ニュースを見ていると、アフガンが大変なことになっている。アメリカ軍の軍用機におしくらまんじゅう状態になって国外逃亡する者、空港で飛行機を大群で追いかけている姿、とても世界的に新型コロナウイルスが流行しているとは思えない映像である。
おそらくアフガン政府にしたって、タリバンにしたって、国民を苦しめたいということが戦争をする動機ではないだろう。自分たちの国をより良いものにしようと、大真面目に考えているはずである。それなのに、結果としておかしなことになって行く。どうしようもないことなのだろうか。
たまたまヒットラーに関する短い文章を読んでいたら、ヒットラーの動機が世の中に対する激しい憎悪以外にはなかったというようなことが書いてあった。受験を何度も失敗し、浮浪者収容所で暮らした3年間で、暴力だけがこの世で信用できる唯一の力だと確信した。
ただ、そんな男がいたとしても、たったひとりではヨーロッパの国々を蹂躙したり、ユダヤ人を大量虐殺したりはできない。誰も相手にしなければ、彼は無力である。ヒットラーをドイツ帝国のトップに据え、支持し、協力し、あるいは嫌々ながらも従った人間がいて、はじめてヒットラーは思う存分世界に対して憎悪を撒き散らすことができたのだ。
北朝鮮のような世襲制の独裁国家なら独裁者の思うがままの政策もまかり通るだろうが、ほとんどの国は、どんな体制を取ろうと、なにがしかの形で選ばれた人間が指導者となる。もし指導者に過ちがあるなら、当然その人物を担いだ人間にも責任があるのは当然である。
そう考えれば、選挙で政治家を選ぶ民主主義という制度も、同じように選ぶ側にも責任はある。が、今の制度では選んだ側の責任というのは一切問われていない。責任がないとなると、選ぶ側も適当になる。もしくは選挙に出かけること自体どうでもいいことになってしまう。
そこでふと思いついたのが、例えば個人個人に選挙カードみたいなものを持たせて、選挙に参加するたびにポイントが付くようにしたらどうだろう。ある程度貯まれば商品券でもいいし、あるいは老後の年金額を増やしてもいいし、健康保険料を割り引いてもいい。とにかく選挙に行くことに特典を与える。そうすれば、選挙に行かないという選択肢は、かなり減るんじゃないかと思う。
その代わりである。例えば自分が選んだ政治家が無免許運転で議会を追われただとか、政治資金の不正支出がバレて辞任しただとか、何かしらやらかした時にはポイントが減点になる。あるいは二回続けて投票した政治家が、やらかして辞任したときにはポイントがなくなるとか、選挙における責任を別の形で取ってもらうということにする。
こうすることで、投票する時には今まで以上に慎重になるだろう。やらかしそうな人間は誰も応援しないから選挙に出ることもできなくなるだろう。また、口先ばかりで大衆に迎合したウケ狙いの政治家も受かりにくくなるだろう。
さて、この制度の最も重要な点は、「人を見る目を養う」ということである。おいしい話に簡単にだまされない人間を作ることは、きっと詐欺や犯罪の防止にもつながるだろう。