棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

日本人のこころ

2008-07-23 17:43:20 | エッセイ・随筆
日中の暑さも吸い取られたごとく消え、穏やかなたそがれ色に変わってきました。
花の谷は、ニイニイセミやツクツクセミが耳鳴りのごとく響き、その中に時おりウグイスの元気のいい声がきこえてきます。
静かです。限りなく透明な静寂が谷にしみこんできます。

閑さや岩にしみ入蝉の声

蛇足ですが芭蕉の名句中の名句
奥の細道--山形領の立石寺の山頂にて詠ったもの。
解説書など読みますと、この蝉の種類は、その数は多いか少なかったか、と喧々諤々。まーーどうでもいいようなことと思いますが・・・。

虫の声・風の音・水のささやきなど自然の音に詩情を感じ、静寂の極みを意識する日本人に対し、欧米人はそれらは騒音になってしまうらしい。
映画などの擬音に、日本とアメリカ映画では大きな違いがあるとききました。
特に日本人が繊細で優れた感覚の民族などと思いませんが、私たち日本人の感覚は、やさしくて豊かな自然環境から育ってきたものだと思います。

コンクリート・ジャングルという言葉も古臭くなってしまうほど、「乾いた心」が当たり前にならないように。
涼を呼んでくれる風鈴の音が、騒音に感じない娑婆でありたい。
声を掛け合い、ゆっくり歩きましょう。

体感-曼荼羅世界

2008-07-23 09:56:33 | 山郷の暮し
先日の連休に東京の友達が、酒・食い物をかかえてきていました。
蚊は少々いても窓は全開。
お日様と草木の香りのする風が、敷きっぱなしの寝床部屋に満ちる。
「東京では味わえない怠惰な時だーー」
と、コ悦マンの友は酒をなめなめ本を読んでいるうちに、グーーとねている。

夕刻、にわかに東の山に黒雲がかかると、ぴかぴか・ゴロゴロ。
ゴルフ場のサイレンが無粋に鳴り響く。
すざましい雨に緑色の谷は、鉛色に支配され、閃光が走るたびに大粒の雨が一瞬止まって見える。
縁側の戸を開け放ち、吹き込む雨霧を受けながら酒を飲む。
刻々と変化する大気の流れに、心身をゆだねる。
これこそが曼荼羅世界」であると体感できる。
「リュウサンが、通常の風景画を描かないのが判るような気がする」

友になによりのお返しができた夕立でした。

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本