おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

カフェ終了の予告

2022-03-15 10:16:38 | 福島

 2011年3月いっぱいで、その時勤めていた仕事を辞め、貯金が底をつくまで、1年でも2年でも日本中を旅行するつもりだった。できれば桜の開花とともに大分を北上し、北海道まで行った後は、あちこち立ち寄ろうかとぼんやり計画していたが、とにかく体が動くうちに好きなことをしてしまおうと思っていた。定年退職を待って、それから好きなことをなんて悠長な考えは僕にはなかった。

 ところが3月11日、仕事をしている時に東日本大震災のニュースに接し、僕の計画が大きく変更になるだろうことを予感した。その後、原発事故もあり、4月に退職した後は旅行の計画も頓挫しかけていた。

 が、6月には意を決して旅行に出発することにし、被災地で何かできることがないかも見てくることにした。あの頃は、日本中の国民が被災地のために何ができるかをみんな考えていたのではないかと思う。で、その後の成り行きで、福島でお茶を飲める場所を作れないかと、それまでまるっきり経験のないカフェの開店を目指し、1年かけて準備した。

 「アトリエ・カフェ 青い犬」の開店は震災の翌年、2012年の10月である。精一杯頑張ったが、準備にそれだけの時間がかかった。店名の「青い犬」は、犬と一緒だったこともあり、メーテルリンクの「青い鳥」にかけた。幸せをもたらすという青い鳥を探した行ったチルチルミチルが、幸せはすぐ身近にあったと発見する物語である。

 それから10年。震災の復興予算もずいぶんと減額になったと聞く。原発事故で帰還困難区域になっていた場所も除染が進み、ずいぶん解除になった。もっともそれで住民がどれだけ増えるかという問題もあるが、それはまたこれからの課題だろう。

 もう少しカフェを続けるという選択肢もあるが、体が動くうちに次のステージに活動の場を移したいという思いもある。ほかにもいろいろ事情もある。そういうわけで、総合的に考え今年の5月5日(木)をもって、営業を終了する予定でいる。

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