棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

29-珍訳源氏-末摘花・闇夜でドッキリ

2009-07-15 08:01:40 | 物語・絵本・童話
 源氏殿は狙いの女のお付の者たちにきっちり段取りをとらせ、問題なく寝所に忍び込んだのです。
抜き足差し足、ほのかに香ってくる初々しき女のにおいと温かみ。正にこの瞬間こそ「忍び」の醍醐味でございます。
私も幾多の深窓の姫様をくどいてきた経験から申し上げるのですが、この第一夜のこころの高ぶりはモーーーたまらないものです。正直ヤミツキになってしまう。心臓などふバクンバクンと、静まり返った寝所中に響き渡るのではないかと思うほど・・。ベテランの光源氏とておなじことでしょう。
さて、下女達に段取りをさせた上に忍び入った光源氏でしたが、どうにも女の反応がまるでない。軽いいびきすらしているしまつ。
「そうか・・まだまだお若い姫なのだ・・。」ウヒヒヒヒなどと下卑た笑いはしなかったもののそっと起こし、手練手管を駆使しても、石ころを相手にしているようなもので、暗闇の中でもキョトンとしている様子がみてとれる。つまり、まるっきり事のことが解っていないようだ。さしもの源氏殿もくたびれ、ほうほうのていで逃げ帰ってきた18歳の青年でございます。
そんなこととはつゆ知らない私は、あいかわらず口説きの文をだしていたのですが、なんの返事もなく、いささかあきれていました。


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