AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

ラウドパーク特集 第2回 ~CATHEDRAL~

2006年10月09日 | やっぱりメタル!!
さて、LOUD PARK特集第2夜は、霊妙なる造物主、あるいはおそろしく陰鬱な救済者ともいうべき窮極のドゥームメタルバンド、CATHEDRALについて語ることにいたそう。

CATHEDRALは(“カテドラル”と読むのか”キャッシードラル”と読むのか筆者自身未だ困惑している)元NAPALM DEATHのヴォーカリストであるリー・ドリアンマーク・グリフィンが中心となって1989年に結成された。
ギタリストは元ACID RAINのギャズ・ジェニングスアダム・レハン、ドラムは最初ベン・モックリーが叩いていたが、1stレコーディングではマイク・スメイルがゲスト参加。その後アンディ・ベイカーが正式加入したがリーと口論となり、(その口論の内容とはウソか誠か「CANDLEMASSとTROUBLEとどっちがヘヴィか」というアホみたいな事だったとか)間もなく脱退してしまったそうな。

彼らの音楽性を一言でいえば“陰鬱”。
これまでやってきたグラインド・コアの速くて短いという音楽性を嘲り笑うような超スローテンポさ、そして奈落の底に沈んでいくような絶望的な暗さ、当時1stアルバム『この森の静寂の中で』をジャケ買いして聴いた時はこのあまりのスローテンポさに目が点状態。聴く度に毎回意識を失ってしまうという始末であった。




そしてしばらくCATHEDRALからは遠ざかっていたのだが、2nd『デカダンス(The Eternal Mirror)』を聴いた時はすぐに飛びついた!

これぞ正に私が当時CATHEDRALに求めていたサウンドだった。



中期サバス色の強いミッドテンポのヘヴィサウンドに、リーのヴォーカルの表現も広がりをみせ、なによりも楽曲が非常に垢抜けとっつき易くなった。
とくに遊び心が爆発したファンキーナンバー“MIDNIGHT MOUNTAIN”は、彼らの名を一躍有名にさせた楽曲といえよう。
当時バンド組んでたギターのやつも大そう気に入り、ふたりでこの曲をコピーしたりもした。




それから私はCATHEDRALに夢中になり、もちろん93年のBRUTAL TRUTH、SOBを伴った、彼らの初来日公演にも足を運んだのだが、このライブを見て、私の嗜好にまた新たな衝撃が襲った!
それはラストに演奏された“EQUILIBRIUM(静謐)”を聴いた時だった。
後半で展開されるギターフレーズのこの終末的な雰囲気の不可思議な魅力に私は吸い込まれるかのように酔わさてしまったのだ。もう完全にノックアウトだった。
そこで私ははたと気づかされたのだ。
1stに秘められていた楽曲のおぞましくも陰鬱なる魅力というものを!!




ライブを見終わった後、私は1st『この森の静寂の中で』を毎日とり憑かれたように鑑賞し、聴けば聴くほどにこのアルバムの魅力に溺れていった。
まずM1.“弔儀”のイントロの美しくも怪しいアコースティックにフルートの音色は、まるでこれから陰鬱なる御伽の国に案内されるかのような不吉な予兆を感じさせる。
引きずるようなドロドロした演奏にリーの歌うというより、牢獄の中で絶望に喘ぐようなヴォーカリゼーションは強烈である。
M2.“黒き涙に溺れて”のイントロでグリフィンの陰鬱なベースから、突如バケモンが飛び出てきたかのようなリーの絶叫には心底ビビらされる。
M3.“蛇眼”は、これはもう暗黒密教の究極の背徳的宗教賛歌と呼ぶべき曲である。途中のリーの歌メロの絶望的な哀愁感といい、後半の大蛇召喚の呪文を唱えているかのような呻き声は戦慄すら覚える。
M4.“生贄”は、アルバムの中では比較的テンポの速い曲で初めての方でもとっつきやすいかも・・・
ただし2ndの曲のような生易しい曲ではないと言っておこう。
M5.“最期の願い”は、2ndのボーナストラックに93年ヴァージョンが収録されているが、イントロでのピロ~~ンという歪んだギター音や、最後に効果的に挿入されるアコースティックギター音の絶妙な味付けが施されているオリジナルの方が圧倒的に魅力的である。
M6.“静謐”はなんといっても後半の百鬼夜行のようなギターのフレーズ、そして絶妙なタイミングで挿入されるあやかしのオルゴール音が実に効果的である。
ラストの9分にも及ぶ“苦しみに耐え、幸福に至る”は、幻想的なシンセサイザーとフルートの音色が奇妙に乱れ狂う中、リーがもうこれでもかと嘆きに嘆き喘ぐという絶望的な哀歌で、CATHEDRALの曲の中でもより陰鬱さを極めた窮極のドゥームナンバーであろう。

この一切の妥協を許さぬ陰鬱さに徹底し、その中でシンセ、フルート、アコースティックといった幻想的な音色を効果的に施すことにより恍惚感すら覚える耽美さをも表現しているこの異形のモンスターアルバム。
これはもう一種のプログレ作品であるといってよいだろう。




確かに2nd、3rdも悪くはない。
だが、しかし!1stアルバムにこそドゥームメタルたるCATHEDRALの真の魅力、神髄が秘められているのだ!!と私は思うのである。
そしてまたこのアルバムの素晴らしい邦題や二人称を“汝”とか“そなた”と表記する尊厳なる対訳を施してくださった秋山幸子さんにも敬意を表したい。


この1stと共に2ndのメジャーな音楽性へと以降しつつもまだ1stでのドゥーミーな体質を失っていなかったミニアルバム『SOUL SACRIFICE』も合わせてオススメしておこう。

そなたの忍耐強さと秘められた暗澹たる内向的暗黒面を試すいい機会となるやもしれません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする