危機管理という言葉がある。人間のやることだから、必ずどこかにミスが生じる。だから、危機を管理するなんてのは無理な話で、正確にはなるべく危険を未然に防ぐ努力と、危機が生じた時にどう対応するかというのが危機管理の基本だろう。
そうなると、何が一番大切かというと、とにかく情報公開である。「ヒヤリハット報告」という言葉があるように、事故に繋がらなくても「ヒヤリとした」「ハッとした」事態を報告し、みんなで共有することで、少しでも危機を回避しようとする行動である。
が、大事故は起こる。その度に事故を起こした人たちは、とりあえずどうやって隠蔽しようか考えるようだ。福島原発事故では、政府も東電もメルトダウンを公表せず、放射線流出についてもダンマリを決め込んでいた。そういう時の言い訳は、「パニックを防ぐためだった」というが、国民と事実を共有しないということでは最悪である。
最近、アメリカ議会が新型コロナウイルスは武漢の研究所から流出したという調査結果を発表した。これは以前から調査が進んでいたものだが、誰かが「私が流出させました」と自白したわけではなく、状況証拠の積み重ねにより間違いないというところまで証明できたからである。
例えば、新型コロナの発症があったという2019年の年末よりもずっと早い時期から、武漢では一般人による「咳」や「下痢」のネットでの検索数が異常に多くなっていた事実や、誰でもが気軽にアクセスできたはずの武漢研究所のデータベースが、新型コロナの発見より早い時期にシャットダウンしていたこと。新型コロナウイルスの遺伝子が、数年前にコウモリから採取された遺伝子とほぼ同じものだったこと。また、数年前に武漢の研究所でこの遺伝子を操作する研究が行われていたとする論文が発表されていたことなどである。
調査結果では、2019年秋に行われた軍人によるオリンピック大会が引き金になり、世界中へ伝染して行ったとも報告されている。この詳細な報告書に対して、中国はおそらく完全に無視をするだろう。なぜなら、情報を共有できない組織は、隠蔽はしても管理していこうなどという気はサラサラないからである。
と書きながら、この国だってワクチンが足りなくなることをふた月も前に知りながら、国民に黙って「もっと打て、どんどん打て」と旗を振っていたのだから、隠蔽体質が優先しているようだ。