先月の東京遠征で、新宿ゴールデン街のロックバー「原子心母」が閉まっててジダンダを踏むという悔しい思いをしたので、先週、神戸まで予てから気になって気になってしゃーなかった「原始神母」のライブを初体感してきた。
原始神母とは、日本のピンク・フロイド・トリュビュート・バンド。
あのレベッカ、レッド・ウォーリアーズのギタリストでもあった木暮“shake”武彦氏を中心に、フロイド好きの腕利きのミュージシャンが集まって、フロイドの珠玉の名曲群を可能な限り忠実に再現しようと試みる、日本ではかなり貴重且つ大胆不敵なライブ・プロジェクト・バンドで、バンドメンバーには元VOW WOWの厚見玲衣氏なんかも名を連ねている。
まぁ小生、レッド・ウォーリアーズもVOW WOWもほとんど通っていなくて、この2バンドからもフロイドに通じるような要素は感じたことがない。
ただ、木暮氏は無類のフロイド好きで知られており、あの1994年の『P.U.L.S.E』ライブも実際アメリカまで行って目撃している(羨!)日本人のひとり。厚見氏はVOW WOWに加入する前、ムーンサンダーというアイドルプログレッシヴバンドのリーダーだった。
原始神母の存在を知ったのは約3年前で、昨年も行きたかったのだが繁忙期すぎてとてもじゃないが有給をとって神戸までいける状況ではなかったので泣く泣く諦めた。
今回は意を決して「家庭の事情」と偽って仕事をサボり、神戸に赴いた。
関西ではなぜかいつもこのチキン・ジョージのみ。ちょっと遠いんだよ。
神戸チキン・ジョージは確か12年前くらい(ゆら帝やったか?)にいったきりで、こんなシックな外装してたっけ?とあまり記憶に残ってない。
で、会場入りして「こんな小規模でこんな内装やったっけ?俺ホンマにここ来たことあったっけ?」と、ますます謎は深まるばかりだった。
でも、扇状のステージを見て、「なるほど、原始神母がここでライブを演りたがるのはこのステージだからか」と納得した。
客席はやはり見事なまでに初老のオッサンばっか!
会場のBGMは『アニマルズ』が延々と流れてた。
そろそろアルバム一周するかな、ていう段になってやっと原始神母のメンバーが登場。
元EZOのドラマー本間大嗣氏の従兄弟だというキーボードの三国義貴氏が「ピーーン、ピーーン」という緊張感漲る音を鳴らしだして、一発目「エコーズ part.1」の演奏が厳かに始まった。
もう出だしから思ったが、これは聞きしに勝る再現度であると!
そして、どんなステキなフロイドナイトになるのかとワクワクした。
完コピ!!というわけではないが、あのフロイド独特の音空間を見事に作り出しており、コーラス効果も絶妙で、もう極上の気分に浸ることができた。
シャケ降臨!
昨年よりステージに銅鑼を持ちこむようになったらしいが、もちろんそれはポンペイライブを再現するためで、あの酔狂めいた即興曲「神秘」が披露された。
シンバルを乱れ打ちしたあと、後ろの銅鑼をバンバンぶっ叩いていたのは、ベース担当の、昨年よりツイッター上で私のつぶやきに接触してきてくださった扇田裕太郎さんという方だった。
うんうん、やりたかったんだろうな~~
まぁしかし、これはさすがにロジャーの鬼気迫るあの野人のごときド迫力には程遠かった。なにより場所がポンペイでないのが弱点だ。あの密教の宗教儀式のような雰囲気は、あの円形演技場でないと出せないであろう。
手頃なところで、柴犬でも連れてきて「MADEMOISELLE NOBS」でも再現してくれりゃよかったのに。
前篇では、順番は定かではないが、「シンバライン」、「太陽賛歌」、「吹けよ風、呼べよ嵐」など、初期のフロイドの楽曲、それもファンが聴きたい!と思ってる曲をちゃんとやってくれるのは本当にありがたかった。
まぁ彼らも我々と同じファン目線で選曲してて、再現したいと思う曲が一致するのであろう。
もちろん高レベルの再現度なので、本当に楽しいことこの上ない。
一番興奮したのが、あの壮大なる長大作「原子心母」が始まったとき。
オーケストレーションは、2人のキーボーディストがあらゆる音色を駆使して再現に努めており、出だしのところは「ん?これあってんのかいな?」みたいな怪しい部分もあったものの、あの壮大な雰囲気をよくぞここまで再現してくれた!と、もう十二分に初期フロイドの音世界に陶酔できる演奏だった。
とにかく「神秘」にしても、「原子心母」にしても、それをライブで再現しようという意気込みが凄いなと。
これらの曲を挟んでの最後「エコーズ part.2」で前篇はしめくくられた。
会場がいいのか、音響も素晴らしかったが、照明ワークも凝っていて、ライブにとてつもない神秘的イリュージョンをもたらしていた。
後篇はやけにロックンロール色の強い「葉巻はいかが?」でスタートだったかな?
昨年の東京公演では、クリス・ペプラー氏がゲストで登場したらしいが、今年はここ神戸でもステキなゲスト、パックンマックンのマックンが登場!!
かと思いきや、この白人はケネス・アンドリューというヴォーカル担当の人だった。どうやらシャケのバンドCASINO DRIVEでも歌っているらしい。
確かにあっちの方なので英語の発音はカンペキだが、フロイドオリジナルヴォーカルのあのふんわり感はあまり再現できていなくて微妙だった。
フロイドの場合、ヴォーカルはあまり重要視されないかと思われるが、やはりあのふんわり感は重要だと今回思った。
ただ、威厳をもって高らかに歌い上げる「In The Flesh」だけはハンパない再現ぶりで、オーディションでこの曲を歌ってフロイドトリビュートヴォーカリストの審査に合格したんじゃないかって思った。
(「神秘」の時の最後のハミングも迫力あった。要はパワフルな歌唱を得意としてるみたいだ。)
「In The Flesh」
突如グルングルンした音が会場内を駆け巡りだして、しばらくしてこれは「走り回って」だということが判った。
いや、それにしても、フロイド『P.U.L.S.E』ライブの時もこの曲ではレコーディング音源をそのまま流してスクリーン映像で誤魔化してた(DVD映像上)だけなのに、厚見氏はこれをムーグシンセサイザーでツマミを操作して見事に再現していた。
こういった「走り回って」のライブ感は初めてで、これはフロイドより迫力があると思った。凄い!
ただ、私はこの時、後ろから今にも飛行機が飛び出してくるんじゃないかと気が気でなかった。
そっから、「Time」~「虚空のスキャット」と順番通りに『狂気』A面の再現が始まり、これがまた圧巻だった。
やはりこのバンドの要のひとつが、強力な女性コーラス隊だ。
バンド結成当時は成富ミヲリさんがひとりでこなしていたようだが、昨年あたりからラブリー・レイナさんが加わってより強力になったと思われる。
「虚空のスキャット」での、パートごとに分けての2人のスキャットは本当に圧巻だった。
ピンク・フロイド疑似体験とはよくいったもの!感動のあまり十何年か振りに久々にライブで目頭が熱くなった。
B面は「望みの色を」~「狂人は心に」~「狂気日食」が再現され、これも素晴らしかった。
先ほど、ベース兼銅鑼などをぶっ叩いたりと、ロジャー役を一身に引き受けていた扇田氏もかなりのクセ者らしく、そのプレーの実力のほどを見ていても筋金入りのフロイド好きと見受けられた。
「あなたがここにいてほしい」では、木暮氏とツインアコギを奏で、あのギターの音色にあわせるスキャットも披露していた。
そして今回ライブの最大のハイライト。
予告にも「『The Wall』より、ついにあの曲。解禁。」とあった。
「まず、Another Brick In The Wallてことはないよな。てことは、まだあの曲やってなかったのかな?」と思ってたが、やはりそうだった。
「Comfortably Numb」である。
とにかく気持ちよかった。極上だった。
しかるべき場面になると、ミラーボールも回り出した。もういうことなしである。
木暮氏のギターが咽び鳴きだした時、「こりゃミラーボール花開くわ」と思ってしまった。
(もちろん実際は開かなかったが)
木暮氏が「踊れないダンスナンバー」と紹介し「Money」が演奏され、本編が終了。
その後も、アンコールで「狂ったダイアモンド」や、そのまたアンコールで「ナイルの歌」、もう出口に向かっていたところに最後にとどめの予定外アンコール曲「天の支配」と、約3時間に渡るテンコ盛りライブで帰るに帰れない状況が続いた。
私は地元の終電時間に間に合うか気が気でなかったが、でも「やってくれるなぁ!」という、なんとも名状しがたい心情に陥っていた。
いや、極上のひとときだった!
今年は上半期からけっこう色々なライブをみたが、今回の原始神母ライブ、今年一番かもしれない。
座席に座りっぱの鑑賞ライブで、ウトウトすることもなくぶっ通しでこんなに興奮したライブって、多分今までにないと思う。
それほどこのライブが素晴らしかったってこと。
てゆうか、私ってこれほどまでにフロイドの楽曲が好きって知らんかった。
今度のライブも多分行く!今度はフロイド好きの友人を何人か連れて行こう。
やっぱ私はロックが好きだ!
原始神母ステッカー。
今日の1曲:『原子心母』 / 原始神母
原始神母とは、日本のピンク・フロイド・トリュビュート・バンド。
あのレベッカ、レッド・ウォーリアーズのギタリストでもあった木暮“shake”武彦氏を中心に、フロイド好きの腕利きのミュージシャンが集まって、フロイドの珠玉の名曲群を可能な限り忠実に再現しようと試みる、日本ではかなり貴重且つ大胆不敵なライブ・プロジェクト・バンドで、バンドメンバーには元VOW WOWの厚見玲衣氏なんかも名を連ねている。
まぁ小生、レッド・ウォーリアーズもVOW WOWもほとんど通っていなくて、この2バンドからもフロイドに通じるような要素は感じたことがない。
ただ、木暮氏は無類のフロイド好きで知られており、あの1994年の『P.U.L.S.E』ライブも実際アメリカまで行って目撃している(羨!)日本人のひとり。厚見氏はVOW WOWに加入する前、ムーンサンダーというアイドルプログレッシヴバンドのリーダーだった。
原始神母の存在を知ったのは約3年前で、昨年も行きたかったのだが繁忙期すぎてとてもじゃないが有給をとって神戸までいける状況ではなかったので泣く泣く諦めた。
今回は意を決して「家庭の事情」と偽って仕事をサボり、神戸に赴いた。
関西ではなぜかいつもこのチキン・ジョージのみ。ちょっと遠いんだよ。
神戸チキン・ジョージは確か12年前くらい(ゆら帝やったか?)にいったきりで、こんなシックな外装してたっけ?とあまり記憶に残ってない。
で、会場入りして「こんな小規模でこんな内装やったっけ?俺ホンマにここ来たことあったっけ?」と、ますます謎は深まるばかりだった。
でも、扇状のステージを見て、「なるほど、原始神母がここでライブを演りたがるのはこのステージだからか」と納得した。
客席はやはり見事なまでに初老のオッサンばっか!
会場のBGMは『アニマルズ』が延々と流れてた。
そろそろアルバム一周するかな、ていう段になってやっと原始神母のメンバーが登場。
元EZOのドラマー本間大嗣氏の従兄弟だというキーボードの三国義貴氏が「ピーーン、ピーーン」という緊張感漲る音を鳴らしだして、一発目「エコーズ part.1」の演奏が厳かに始まった。
もう出だしから思ったが、これは聞きしに勝る再現度であると!
そして、どんなステキなフロイドナイトになるのかとワクワクした。
完コピ!!というわけではないが、あのフロイド独特の音空間を見事に作り出しており、コーラス効果も絶妙で、もう極上の気分に浸ることができた。
シャケ降臨!
昨年よりステージに銅鑼を持ちこむようになったらしいが、もちろんそれはポンペイライブを再現するためで、あの酔狂めいた即興曲「神秘」が披露された。
シンバルを乱れ打ちしたあと、後ろの銅鑼をバンバンぶっ叩いていたのは、ベース担当の、昨年よりツイッター上で私のつぶやきに接触してきてくださった扇田裕太郎さんという方だった。
うんうん、やりたかったんだろうな~~
まぁしかし、これはさすがにロジャーの鬼気迫るあの野人のごときド迫力には程遠かった。なにより場所がポンペイでないのが弱点だ。あの密教の宗教儀式のような雰囲気は、あの円形演技場でないと出せないであろう。
手頃なところで、柴犬でも連れてきて「MADEMOISELLE NOBS」でも再現してくれりゃよかったのに。
前篇では、順番は定かではないが、「シンバライン」、「太陽賛歌」、「吹けよ風、呼べよ嵐」など、初期のフロイドの楽曲、それもファンが聴きたい!と思ってる曲をちゃんとやってくれるのは本当にありがたかった。
まぁ彼らも我々と同じファン目線で選曲してて、再現したいと思う曲が一致するのであろう。
もちろん高レベルの再現度なので、本当に楽しいことこの上ない。
一番興奮したのが、あの壮大なる長大作「原子心母」が始まったとき。
オーケストレーションは、2人のキーボーディストがあらゆる音色を駆使して再現に努めており、出だしのところは「ん?これあってんのかいな?」みたいな怪しい部分もあったものの、あの壮大な雰囲気をよくぞここまで再現してくれた!と、もう十二分に初期フロイドの音世界に陶酔できる演奏だった。
とにかく「神秘」にしても、「原子心母」にしても、それをライブで再現しようという意気込みが凄いなと。
これらの曲を挟んでの最後「エコーズ part.2」で前篇はしめくくられた。
会場がいいのか、音響も素晴らしかったが、照明ワークも凝っていて、ライブにとてつもない神秘的イリュージョンをもたらしていた。
後篇はやけにロックンロール色の強い「葉巻はいかが?」でスタートだったかな?
昨年の東京公演では、クリス・ペプラー氏がゲストで登場したらしいが、今年はここ神戸でもステキなゲスト、パックンマックンのマックンが登場!!
かと思いきや、この白人はケネス・アンドリューというヴォーカル担当の人だった。どうやらシャケのバンドCASINO DRIVEでも歌っているらしい。
確かにあっちの方なので英語の発音はカンペキだが、フロイドオリジナルヴォーカルのあのふんわり感はあまり再現できていなくて微妙だった。
フロイドの場合、ヴォーカルはあまり重要視されないかと思われるが、やはりあのふんわり感は重要だと今回思った。
ただ、威厳をもって高らかに歌い上げる「In The Flesh」だけはハンパない再現ぶりで、オーディションでこの曲を歌ってフロイドトリビュートヴォーカリストの審査に合格したんじゃないかって思った。
(「神秘」の時の最後のハミングも迫力あった。要はパワフルな歌唱を得意としてるみたいだ。)
「In The Flesh」
突如グルングルンした音が会場内を駆け巡りだして、しばらくしてこれは「走り回って」だということが判った。
いや、それにしても、フロイド『P.U.L.S.E』ライブの時もこの曲ではレコーディング音源をそのまま流してスクリーン映像で誤魔化してた(DVD映像上)だけなのに、厚見氏はこれをムーグシンセサイザーでツマミを操作して見事に再現していた。
こういった「走り回って」のライブ感は初めてで、これはフロイドより迫力があると思った。凄い!
ただ、私はこの時、後ろから今にも飛行機が飛び出してくるんじゃないかと気が気でなかった。
そっから、「Time」~「虚空のスキャット」と順番通りに『狂気』A面の再現が始まり、これがまた圧巻だった。
やはりこのバンドの要のひとつが、強力な女性コーラス隊だ。
バンド結成当時は成富ミヲリさんがひとりでこなしていたようだが、昨年あたりからラブリー・レイナさんが加わってより強力になったと思われる。
「虚空のスキャット」での、パートごとに分けての2人のスキャットは本当に圧巻だった。
ピンク・フロイド疑似体験とはよくいったもの!感動のあまり十何年か振りに久々にライブで目頭が熱くなった。
B面は「望みの色を」~「狂人は心に」~「狂気日食」が再現され、これも素晴らしかった。
先ほど、ベース兼銅鑼などをぶっ叩いたりと、ロジャー役を一身に引き受けていた扇田氏もかなりのクセ者らしく、そのプレーの実力のほどを見ていても筋金入りのフロイド好きと見受けられた。
「あなたがここにいてほしい」では、木暮氏とツインアコギを奏で、あのギターの音色にあわせるスキャットも披露していた。
そして今回ライブの最大のハイライト。
予告にも「『The Wall』より、ついにあの曲。解禁。」とあった。
「まず、Another Brick In The Wallてことはないよな。てことは、まだあの曲やってなかったのかな?」と思ってたが、やはりそうだった。
「Comfortably Numb」である。
とにかく気持ちよかった。極上だった。
しかるべき場面になると、ミラーボールも回り出した。もういうことなしである。
木暮氏のギターが咽び鳴きだした時、「こりゃミラーボール花開くわ」と思ってしまった。
(もちろん実際は開かなかったが)
木暮氏が「踊れないダンスナンバー」と紹介し「Money」が演奏され、本編が終了。
その後も、アンコールで「狂ったダイアモンド」や、そのまたアンコールで「ナイルの歌」、もう出口に向かっていたところに最後にとどめの予定外アンコール曲「天の支配」と、約3時間に渡るテンコ盛りライブで帰るに帰れない状況が続いた。
私は地元の終電時間に間に合うか気が気でなかったが、でも「やってくれるなぁ!」という、なんとも名状しがたい心情に陥っていた。
いや、極上のひとときだった!
今年は上半期からけっこう色々なライブをみたが、今回の原始神母ライブ、今年一番かもしれない。
座席に座りっぱの鑑賞ライブで、ウトウトすることもなくぶっ通しでこんなに興奮したライブって、多分今までにないと思う。
それほどこのライブが素晴らしかったってこと。
てゆうか、私ってこれほどまでにフロイドの楽曲が好きって知らんかった。
今度のライブも多分行く!今度はフロイド好きの友人を何人か連れて行こう。
やっぱ私はロックが好きだ!
原始神母ステッカー。
今日の1曲:『原子心母』 / 原始神母
私も、東京公演行ったので、思わずニヤリです。
確かに「走り回って」は圧巻でした。
また、行きたいのは同感です。
臨場感というか、原始神母さんの寛大さのおかげでいい写真が撮れたので自分的にはいい感じのライブレポに仕上がったかなと。
(ライブレポは実は苦手なのです)
東京はもっとゴージャスな空間で、客入りもこっちとは比べられないもで立ち見席まで満員らしいですね。
次回はどんな曲やってくれるのかと、今から楽しみで仕方がありません。