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棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

35-珍訳源氏-朧月夜の巻

2009-07-21 09:35:18 | 物語・絵本・童話
例年2月20日すぎに左近の桜の宴が催されます。
宮中に出入りできる高官が、音曲や舞を披露し大変華やかな宴で、男女共に売り込む絶好のときです。
20歳の源氏殿は男の魅力はまさに光のごとく、たのものを圧倒する技と美しさを放っておりました。
源氏殿にあこがれる女たちは、目が一瞬でも合ってくれることを願いつつ、夢中でみつづけています。
私どもの時代は平安の時代。良き家柄の姫君は、宮中に上がることを目的にした、といっても過言ではありません。
帝に謁見できるより近い役職を得れば、お目にかかることも増し、ご寵愛を受ければこれは最高。しかし、そんな姫君はほんの一部で、あまたの美女が寂しい夜をすごしていたわけです。
となれば、こんな宴席こそ、女としての喜びを覚えるというもので、吾ら男も、男の務めを果たさなくてはならないのです。まーーそんなわけですから、よっぽどの高貴な位の姫君でないかぎり、たがいに会う瀬を期待していたのです。
一人こきの女御どのは、源氏殿を皆が持ち上げるので、不愉快でならないようでした。身分からいって「もそっとちこう・・・」なんていえないし、大体お歳ですから対象外である。今から思えば嫉妬としか思えませんが・・。
これからお話をすることが引き金になり、光源氏殿はヤバイことになったのです。

34-珍訳源氏-朧月の巻

2009-07-20 11:14:12 | 物語・絵本・童話
「こきでんの女御」などと、耳慣れない宮中の女の位名がでました。説明は少しややっこしいが、位が上がるに従い、呼び名が変わってゆく。
帝(天皇)の妃-中宮の最高位になりうる女性の位。つまり、家柄・教養あらゆる面で申し分ない姫ですが、帝のお子ができていないだけ。いいかえれば、じつにクヤジイーー地位でもあります。
先刻話したとおり、桐壺帝は桐壺の女御を深く愛し、亡くなった後は、良く良く似ているとわれる藤壺の女御を溺愛していた。
面白くないのは、他の女たちで、帝に愛してもらうチャンスがない。嫉妬から藤壺の女御に辛く当たってきたのはお話しましたが、その筆頭はこの弘徽殿(こき)の女御だったという。
藤壺の女御より20年以前からおつかえし、子(東宮)までいるのに、先に后(中宮)になられてしまった。その悔しさは尋常ではなかったのも当然かもしれない。
そのことは決して他人事ではなく、私にも我が左大臣家にも、はたまた源氏殿にもおよんでくるのでした。
その、決定的な事の起こりが、これからお話をする「朧月夜の姫君」との源氏殿の恋で、このことは後々問題になってゆくのです。

33-珍訳源氏-朧月夜

2009-07-19 08:32:00 | 物語・絵本・童話
源氏物語の舞台背景は、西暦1000年前後の平安時代。宮中の、いや日本での二大勢力は、左大臣家と右大臣家。両家はともに五分五分の名家で、なにごとにつけてもはりあっていた。
源氏殿の義兄に当たる私は左大臣家で、政敵の右大臣の四の娘と結婚をしているのですが、気が強く嫉妬ふかいことは「撫子の花」のお話でおわかりでしょう。
お忘れですか・・・雨の夜、フッともらしてしまった姫君のことで、わたしの子を宿しながら消えてしまったお話のこと。それは妻の嫉妬と嫌がらせに耐えかねて、身を隠してしまったのだった。
その右大臣家からは、弘徽殿の女御(こきでんのにようご)と呼ばれる、後の帝 朱雀帝(すざくてい)の母君(皇太后)がおられる。
私の嫁方にあたるこの方は気位の高さと権力欲はひといちばい。のちのちこの方に光源氏はなにかと嫌がらせをあうことになりました。

32-珍訳源氏-不倫の子

2009-07-18 08:35:40 | 物語・絵本・童話
話は変わります。時はあい前後(18-24歳)してしまいますが、宮中でのことを・・・。
とはいってもこのことは私がまったく知らなかったことで、後に源氏物語をよんでから解ったこと。
宮中では藤壺の宮様が、予定よりも2ヶ月も遅れて皇子をご出産。帝は美しい皇子に、それは大喜びだったといいます。
しかし、この皇子さまは光源氏との不倫のお子。二人の永遠の秘密でございます。天皇のお子であることは、100パーセント帝になれる、ということ。筋立てはいやがうえにも複雑になっていってしまいます。
帝の正妃-宮中になられた藤壺宮様の苦しみは、決して人に言えなかっただけに、皇子様のご成長と共に、ますます苦悩が深まっていったことでしょう。

源氏殿(宰相に昇格している)23歳のとき、父君である帝が亡くなられた。
後ろ盾を失った藤壷の中宮様は、女御たちにまたまたいじめにあった。その上、源氏殿とのなさぬ仲に悩み苦しみ続けた。
桐壺帝の一周忌を済ました12月。突然ご出家されたのです。
源氏殿24歳の思っても見なかったことです。

31-珍訳源氏-赤鼻=末摘花

2009-07-17 07:50:47 | 物語・絵本・童話
とんだ笑い話でしたが、光源氏が姫君たちにつけるあだ名といいますか、愛称には本当に感心させられる。先に登場した「若草」や「夕顔」は、聞いただけでも姫の可憐なお姿が浮かんでくるよう・・。
さてこの「末摘花」とは・・
紅花のことで、ご存知のように紅色の染料になります。つまり、鼻の頭が紅かった姫を称してつけたあだ名で、まさに傑作といえましょう。
姫君を喜ばしてあげるのは、男の甲斐性ですから、時には失敗があったとしてもしかたがありません。コリナイ我々は夜な夜な遊びは続くのですが・・・。
「けしからん!」とおっしゃいますな。皆様方の時代と夫婦・恋人間の貞操観といいますか倫理観とはかなりずれがありました。
イヤ・・・最近では皆様がたの娑婆世界のほうが、かなり乱れておいでのようですネーー。なによりも贅沢がしたくてオコズカイほしさにスルなどということは、私の時代にはありませんでした。

30-珍訳源氏-末摘花の巻

2009-07-16 09:02:00 | 物語・絵本・童話
ワタシはすっかり関心がなくなってしまった姫でしたが、源氏殿はまたまた負けん気が行動力をおこします。
雪の降る夜。今度は、以前よりは男女の生業が解っているだろうと、期待を込めて訪れた。
いつもの漆黒の闇が支配した寝所ではなく、ほのかな雪明りがたまらなくいい。
「美しい雪景色をいっしょにたのしみましょう」と誘えば、女房たちも姫さまをせかします。
ほのかに浮かんだ姫の頭の形といい、つややかでゆたかな髪のよう。「なるほど、うわさの姫らしい」ともうしぶんの無い様子に光源氏はニンマリ。
ところが、雪明りに浮かび上がった顔をみたとたんに、愕然としてしまった。姫の鼻は赤鼻の象鼻で、なんともひどいブス。そのうえ着ているものは古くさく、垢じみ、暮らしぶりに困っている様子。見ると聞くとでは大違い。
がっかりした源氏殿だったが、単に気まぐれなつまみ食いでなく後々まで暮らしの面倒はみてあげたようです。
正直、この辺が彼の偉いところだと感心します。

29-珍訳源氏-末摘花・闇夜でドッキリ

2009-07-15 08:01:40 | 物語・絵本・童話
 源氏殿は狙いの女のお付の者たちにきっちり段取りをとらせ、問題なく寝所に忍び込んだのです。
抜き足差し足、ほのかに香ってくる初々しき女のにおいと温かみ。正にこの瞬間こそ「忍び」の醍醐味でございます。
私も幾多の深窓の姫様をくどいてきた経験から申し上げるのですが、この第一夜のこころの高ぶりはモーーーたまらないものです。正直ヤミツキになってしまう。心臓などふバクンバクンと、静まり返った寝所中に響き渡るのではないかと思うほど・・。ベテランの光源氏とておなじことでしょう。
さて、下女達に段取りをさせた上に忍び入った光源氏でしたが、どうにも女の反応がまるでない。軽いいびきすらしているしまつ。
「そうか・・まだまだお若い姫なのだ・・。」ウヒヒヒヒなどと下卑た笑いはしなかったもののそっと起こし、手練手管を駆使しても、石ころを相手にしているようなもので、暗闇の中でもキョトンとしている様子がみてとれる。つまり、まるっきり事のことが解っていないようだ。さしもの源氏殿もくたびれ、ほうほうのていで逃げ帰ってきた18歳の青年でございます。
そんなこととはつゆ知らない私は、あいかわらず口説きの文をだしていたのですが、なんの返事もなく、いささかあきれていました。

28-珍訳源氏-末摘花の巻

2009-07-14 10:32:58 | 物語・絵本・童話
少し息苦しいお話になってしまいましたので、番外編とでも・・・。
光源氏の6歳上の義兄に当たる私、位は頭中将で女遊びは私も大好き。源氏殿と同じ姫を競っていたことなどしょっちゅうだった。
そんななかで、お笑い種になったのが、常陸の姫「末摘花」だった。
この姫は演奏が難しい琴(きん)の名手だとうわさで、私もなんとかお会いしたく手紙を送っていた。源氏殿は私に負けるのがくやしくて、しりあいをつかって裏工作をした。そのへんは、強引さもあるが、生れから来る天真爛漫さで憎めぬところです。くどいようですが、演奏を聴きたいなどというのは方便でございます。

27-珍訳源氏-若草を誘拐

2009-07-13 10:38:02 | 物語・絵本・童話

ようやく18歳になった光源氏は、母恋しの幼児性と、大人としての恋愛が入り混じったマザコン美男子というところ。
神々しいまでに様子のいい上に、なんとも複雑な心境が、女心の琴線をふるわせるのでしょう。
光源氏よりも6歳年上の義兄である私は<相応の地位とカンロクがあり、じぶんでいっちゃーナンですがモテモテでございました。が・・・光殿は一層光っておるんですなーー。はしたないがCONCHIKISHO!!!!
手の届かぬ宮中に上がってしまった藤壺様。
光源氏は悲しく寂しさのあまり、藤壺の女御に似ている若草(後に光源氏の正妻になる)を嵐の夜、乳母とともに屋敷につれてきてしまった。
まーー拉致してきたのだが、「若紫」と呼び、それからの可愛がりょうは、想像のうえであった。
光源氏は女を見る目は天才的。
名玉は磨き上げてこそ光り輝く。「若草」は後に光源氏22歳のおり正妻「紫の上」になわれたが、その話はのちほどに・・。

26-珍訳源氏-不倫の子供

2009-07-12 08:11:53 | 物語・絵本・童話
不倫に是非はないが、継母にあたる藤壺まは「愛は苦しみ」だったとさっする。
さらに、光源氏の子をやどしてしまった。何も知らない(当然ですが)父・帝は大喜びで、実家にさがっていた藤壺さまを宮中に呼び寄せてしまった。
宮中に帰られてはいくら光源氏でも手の及ばない天上の地。
すこし後のことになるが、女性の位として最高の藤壺の女御は帝の后-中宮となられ、もはや天上人。いくら帝が父親にあたるといっても、もはや会うことなど不可能であった。
光源氏17歳のことでございます。

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本