あしたのブログ!趣味や日々の報告ページ

このページを活用し趣味や日々のことなどを中心に報告しています。

ハン・ベニンクのソロ・ライブ

2014-08-30 | JAZZ
都内のレコード店が企画した、ハン・ベニンク(ds)のミニ・ライブに行ってきました。

ハン・ベニンク (HAN BENNINK / 1942年4月17日 - ) オランダ、ザーンダム生まれ

自国は勿論のこと、世界中で極めて重要なジャズ・ドラマーの一人として知られ、且つフリー・ミュージックのパフォーマーです。
少年時代からドラムス、クラリネットを習い始め、60年代初期はヨーロッパを訪れた米国の著名なジャズ・ミュージシャン達のサイドマンを務めています。
62年に同国のミシャ・メンゲルベルク(p)と出会い、カルテットを結成、64年にエリック・ドルフィーの「ラスト・デイト」セッションに参加。

ライブに出かける前に、彼のソロ・アルバムを聴いてみました。
レコードのジャケットも自らが描いたものです。
「SOLO / HAN BENNINK」 ICP 011
   
録音 1971年 - 1972年

扱っている楽器(?)は、スネア・ドラムの他に、色々な打楽器(木魚もあります)、弓鋸を弓で弾くSAW、トランペット、トロンボーン、それに自らのヴォイスなどなど・・・

今日の昼間、この時にしか聴けない「音の饗宴」を大きい音で楽しみました。


そして夕方、レコードでは聴けない(見れない)パフォーマンスを求めて会場へ・・・
店の階段の壁には、ハンさんが書いた絵が多く並んでいましたが、その内の1枚です。
この売り場の先が、今日の舞台です。
ハンさんは、ドラムのセッティングの間、陽気に口笛を吹いていました。
   

聴衆は凡そ40人で、ほぼ定刻通りの19時30分、
ハンさんが椅子に座るや否や、スティックでドラムに向かって「バン!」と強烈な一撃、そして「Sorry」と一言で、会場がドッと湧き、演奏が始まりました。
最初はスティックで大胆に、次にブラシに持ち替えて繊細に・・・
スネア・ドラムだけでスゥイングし、身体が揺れてきます・・・
とてもいい感じ・・・
    

更にはドラムの上に布を掛けて、パタパタと・・・
その後、床に座って床をパチパチ叩いたあとで、白いヘルメットの上からもパチパチ、自らハミングし歌いながら、ニッパー(犬)にもご挨拶、
   

最後はニッパーをドラムの上に載せてのパフォーマンス・・・
ここまで凡そ20分、叩きっぱなしのハンさんは、やはりスゴイ!
   

帰りにミシャ・メンゲルベルクとハン・ベニンクのデュオ・アルバム(CD)を購入し、サインを頂きました。
「MI HA」 ICP 031 (録音 1997年)
  

「生ハン」さんの演奏を間近で拝見し、とても満足の一夜でした。


我が富樫雅彦にもパーカッションだけのソロ・アルバムがありますので、紹介します。
これは「RINGS FOR MYSELF」(録音75年11月)に続く2作目で、録音も良く演奏内容も充実しています。
「THE FACE OF PERCUSSIN」 パドルホイール K28P - 6050
  
録音 1980年8月

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山下洋輔の作品

2014-08-29 | クラシック
ジャズ・ピアニスト、作曲家、エッセイスト、作家と多彩な顔を持つ山下洋輔、彼の作品をクラシック演奏家が取り上げた演奏の一部を並べてみました。

「茂木大輔 オーボエ & ウインズ / 山下洋輔組曲」 マイスター・ミュージック MM-1061
  
オーボエ奏者の茂木大輔をリーダーとしたクラリネットとファゴットのトリオ、この3人が繰り広げる山下の作品の他、ミンガス、モンクなども・・・
どの曲も、しっかりとしたテクニックで、一糸乱れぬ演奏、こうして聴いてみると、これはジャズ演奏家の作品を基にした完璧なクラシック音楽です。


「ラプソデイ・イン・ブルー / 山下洋輔」 キティ・レコード H33K 20062

前半の5曲はピアノ・ソロで、後半のピアノ五重奏曲(3曲)はストリングス・カルテットとの共演です。
1曲目の「無伴奏チェロ」の出だしは神妙に、後半はお得意の「手クセ」を披露、
2曲目のショパンの「ノクターン」は、映画「愛情物語」のカーメン・キャバレロの演奏で有名ですが、ここは山下流解釈のノクターン、
3曲目の「ラプソディ・イン・ブルー」では“ ピアノは小さなオーケストラ ”の如く、鍵盤の低音から高音までをフルに使い、オーケストラの音として鳴り響かせています。
4曲目の「乙女の祈り」も山下流演奏ですが、後半のアドリブの中で「ユーモレスク」の一節を織り交ぜているところなどはご愛嬌です。
5曲目の「ユーモレスク」と、6曲目以降の「ピアノ五重奏曲」はライブ演奏で、第三楽章ではピアノと弦楽器の対峙も聴かれます。


「佐渡裕/山下洋輔 / ピアノ協奏曲第1番 《エンカウンター》」 エイベックス AVCL-25163
  
山下洋輔作曲の4楽章からなるコンチェルト、
初演は2000年1月9日、オペラ・シティのニューイヤー・コンサートです。
その後、国内外で再演を重ね、2004年11月12日、イタリア・トリノでの演奏となりました。
サブ・タイトルに「即興演奏家のためのエンカウンター」とあり、ピアノ・パートは書かれた部分とアドリブ部分がある訳で、第4楽章では締太鼓も加わり、2人の掛け合いも行われています。
ピアノ・パートでは随所にお得意の「手クセ」が出てきて、他のピアニストには真似できない演奏となっています。
この演奏、指揮者の佐渡裕、編曲者の栗山和樹、そして締太鼓の植村昌弘にも拍手を送りたいと思います。

そして、アンコールのラヴェルの「ボレロ」、
全編ピアノだけで演奏されていて、オーケストラでは打楽器が担当する特徴あるリズム部分を、終始左手で弾き続けるところは、“あっぱれ”と言うほかありません。

音楽をジャンル分けすることは適切ではありませんが、これがジャズかクラシックかと言えば・・・
やはりクラシックと言うことになるでしょう。


山下洋輔のサイトに以下の記事が載っていました。
「山下洋輔 encounters 茂木大輔×東京フィルハーモニー交響楽団」
山下洋輔が茂木大輔を指揮者に迎え、「シンフォニック・ジャズ」を演奏するコンサートを開催します。
曲目は、都内でオーケストラと共演するのは久しぶりのガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」と、自作コンチェルト第1番《エンカウンター》第4楽章ほか。
《エンカウンター》第4楽章は、昨年のシエナ・ウインド・オーケストラとのツアーでは挾間美帆編曲による吹奏楽版を演奏しCD化されましたが、今回は栗山和樹編曲のオーケストラ版で、締太鼓には初演時にも演奏した植村昌弘を迎えます。
2014年11月24日(月・祝)の15時、江戸川区総合文化センターにて開催、チケットは好評発売中です。(Aug 4, 2014)


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中本マリの2枚

2014-08-27 | JAZZ
安田南に続いて同世代のジャズ歌手、中本マリの2枚のアルバムです。

中本マリが本格的にジャズを歌うようになったのは、1970年赤坂のVIPAルームで、歌伴の名手大沢保郎トリオの専属歌手として出演、その後横内章次カルテットに替って行きましたが、ここで彼女のオリジナリティが確立されています。
独特のハスキー・ヴォイスで、ブルージーなバラードからミディアム・テンポのものまで得意としています。
元来クラブ・シンガーの彼女は、これまでにコンボをバックにしたアルバムを制作し、その成果は「スリー・ブラインド・マイス」レコードに記録されています。

下は彼女のデビュー盤です。
「UNFORGETTABLE」 three blind mice TBM-21 (録音 73年9月)
 
このレコードが発売された後、私の会社の取引先の従業員の方が「中本マリを知ってる?」と話しかけてきて、聞くと彼女の親戚ということで、その人に彼女のライブを紹介して頂いた想い出のアルバムです。
(これは貴重なアルバムですが、CDが発売されたのでLPを処分してしまったことから、今となっては悔いが残る1枚です。)


話を戻して・・・
今回取り上げたのは、東芝EMI企画による「プロ・ユース・シリーズ」の中の2枚です。
この一連の企画は、タイトル通り「音」にもこだわったオーディオ・マニア向けの作品で、中本マリはピアノ・トリオとフル・バンドでの録音を残しています。
この2枚は共に1曲目がウォーキング・ベースに乗って歌う彼女の歌から始まっていて、これも企画ならではのものと思います。

「JUST IN TIME」 東芝EMI FL-91012
   
 1. YOU GO TO MY HEAD
 2. JUST IN TIME
 3. AUTUMN IN NEW YORK
 4. I’M GONNA SIT RIGHT DOWN AND WRITE MYSELF A LETTER
 5. ANGEL EYES
 6. BABY, WON’T YOU PLEASE COME HOME
 7. I’M GLAD THERE IS YOU
 8. WE’LL BE TOGETHER AGAIN
 9. I THOUGHT ABOUT YOU
10. YOU GO TO MY HEAD
中本マリ(vo) 藤井貞泰(p, arr) 原田政長(b) 中山正二(ds)  録音 1975年10月16,17,22日

このアルバムの録音は東京EMIの第一スタジオで行われ、「歌」「伴奏」「録音」と三拍子揃った出来となっています。
ミデアム・テンポ良し、バラード良しのマリの歌がたっぷり味わえます。
また、最初と最後に同じ曲を持ってきたところは、行方ディレクターのアイデアでしょう。


「THAT OLD FEELING」 東芝EMI LF-91023
   
1. LULLABY OF BIRDLAND
2. UNFORGETTABLE
3. BUT NOT FOR ME
4. AS TIME GOES BY
5. IT’S ALL RIGHT WITH ME
6. ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET
7. SHINNY STOCKINGS
8. SOMEONE TO WATCH OVER ME
9. THAT OLD FEELING
中本マリ(vo) 横内章次(arr) 録音 1976年8月2, 10日

こちらは聴いてみたいスタンダード曲のオンパレードで、バックでソロを取るメンバーも錚々たる顔ぶれとなっています。
伏見哲夫(tp)、羽鳥幸次(tp)、宮沢昭(ts)、中沢忠孝(tb)、ジェイク・コンセプション(as)、横内章次(g)、ジミー竹内(ds) 等々・・・
1曲目の「バードランドの子守歌」では、彼女のスキャットとトロンボーンとの掛け合いも聴かれます。
最後を飾るタイトル曲も、思う存分フェイクして歌いまくっています。
このレコードは、横内章次のアレンジも良く、歌と演奏の両方が「いい音」で楽しめるアルバムです。

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安田南が歌うジャズ・アルバム

2014-08-25 | JAZZ
前回登場した山本剛は歌伴も抜群に上手いピアニストです。
その山本剛トリオがバックを務めた、安田南の最もジャズらしいアルバムです。

「SUNNY」 FRASCO FS-7002
   
1. SUNNY
2. I’M BEGINNING TO THE LIGHT
3. LOVE
4. 赤とんぼ ~ FLY ME TO THE MOON
5. YOU ARE MY SUNSHINE
6. I’M IN THE MOOD FOR LOVE
7. DAY BY DAY
8. BEI MIR BIST DO SCHON
9. IT’S BEEN A LONG LONG TIME
安田南(vo) 山本剛(p) 岡田勉(b) 小原哲太郎(ds)  録音 1975年9月1,2日

各地のライブ・ハウスでは、彼女がアルバムを発表する前から絶大な人気だったそうです。
そういう実力を備えた歌手が作ったレコード、彼女の十八番が詰まっでいて、独特な歌い回しと、山本のピアノが上手くマッチングしているアルバムです。
何といっても、それまで聴いたことが無い歌手の個性が前面に出た歌で、非常にインパクトがありました。
これまでに4枚のアルバムが制作されており、これは前年(74年2月)の「SOUTH」に続く同じメンバーによる2作目のものです。

このレコーディングに関し、当日の彼女の行動が解説書にありました。
ここからは、彼女の人間性が垣間見えます。
そして評論家小川隆夫氏の解説書も一緒に、
 

「South」は、1作目とあってチョッと肩に力が入っているようです。
 

ついでと言っては何ですが、わが家の「みなみ」も紹介します。



ここで、安田南のことをフリー百科事典から拾ってみました。

中学の時、北海道札幌から東京目黒区の区立中学校に転入する。
同級生に佐藤信(劇作家・演出家)がいた。一人で演劇部を創設するなど、活動的な生徒であった。
高校を卒業後の1961年、18歳でテレビ番組、勝ち抜きジャズボーカル部門に出演し優勝、世界一周をした実力派。
1964年頃から米軍キャンプでもステージに立つようになり、ジョージ川口とビッグ4、鈴木勲トリオなどを経てフリーに。
ジャズの枠にとらわれない奔放・個性的な歌唱スタイルで、1970年代に熱狂的な人気を集めた。
1974年から1977年まで4枚のアルバムを発表しているが、他の歌手と比べ残した音源は多くなく、「アングラの女王」の異名があった。

1971年、第三回中津川フォークジャンボリーのメインステージの安田南のライヴは、暴徒のため演奏中にステージを占拠されてぶち壊しになり、フォークジャンボリーは二度と開催されなくなった。

歌手活動以外でも、自由劇場・黒テントを中心とした舞台出演・ラジオのDJ・エッセイの執筆などにマルチな才能を発揮した。
西岡恭蔵の「プカプカ」(みなみの不演不唱)のモデルとも言われる。
また、写真家で、アルバム『Some Feeling』のジャケットを手がけた中平卓馬とは、恋愛関係にあった。

1972年には、若松孝二監督の映画『天使の恍惚』で、主要人物の「金曜日」役で出演が決まっていたが、撮影途中に突然行方をくらまして降板し、後任は横山リエがつとめた。
なお、同映画のサウンドトラックに収録されている「ウミツバメ Ver.2」は、クレジットでは横山の歌唱とされているが、演奏の山下洋輔は安田の歌声であると断言している。

音楽プロデューサーで、東京・下北沢のジャズバー『LADY JANE』オーナーの大木雄高は、安田を「ジャズのスタンダードを日本で初めて歌いこなした歌手」と評している。
親交のあった作家の瀬戸内寂聴も、歌手としての実力とともに、文才を高く評価していた。

1990年代以降、事実上引退していたが、2004年7月アルバム『Some Feeling』が27年ぶりにCDで復刻された。

映画評論家の梅本洋一が、2009年初めに安田の知人の森山大道(写真家)に、彼女の消息を聞いた所、「既に鬼籍に入っている」という返答であったという。
また、雑誌「ジャズ批評」2013年7月号の佐藤信のインタビューでも、「既に亡くなった」という旨の証言がなされているが、正確な没年月日・死因等については不明である。


上記の中に登場する若松孝二監督の映画「天使の恍惚」、
この音楽を担当した山下洋輔トリオの演奏がCD化されています。
また、先日NHKの「音楽音泉」という番組の中で、ゲストの大友良英がこれを推薦していました。
    

安田南の「サニー」が録音された当時、いずれも新人であった中本マリや伊藤君子の歌もよく聴いていました。

次回は中本マリを取り上げたいと思います。

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山本剛のもう1枚

2014-08-24 | JAZZ
山本剛は、私の愛聴盤第46回で「ミステイ」を紹介しましたが、その曲にチョッピリ絡んだ事情があるため、再登場となりました。

アルバム「ミステイ」が録音された1967年8月から10年が経った77年9月、ゲスト出演としてモンタレー・ジャズ・フェスティバルのステージに立ったのですが、その時弾く予定だった「ミステイ」が、直前になって別の奏者によって演奏されてしまったため、急遽「ミッドナイト・サン」に変更したのだそうです。

その時のステージの様子については、今は亡き評論家の野口久光さんのコメントがあります。


ヴァイブ奏者のライオネル・ハンプトンが作曲したこの「ミッドナイト・サン」、これをタイトルにしたのが、米国から帰国した後に録音された下記のアルバムです。

「MIDNIGHT SUN」 three blind mice TBM-5009
  
1. MIDNIGHT SUN
2. AUTUMN LEAVES
3. WAVE
4. A SHADE OF LOVE
5. BILLY BOY
6. LOVE IS HERE TO STAY
7. BLUE MANHATTAN
8. KID
山本剛(p) 岡田勉(b) 岸田恵士(ds)  録音 1978年6月3, 4日

1曲目の「ミッドナイト・サン」は、「ミステイ」と同じ雰囲気の演奏で、最初はゆったりとしたテンポでソロから入り、装飾音を散りばめながらアドリブに入って行きます。
2曲目の「枯葉」は、多くの人が取り上げていますが、彼もお得意の曲の一つで、スインギーなアップ・テンポのナンバーです。
3曲目の「ウエイブ」はカルロス・ジョビンの作ったボサノバですが、ここでは4ビートとなっています。
4曲目の「ア・シェイド・オブ・ラブ」と、8曲目の「キッド」は、5歳になる愛児へ捧げた彼のオリジナルで、いずれもソロでしっとりと演奏しています。
5曲目の「ビリー・ボーイ」は、レッド・ガーランド・トリオがマイルスの「マイルストーン」の中で演っていますが、山本はミデアム・アップ・テンポでぐいぐいと弾いていて、左手によるアクセントが一層のスイング感を引き出しています。
6曲目の「ラブ・イズ・ヒアー・スティ」は、他の誰もが経験したことのないようなスロー・テンポで演奏され、それに合わせバックの2人もぐっと抑えたプレイに徹しています。
このアルバムのピアノ・トリオ演奏時間は、いずれも5~6分のところ、この曲だけは8分21秒と長いですが、ダレるところはありません。
7曲目の「ブルー・マンハッタン」は、12小節のブルース形式のオリジナルですが、ブルースの匂いは無く、ミデアム・テンポでの軽快な曲となっています。

このアルバムは、「ミスティ」の録音からおよそ11年が経過していますが、山本剛は殆ど変らないスタイルとタッチで、楽しい演奏を提供してくれています。

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私の愛聴盤 (第46回)

2014-08-23 | 私の愛聴盤
第46回は山本剛トリオの「ミスティ」です。

山本剛(1948年3月28日 - ) 新潟県生まれ

小学校6年からピアノを弾きはじめたが直ぐに止めてしまい、中学校ではブラス・バンドでトランペットを吹いていました。
ジャズとの出会いは高3の時に聴いたアート・ブレイキーの音楽からで、再び独学でピアノを弾きはじめています。
大学在学中にプロの道に入り、1973年に自己のバンドを結成、74年初めからは六本木の「ミスティ」のレギュラー・ハウス・トリオとして活動を開始しています。

愛聴盤としてよく聴いている彼のアルバムのタイトルも「ミスティ」です。

「MISTY」 three blind mice tbm-30
    
1. MISTY
2. BLUES
3. YESTERDAYS
4. HONEY SUCKLE ROSE
5. SMOKE GETS IN YOUR EYES
6. I DIDN’T KNOW WHAT TIME IT WAS
7. ANGEL EYES
山本 剛(p) 福井五十雄(b) 小原哲次郎(ds)  録音 1987年8月7日

山本剛がピアノを練習していた頃のアイドルは、ボビー・ティモンズ、レッド・ガーランド、ウイントン・ケリーであったそうで、彼のピアノ・タッチから、今でもその影響は強く感じます。
これは「ミッドナイト・シュガー」に続く2枚目のアルバムで、
* 演奏良し
* 選曲良し
* 録音良し
* バランス良し 
の何拍子も揃った、非常にリラックスして聴ける内容となっています。

1曲目のタイトル曲である「ミスティ」はエロール・ガーナーの代表曲で、ガーナー自身「飛行機の機内でニューヨークからシカゴに向かっている時に、窓の外に広がる深い霧を眺めている時にこのメロディーが浮かんだ」というエピソードが残っています。
そのガーナーのオリジナル演奏より、無伴奏からはじまるこのアルバムの方が曲の雰囲気を良く表しているし、何たって山本剛のピアノ・タッチが素晴らしいです。
山本はこの曲を度々演奏しているそうで、一度は「生音」を聴いてみたいです。
2曲目の自作の「ブルース」も快適な演奏が展開され、ベースのソロやドラムスとのフォア・バースも絡めて、ピアノ・トリオの醍醐味を味わえます。
5曲目のジェローム・カーンの名作「煙が目に沁みる」は、少し早目のテンポを取りながら弾く、左手のビハインド・ザ・ビートが素晴らしいです。
7曲目の最後は、ピアノ・ソロで、マット・デニスの「エンジェル・アイズ」、このバラードを更に美しいタッチで締め括っています。

この「ミステイ」、昼夜問わず良く聴くので、昼間はLP、夜はCDと使い分けています。
下はエロール・ガーナーの演奏が聴けるCDと、何時もお世話になっているCDです。
   

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ベイズン・ストリート・イーストのレイ・ブライアント

2014-08-21 | JAZZ
レイ・ブライアント・トリオのニューヨークのクラブでのライブ盤です。
元来、ブルースやゴスペル系のタッチが得意なブライアントが、ライブとあって、ジャズ・スタンダードからゴスペル調の自身のオリジナル、それにボブ・ディランの「風に吹かれて」まで、幅広いレパートリーを演奏しているご機嫌なアルバムです。

「RAY BRYANT LIVE AT BASIN STREET EAST」 SUE RECORDS STLP 1019
  
 1. WHAT IS THIS CALLED LOVE
 2. C-JAM BLUES
 3. SISTER SUZIE
 4. THIS IS ALL I ASK
 5. LOVE FOR SALE
 6. BLOWIN’ IN THE WIND
 7. SATIN DOLL
 8. DAYS OF WINE AND ROSES
 9. BLUE AZURTE
10. ALL THE YOUNG LADIES
RAY BRYANT(p) JIMMY ROWSER(b) EN RILEY(ds)  録音 1963年

全10曲の中で、いくつかピック・アップしてみると、エリントン作曲のCジャム・ブルースは、何度もレコーディングしているお得意の曲ですが、61年にCBSレーベルに吹き込んだ「コン・アルマ/CON ALMA」の演奏に似た展開がなされています。
3曲目の自身のオリジナル(シスター・スージー)は、別のタイトルで有名な「リトル・スージー」に良く似ています。
スタンダードの「酒とバラの日々」は、62年の映画の主題歌です。
「風に吹かれて」は、ディランのセカンド・アルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」に収録され、シングル・カットされた楽曲ですが、63年に発売され、この時ちょうど大ヒットしていたことから取り上げられたものと思われます。(アドリブは1コーラスだけで、メロディーを繰り返し弾いています)

大半の曲は4分前後で、非常にリラックスした演奏が展開されており、会場の残響を上手く利用したライブの雰囲気がタップリ味わえる録音となっています。

因みにこの「スー」というレーベル、
R&B系の会社で、1957年に2人の黒人により設立されましたが、63年には活動を停止しています。

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ナベサダの最新映像と演奏

2014-08-19 | JAZZ
先日BSスカパーで、渡辺貞夫さんの「ジャズのルーツを探る」という番組が放送されました。
映像は、今年の6月に米国東海岸の3都市を巡る演奏と、ボストンでの回想を中心に展開していました。

   

貞夫さんが学んだ当時のバークリー音楽院のあった場所は、ブティックに変っていたようです。
2枚目はバークリー音楽院時代のもので、前列右から2番目が貞夫さん、一番右はチャーリー・マリアーノ?
渡米時の所持金は$200で、そこから必需品を購入し、お金が底を付く前に演奏で稼がなければならなかったそうです。
3枚目は当時から苦労を共にした、在りし日の貢子夫人と、
  

今回行った各地でのライブ演奏映像、
ワシントンDCでは、日本大使館内での演奏も行われていました。
メンバーは、渡辺貞夫(as) Russell Ferrante(p) Felix Pastorius(b) Willam Kennedy(ds)
   
貞夫さんの演奏は驚くほど若々しく、聴衆の皆さんも驚き、そして絶賛していました。

1962年から65年にかけて、ボストンのバークリー音楽院で学んだ後、帰国し直ちに音楽活動を開始、下記は帰国後の4作目で、67年2月1日にタクトが発売した最初のアルバムです。
中でのポップな演奏は、ゲイリー・マクファーランドからの影響が強く表れています。
「JAZZ & BOSSA」 Takt JAZZ-1
    
このタクト・レーベルは、オーディオ・メーカーであったタクト電機のレコード部門が製作したもので、当時は日本の代表的ジャズ・メンの演奏を次々に手がけ、セールスも好調だったようです。
1968年7月に日本コロムビアと業務提携され、以後は日本コロムビアから発売されています。

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2014年の富士山(8月第2回)

2014-08-17 | 富士山
旧盆の週末を利用して、早朝の山中湖に行ってみました。
富士五湖地方は15日(土)、16日(日)共に天候が芳しくなく、クッキリ、ハッキリの富士山は撮れませんでした。

それでも、せっかく来たのだからと、微かに見えたお山をカメラに収めてきました。
早朝5時前から、7時までの凡そ2時間の間、雲の間から「ちょっとだけよ」と見えた富士山です。
早朝は、大勢のカメラマンが何時か、何時かと、その時を待っていましたが、結局この日はここまでで、午前7時には誰もいなくなりました。
     
    

16日夕方は、談合坂から小仏まで、凡そ18㎞に渡って渋滞した低速道路を、長時間かけて戻ってきました。 

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チャーリー・ラウズの2枚

2014-08-14 | JAZZ
チャーリー・ラウスは、CBSコロムビア時代のセロニアス・モンク・カルテットでの演奏が強く印象に残っていますが、今回はその後に録音された彼の2枚のリーダー・アルバムを取り上げました。

チャーリー・ラウズ(Charlie Rouse) 1924年4月6日 - 1988年11月30日) ワシントンDC生まれ

セロニアス・モンクのグループで活動していたのは1959年から1970年までですが、それ以前はビリー・エクスタイン楽団を皮切りに、エリントンやベイシーなどのビック・バンドにも参加しています。
一聴すると直ぐに判るゴツゴツとしたフレーズで、長い間モンクの相棒を務めて来ました。
モンク(82年2月17日没)亡き後は、そのトリビュート・バンドとして「スフィア(Sphere)」の創設メンバーとして活躍しました。

1970年以降の最初のリーダー・アルバムです。
「MOMENT’S NOTICE」 Jazzcraft 4
   
1. THE CLUCKER
2. LET ME
3. JOOBOBIE
4. WELL YOU NEEDN’T
5. ROYAL LOVE
6. A CHILD IS BONE
7. LITTLE SHERRI
CHARLIE ROUSE(ts) HUGH LAWSON(p) BOB CRANSHAW(b) BEN RILEY(ds)
録音 1977年10月20日
1曲目は日本古謡の「サクラ・サクラ」のメロディーに似たリフ曲で、スタートからラウズの快演が聴かれます。
他でもテーマを断片的に繰り返すのは3、5曲目ですが、5曲目ではヒュー・ローソンが後半のピアノ(トリオ)で好演しています。
2、7曲目は12小節のブルースです。
4曲目のモンク作のウエル・ユー・ニードントは、モンク時代よりアップ・テンポで演奏されています。
6曲目のサド・ジョーンズ作曲のチャイルド・イズ・ボーンの前半は、ラウズが情感込めて演奏するスロー・バラードが絶品で、中間部のピアノ・トリオからはややアップ・テンポとなり、
ラウズに戻っても、そのままのテンポで演奏されています。

次はレッド・ロドニーを迎えての、ハード・バップ・アルバムです。
「SOCIAL CALL」 UPTOWN UP 27_18
    
1. LITTLE CHICO
2. SOCIAL CALL
3. HALF NELSON
4. GREENHOUSE
5. DARN THAT DREAM
6. CASBAH
CHARLIE ROUSE(ts) RED RODNEY(tp, flh) ALBERT DAILEY(p)
CECIL McBEE(b) KENNY WASHINGTON(ds)  録音 1984年1月21, 22日
最初のアルバムとは趣を変え、ハード・バップ時代のオリジナル作品を多く取り上げており、また2管となったことで躍動感が感じられます。
5曲目のダーン・ザット・ドリームは、このアルバム唯一のバラード演奏であり、ラウズ、ロドニー共にしっとりした名演を展開しています。

このアルバムの録音エンジニアはルディ・ヴァン・ゲルダー(RVG)で、時代は丁度オープン・リールを使ったアナログ録音からデジタル録音に切り替わって行く時期と重なります。
彼自身もデジタルを駆使して新たな音作りに挑んでいたようですが、出来上がった音は正に「RVG音」であり、2つのアルバムを比較してみた時、ラウズは全くの別人のようで、音の輝きがまるで違っていました。

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