おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

金木犀の道

2022-10-03 11:06:34 | 12音詩
 夕方、暗くなる前にと散歩に出ると、すぐにあたりが金木犀の匂いが満ちていることに気づく。一斉に花が咲くということで言えば桜だが、匂いで咲いていることにいやおうなく気づくといえば、金木犀以外には思いつかない。そこで、早速足を止め、散歩用のカバンからメモ帳を取り出し、一句書きつける。

 金木犀の道を行く

 普段はまったく存在に気づかない金木犀だが、咲いてみればほとんどの家の庭に植わっているからびっくりする。住宅街を歩けば、抜けるまでは金木犀の匂いに包まれるのである。

 ギーと鳴きながら、一羽の鳥が電線に止まった。仕切りに長い尾を上下させているので、すぐにモズとわかる。見慣れない野鳥なら、目を皿のようにして観察するのだが、モズとわかれば立ち止まるほどのことはない。

 尾っぽ振るモズさようなら

 あちこちで稲刈りが始まり、昨日まで黄金色に輝いていた田んぼが殺風景になっている。いつの間にか、刈り取られた田んぼが増え、秋が歯抜け状態になって行く。

 また田一枚刈り取られ

 道端の草むらからはコオロギを筆頭に、さまざまな虫の鳴き声が聞こえる。早朝は、アスファルトの道路が冷たいせいで、草むらから飛び出してきた虫が、動けなくなっているのに遭遇する。ヘビなどの爬虫類、カエルなどの両生類、そして昆虫などは変温動物のため、体が冷えると動けなくなってしまうのである。そのせいで、道端には車に轢かれてペシャンコになったヘビやカエルや虫たちの姿があるが、まだ車の餌食になっていない場合は、草むらへと逃してあげる。最もヘビは別だが。

 足元のバッタを放す

 句をあれこれひねりながら歩いていると、思いはどんどん別の方向へと外れ、俳句とは呼べないものばかりできあがる。川柳でもなく、ただのつぶやきに近いものがメモ帳に書き留められて行く。

 「人類の発展」と考えるは人類だけ
 人生を人任せにする

 人の上に立ち、人を使うような立場になると、いろいろ指示を出すようになる。人を動かすということが、地位が高いということなのだろうが、考えてみれば他人に仕事を任せるということでもある。自分でやれることを人にやってもらうというのは、自分の人生を他人に生きてもらうのとあまり違わないような気がするのは、僕が組織と無縁な生活を送って来たためだろうか。
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