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サッカーダイジェスト「天才論」に呼応して  文科系

2021年06月17日 14時14分15秒 | スポーツ

 月2回刊行のサッカーダイジェスト最新号が、「サッカー天才論」をやっている。この本をよく読みつつ日本人の世界的実績と付き合わせなどをしてみると、とても面白かった。
 なによりも、日本サッカー界の「天才論」と歴史的名選手とが必ずしも合致しなかった。誰もが認めた「天才少年」がJ1からさえ消えていった例もあるし、中田英寿や岡崎慎司のように10代までは「上手い」などとは言われなかったのに世界的選手になった例もある。逆に、「天才少年」と世界的名声とが一致した例は小野伸二ぐらいのもので、この小野伸二がこの雑誌にも登場して、中村憲剛との間で非常に興味深いやり取り、対談を展開している。びっしり6ページもの対談であって、そこから学べることはとても多く、それも興味が尽きない内容だった。

 まず、小野と、中村の天才論は、どんな特徴があるか。
 ボールを扱う身体技術が高いこと。憲剛が小野を評した表現を上げてみよう。
『ボールを取りにいけないんです。しっかりボールを止めるので隙がなく、アイデアも豊富なので寄せられず、奪いにいったら逆を取られるんだろうなと。・・・そして遠くも見えているので、展開されてしまう』
 この小野評に対して、小野は逆に憲剛をこう評価するのだ。
『周囲の選手との関係性もあるはずだけど、見えてないとパスは出せないし、ある意味、ノーステップくらいにトン、トンと出す。視野が広いなぁと感じるし、あのトラップはやろうと思っても簡単にできるものではない。俺の遊びのトラップは練習でやっても試合中にできないと意味がなくて、ケンゴが見せるトラップのほうが実践で生きるはずだよ』 
 過去に消えていった天才少年が「実戦で使えない遊びのトラップ」だったとか、そういう実戦的トラップの特長が「遠くが見える視野の広さ」を要するとかと、読める文章である。「練習では抜群に上手いんだけど、試合に絡めない(人も居る)」という表現も使われていた。

 さて、こういう天才と比較するという意味で、過去の世界実績上トップに上がってくる日本人選手を観てみよう。現在の世界最高峰日本人、長谷部誠がこんなことを語ったことがある。本当に世界トップ選手と呼べる日本人は、イタリア・ローマの中田英寿と、イングランド・マンチェスターユナイテッドの香川真司ぐらいと言える、と。ローマ時代の中田も、マンU時代の香川も、それぞれリーグ優勝、そのレギュラーという実績を持っているのだから、当然のことなのだ。ついでに言えば、ドイツ2年目でリーグ優勝とベスト11選出という実績を持つ長谷部は、中田、香川に次ぐ世界的選手であったと言えよう。すると、彼らにあって消えていった天才達に無かったものは何かという問題が生じる。そういう名選手の要素とは、走力と当たり強さだった。3人とも走(持久)力がある上に、長谷部、香川はスピードがある。また、中田と長谷部の体力強化訓練、習慣は史上有名な話になっている。

 日本人のサッカー天才論は、「吸い付くようなトラップ、ドリブル」など、ボール扱い技術に偏っていたのではないか。これにプラスして、視野の広さ、走力、当たり強さなどが揃っていなければ名選手にはなれないというのが以上の結論になる。ちなみに、走持久力はせいぜい高校生までで決まってしまうものであって、これがここまでに鍛えられなかった「天才」は、結局J1にさえ定着できないことになる。また、走力と言っても次のことはちょっと例外だろう。サッカーで重要な走り出しの瞬間スピードは、もっと後にも鍛えられるようだ。清水で急成長した時代の岡崎慎司がこれを教えてくれている。

 ちなみに、サッカー1ゲームの個人記録でダッシュ回数というのがあるが、これが少ない選手は今は使えない時代になった。攻撃だけでなく守備にも走り回る時代になったからだ。岡崎はこれが50回近くもできるが、30回もできない「名選手」は海外強豪チームでは使われないはずだ。時速24キロ以上で1秒以上走るその回数のことである。なお、時速24キロというのは、100mを15秒で走る速さである。今代表でも騒がれている堂安を押しのけて右サイド攻撃を担っている伊東純也は凄まじいスピードで打っ千切って得点を重ねてきた選手だが、彼のダッシュ回数は一体どれほどになるのだろうと思ったりする。

 ちなみに、現代Jで小野、中村が同時に目を付けている天才は、現在浦和にいる小泉佳穂なのだそうだ。他に二人それぞれが上げたのが、中村は鹿島の荒木遼太郎、小野が広島の森島司だった。僕には、川崎の三笘薫も、今新潟に居る本間至恩もそう見えるのだが。

コメント (1)
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