行ったことのない
ジャズ・クラブのその外観や内装なんかを想像する。名前からしてそそるものがあるじゃないか。当時はそういう演奏を聴かせる店がたくさんあったのだろう。ライブアルバム
を聴く醍醐味の1つである。