散歩をしていると、農家の人が田んぼの周りをせっせと草刈りしている。農業の最大の苦労は雑草との戦いじゃないかと、ささやかながら家庭菜園を営む者としては感じるのだが、中には草刈りが面倒なのか、田んぼの周りのあぜ道にせっせと除草剤を撒き、草刈りの手間を省いている農家もある。田んぼには青々とした稲が育っているが、その周りは真っ茶色という奇妙な光景が広がる。こういう場所は散歩しても、犬に道草を食わせるわけには行かない。リードをグイグイ引っ張り、除草剤の撒かれていない場所まで移動するまでは早足なのだ。
除草剤の危険性はあまり話題にはならないが、そもそも除草剤を開発した会社は、ベトナム戦争でジャングルに潜むゲリラをあぶり出すために撒かれた枯葉剤を製造した会社である。枯葉剤により、ベトちゃんドクちゃんのような奇形児と呼ばれる子供たちがたくさん産まれたことはニュースでもよくやっていたが、直接枯葉剤を浴びた母親には被害が出なかったこともあり、アメリカは枯葉剤による奇形児との関連性はわからないということで補償はしなかった。化学物質というのは、摂取した本人以上に、母親の体内に蓄積され、新生児に影響が現れるのはいまや常識だが、強者は非を認めず、弱者はいつだって悲惨な目に遭う。
そんな除草剤についての歴史を知っていれば、農家が除草剤を使う危険性についてもっと自覚的にならなければならないはずだが、日本政府はアメリカの大企業の前では、だんまりを決め込み粛々と輸入している。
さて、お米でさえこういった危険をはらんでいるにもかかわらず、東洋経済のニュースにびっくりするような記事が掲載されていた。それはアメリカで日本への輸出用小麦の収穫では、わざわざ除草剤を撒いて小麦を枯らしてから収穫しているという。麦は収穫前に雨が降ると発芽することがあり、発芽してしまうと商品にならないため、あえて枯らしてしまうのである。
当然そんな危険な小麦がアメリカ国内に流通するはずがない。規定量をはるかに超える化学物質が検出されるからだ。ところが、日本政府はアメリカと仲良くしたいがために、除草剤と同じく化学物質まみれの小麦粉の受け入れを了承している。そのために化学物質の規定量の緩和まで行って輸入できるようにしたのである。
アメリカへ視察に行った日本人が、このことをアメリカの小麦農家に尋ねてみると、「日本人が食べるものだからいいのだ」と取り合わないという。
これと同じ構図は、かつて非加熱製剤でも演じられた。それはエイズが蔓延し始めた頃、非加熱製剤によって感染する事案が報告され、世界的に非加熱製剤は販売禁止になった。ただ日本の厚労省だけは動きが鈍く、世界的に売れなくなった非加熱製剤はせっせと日本に持ち込まれ、日本国内に流通した。日本でのエイズ患者の多くが非加熱製剤によって感染した原因はこういうこところにあった。
流通している白いパンが健康に悪いという話は時々聞いていたが、それは漂白剤やら防腐剤やらの食品化合物のせいだと思っていたが、小麦自体が化学物質まみれとあっては、恐ろしくて市販のパンは口にできないのである。
いや、小麦だけではない。大麦だって大豆だって、きっと同じような収穫方法を行っているに違いない。食物の自給率の極めて低い日本だから、仕方ないで済ますしかないのか、あるいはどんなに高額でも安心できるところから購入するしかないのか。こういうニュースは、もっと真面目にマスコミで取り上げてもらいたい。
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