朝5時、テオを連れて家を出ると、秋風が吹いていた。つい数日前までの猛暑が嘘のように、半袖では肌寒いくらいだ。
今日は特別用事もないので、散歩もテオのペースに合わせて歩く。
田んぼの稲もいつの間にか大きくなり、よく見ると穂が付き始めている。お盆の頃には毎年小さくて白いお米の花が咲く。目立たない花なので、毎日を忙しなく生活している人には、なかなか気づきにくいだろう。
休日はいつもボーダーコリーのケンくんと一緒に遊ぶので、今日も遊べると思ったテオは、ケンくんちを振り返り振り返り、いつケンくんがやって来るんだろうと心待ちにしている。今日はケンくんちのおっちゃんが平日で仕事だから、ケンくんは来ないんだよ。ちなみに、ずっとケンくんと呼んでいたケンくんの本当の名前は「ケインくん」なのだが、おっちゃんの滑舌の悪さから「ケン」としか聞こえず、僕らも真似てケンくんと呼んでいるのである。
道路には、昨日までの強風で青いイガグリがたくさん転がっていた。柿の実もまだ青いものの、ずいぶん大きくなっている。立秋を過ぎると、やはり秋の気配があちこちに漂い始める。
今、散歩していて目につくのは月見草だ。別名を待宵草。あるいは宵待草とも言うが、これは竹下夢二が自作の詩を書いたときに、響きの良さから勝手に宵待草とひっくり返して書いたのだった。
夏休みと言えばヒマワリ。ヒマワリを見ると条件反射で夏の気分が盛り上がる。ヒマワリばかり描いたゴッホも、描きながら夏の気分が盛り上がっていたのだろうか。
のんびりした散歩から帰ると、すぐに朝食を済ませ、畑に出かけた。涼しいうちに畑の周囲の草刈りと畑の中の草むしりをやっておきたかったからだ。草刈機の刃がナマクラになっていたせいで、ちっとも草刈りが進まない。1時間半ほど畑で悪戦苦闘していたが、ホームセンターで新しい歯を買って来ることにして、途中で切り上げた。
毎日30本ほど採れていたキュウリは、そろそろピークを超えたようで、今朝は6本だけだった。それでも1日で食べてしまわなければならないので、決して少ないとは言えない。