AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
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AIO AOI NIGHT ~ユリイカ編~

2007年03月20日 | しねしねシネマ
「AOI AOI NIGHT」続き。

『EUREKA ユリイカ』は青山真治監督の2000年作品で、宮崎あおい初出演作。
上映当時チケット代が2500円っちゅー高額設定だったため鑑賞を断念した映画なんですが、その一年後くらいにWOWOWで放映されたのを観て、やはり大変感銘を受けずにはいられない作品でした。
私の今までに見た日本映画の中で、5本の指に入るかも。

全編セピア映像で約3時間半もある映画なのに、全く無駄を感じさせず、最後まで退屈させないところが凄い。
BGMといえば、時々流れるピアノ伴奏くらい(これがとても効果的なのだ)。
この監督は編集カットという事を知らないのかと思わせるほど、どこどこまでも続く長編ロードムービーとなっている。

話は大変ショッキングなバス・ジャック事件のシーンから始まり、そこから辛くも生き延びたバス運転手の沢井(役所広司)と、乗客だった直樹(宮崎将)、梢(宮崎あおい)の兄妹(この2人のキャストは実際本当の兄妹)は、事件から2年後に偶然再会したのを機に共同生活を始めるようになり、こころの再生を求めやがて中古バスに飛び乗って旅に出る・・・・・・

というのがこの映画の全体のあらすじだが、とにかく3時間半もあるのに会話というものが全くない。宮崎あおいなどは終盤に2行くらいのセリフがあっただけでっせ。それで第11回日本映画プロフェッショナル大賞新人奨励賞を受賞したのだからすごい。

ただただこの4人の奇妙な共同生活が延々と映し出される中、事件のショックで言葉を失ってしまったこの兄妹が、突然の訪問者の沢井に微妙に心を開いていく様子が丁寧に描かれており、なんとも奥ゆかしくてたまらないのだ。
妹の梢はもう前半から殆ど沢井に心を全開にしていたが、兄の方は半開きという微妙な差も面白かった。
けれど途中参加の東京出身の従兄弟の秋彦には両人とも殆ど心を許さず。ぎこちなくただ黙々と彼らの身の回りの世話をする沢井とは対照的に、何でもわかってるかのように押し付けがましく面倒を見ようとする秋彦とは生理的に肌が合わないといった感じ。
もうこのしゃべりすぎる東京男のキャラクターは見てる側も嫌悪感を募らせずにはおれない。とにかく秋彦の存在は、他の映画やトレンディードラマでは普通なのかもしれないが、この映画の中では空回りの浮いた存在に映ってしまう。
多くを語らない男のカッコよさ、そしてダメ人間なりに不器用にも過去のシガラミから逃れようとする沢井の健気さがクローズアップされ、見てる側は自然と彼に感情移入してしまうのである。
説教がましいことを言わない沢井が後半に言い放つ「生きろとは言わん!死なんでくれ!」というセリフは凄く重みがあり印象的だ。
まぁ意味はよくわからないのだけれど。

そして、ラストに映し出される壮大な大観峰の絶景を大スクリーンで見ることができただけでも、今回映画館で再鑑賞した価値があったなぁ~と思いました。


最期に今回来場してた客に一言。

>気管支炎を患っていたと思われる私の斜め後ろの席の客。
「咳するなとはいわん!出ていってくれ!!」
(沢井も気管支炎キャラだったので、感染ったのかもしれん)

>上映中に熟睡していた客。
「寝るなとはいわん!イビキかかんでくれ!」

オススメ度:★★★★★

今日の1曲:『再生』/ Salyu
コメント
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