おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

自然を憎む

2024-06-14 11:01:56 | 日記
 東京で今、ウミネコが大繁殖しているという。ニューヨークの摩天楼でも、ワシやタカといった猛禽類が生息数を増やしているが、彼らはもともと断崖絶壁を棲家にしていたりする。それが人間の進出で住むところを追われ、たどり着いたのが断崖絶壁に似た高層ビル群の壁である。東京のウミネコはもともと上野動物園あたりから飛んで行ったものが不忍池で繁殖し、海に近い高層マンションに棲みついたという。

 東京の街がすっかりコンクリートで覆われ、熱が逃げなくなった結果、ヒートアイランド現象というものを生み出し、灼熱地獄と化している。それをなんとか防ごうと、高層建築物の屋上は緑地化しなければならないという条例を東京都は決めた。ところが、ここが野生動物から卵やヒナを守ろうとするウミネコにとっては絶好の棲家となったのである。

 おかげで屋上にはたくさんの巣ができている。専門業者が撤去しても、1週間後には再び作られイタチごっこだ。いまや大群となったウミネコのフンで、住民は洗濯物も干せず、道路や車は鳥のフンで真っ白だ。人間が作り上げた文明が、逆に人間を苦しめるという状況は、まるで自然界からの逆襲のようにも見える。

 最近のニュースでは詐欺被害や屋根の修理や水洗トイレの修理で暴利を要求する悪徳業者が話題になるが、今度は害虫駆除で被害が多発している。ある若者がインタビューに応じていた。「部屋にゴキブリが出て頭が真っ白になり、自分ではなす術がないので、すぐに業者を調べて呼んだ」のだが、数百円という駆除費用が頼んでみると数万円要求されたというのだ。ゴキブリ1匹に、若いおにいちゃんが「なす術がない」とは、すごい時代になったものだなあと悪徳業者よりもそちらにビックリしてしまった。

 今、カヌーイストの野田知佑さんの「さらば日本の川よ」を読んでいる。30年前の本だ。そのあとがきにはこんなことが書いてある。
「どんな役立たずの、目的がでたらめのものでもいい、それもなるべくお金のかかるものがいい、金額が多ければ多いほど官庁、業者から喜ばれる。公共事業という名の山河の大規模破壊は止まることがない」

 福島では、業者に山肌を大規模に削ってメガソーラー施設建設の許可を出した。ところが雨が降るたびに、泥だらけの大量の水が田畑や住宅地に流れてきて大騒動になっている。

 誰もが自然は大切だという。自然の中にいると癒やされるという。が、本当は自然が大嫌いで、できれば自然なんてこの世からなくなってくれた方がいいと考えている人間が増えているんじゃないかと僕は疑っている。

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