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家族がふえてノンキな暮らし

説明はいつするの

2023-08-25 09:53:55 | 福島
 昨日、8月24日、ついに福島原発で汚染された水の海洋放出が始まった。なぜか政府もマスコミも、原発事故により発生した汚染された水のことを「処理水」と言い、絶対に「汚染水」とは呼ばない。実際には、汚染された水をなんとか薄め、それを流すだけのことで、汚染をすっかり除去し、キレイにしてから流すわけではない。

 こういう言葉のすり替えは、「敗戦」を「終戦」、「占領軍」を「進駐軍」、「犬死」を「玉砕」と言い換えてきたことと同じである。

 岸田さんは、「処理水を放出においては、丁寧に説明する」と言い続けてきた。関係者と協議を行い、決して了解を取れないうちは実施しないとも言っていた。が、ここでもごまかしがあり、「関係者」というのが漁業関係者でも原発周辺住む住民でもなく、一体誰を関係者と呼んでいるのかわからないままに、「関係者にある程度の了解は得た」と説明する。

 不思議なのは、なぜ「丁寧な説明をする」と言いながら、一度も福島のテレビで1時間でいいから出演して話をしないのだろうか。NHKでも民放でも、福島にだってテレビ局はある。全国放送を使って発言しても、福島県民には遠くから話をしているようにしか見えないのである。経産省の西村さんも時々福島には来ているようだが、決して福島のテレビに出演して、直接県民に説明することはしない。これだけのことでも、県民からするとずいぶん誠実さを感じると思うが、今のところそういう姿勢は見えない。そのことでかえって、説明から逃げ回っているように感じてしまうのである。

 「処理水放出」と同時に、中国は日本の水産物の輸入を全面禁止した。岸田さんは断固として抗議すると訴えている。が、中国がこういう対応をしないように、話し合いを続けては来なかったのだろうかと疑問が湧く。前々から中国はことあるごとに「汚染水の放出反対」を言い続けていたではないか。日本政府としては、なんとか中国を説得した上で放出すべきだったのではないか。話し合いの時間は、たっぷりあったのではないかと思うが、中国の対応もそれに対する日本の対応も、まるっきり話し合いはなされなかったことを証明している。

 NHKの「映像の世紀」を見ていたら、第二次対戦中、アメリカは日本が敗戦する3年も前から、日本に勝った場合に天皇制をどうするかの検討を始めていたという。そういう話を聞くと、じゃあ日本政府は、第二次大戦でアメリカや中国に勝った時には、相手国をどうしようとしていたのか、ビジョンはあったのだろうかと疑問が湧く。

 処理水放出という行為がどういう影響を生むか、どうするつもりでいるのか。その場しのぎで何とかやり過ごし、後のことは未来の人たちにおまかせするつもりでいるのだろうか。
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2 コメント

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同感です。 (Passy)
2023-08-25 11:34:22
こんにちは。

初めてコメントを入れさせて頂きます。
「丁寧な説明」の文言は、故 安倍氏が好んで口になさっていた言葉だったと記憶しています。
常に「言葉遣いが丁寧」なだけで、内容は意味不明だった印象が残っています。
派閥の流儀をそのまま踏襲しているのでしょう、などと諦め気味の私です。
国会討論などで「言葉が丁寧なだけで、内容が伴っていない」などの論争はあったのでしょうか...
「敗戦」を「終戦」と言い換える、そのご指摘にも同感です。
学生時代からずっと不思議に感じています。
「同感です」の一言を申し上げたくて、初コメントを...
Unknown (さくらもち)
2023-08-25 12:14:23
全く、コロナと言い国葬と言い、自民党はやりたい放題です。
ご指摘の「日本政府は、第二次大戦でアメリカや中国に勝った時には、相手国をどうしようとしていたのか、ビジョンはあったのだろうかと疑問が湧く。」は非常に興味深いですね。

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