新聞の片隅に載ったニュースから(40)
低空飛行訓練は航空法の適用外 政府答弁書(2012.8.1朝日新聞)
「野田内閣は31日、米新型輸送機MV22オスプレイの日本国内での低空飛行訓練に関連し、
地上の人や物件の安全のために低空飛行を制限する航空法は適用されないとする政府答弁書を
閣議決定した。共産党の井上哲士参院議員の質問主意書に答えた。
答弁書では、低空飛行の制限について『航空法の特例に関する法律』で『米軍機には適用しない』と
定めていると説明した。また、『政府としては安全性を最大確保し、地元住民に与える影響を
最小限にするよう引き続き米国政府に申し入れていく必要があると考えている』とした。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
航空法第81条には「航空機は、離陸又は着陸を行う場合を除いて、地上又は水上の人又は
物件の安全及び航空機の安全を考慮して国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行してはならない。
但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。」と規定されています。
この「国土交通省令」がどのくらいの高度を指定しているのかわかりませんでしたので、
国土交通省航空局の運行安全課に電話して聞いてみました。その結果航空法施行規則の第174条に
規定があり、「有視界飛行においては、都市などの人口密集地は高度300メートル、その他の地域は
高度150メートル」と定められていることが分りました。
これは、飛行中の航空機が故障を起こしても、他に害を及ぼすことなく緊急着陸ができる
高度を保つよう設定された高度だということだそうです。
しかし、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく
施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における
国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴なう航空法の特例に関する法律」という
長ったらしい名前の法律によって米軍機にはこの航空法の規定は適用しないことになっ
ているのです。
オスプレイはしばしば墜落事故を起こして、その安全性が問題になっています。だから
沖縄の人たちは17人の死者を出した1959年の石川市(現うるま市)宮森小へのF100D
ジェット機墜落事故や2004年に普天間基地のCH53Dヘリの沖縄國際大への墜落事故のような
事故が起きる危険があるとオスプレイの普天間基地配備に反対しています。
米軍は日本の本土上空の6つの(あるいは7つとも云われる)飛行コースで低空飛行訓練を
行なうことにしています。しかし野田内閣は「オスプレイの配備は日米安保条約の米軍装備の
重要な変更には当たらず、米国と交渉する対象ではない」と言い、低空飛行訓練についても
「特例法によって米軍機に航空法は適用できない」と言っているのです。何とも情けない
日本の政府の態度です。
オスプレイ配備そのものが問題ですし、日本の主権の及ぶ空域で勝手気ままに飛行訓練を
することを規制し、航空法の特例法廃案を米政府と交渉すべきです。
大西 五郎
低空飛行訓練は航空法の適用外 政府答弁書(2012.8.1朝日新聞)
「野田内閣は31日、米新型輸送機MV22オスプレイの日本国内での低空飛行訓練に関連し、
地上の人や物件の安全のために低空飛行を制限する航空法は適用されないとする政府答弁書を
閣議決定した。共産党の井上哲士参院議員の質問主意書に答えた。
答弁書では、低空飛行の制限について『航空法の特例に関する法律』で『米軍機には適用しない』と
定めていると説明した。また、『政府としては安全性を最大確保し、地元住民に与える影響を
最小限にするよう引き続き米国政府に申し入れていく必要があると考えている』とした。」
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航空法第81条には「航空機は、離陸又は着陸を行う場合を除いて、地上又は水上の人又は
物件の安全及び航空機の安全を考慮して国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行してはならない。
但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。」と規定されています。
この「国土交通省令」がどのくらいの高度を指定しているのかわかりませんでしたので、
国土交通省航空局の運行安全課に電話して聞いてみました。その結果航空法施行規則の第174条に
規定があり、「有視界飛行においては、都市などの人口密集地は高度300メートル、その他の地域は
高度150メートル」と定められていることが分りました。
これは、飛行中の航空機が故障を起こしても、他に害を及ぼすことなく緊急着陸ができる
高度を保つよう設定された高度だということだそうです。
しかし、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく
施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における
国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴なう航空法の特例に関する法律」という
長ったらしい名前の法律によって米軍機にはこの航空法の規定は適用しないことになっ
ているのです。
オスプレイはしばしば墜落事故を起こして、その安全性が問題になっています。だから
沖縄の人たちは17人の死者を出した1959年の石川市(現うるま市)宮森小へのF100D
ジェット機墜落事故や2004年に普天間基地のCH53Dヘリの沖縄國際大への墜落事故のような
事故が起きる危険があるとオスプレイの普天間基地配備に反対しています。
米軍は日本の本土上空の6つの(あるいは7つとも云われる)飛行コースで低空飛行訓練を
行なうことにしています。しかし野田内閣は「オスプレイの配備は日米安保条約の米軍装備の
重要な変更には当たらず、米国と交渉する対象ではない」と言い、低空飛行訓練についても
「特例法によって米軍機に航空法は適用できない」と言っているのです。何とも情けない
日本の政府の態度です。
オスプレイ配備そのものが問題ですし、日本の主権の及ぶ空域で勝手気ままに飛行訓練を
することを規制し、航空法の特例法廃案を米政府と交渉すべきです。
大西 五郎