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棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

45-珍訳源氏-極秘の恋

2009-07-31 08:19:13 | 物語・絵本・童話
実は、源氏殿と宮中にあがった6の姫(朧月夜の姫)は、ひそかに文通をしていたのだった。危険であればあるほど、恋の炎は燃え上がってゆくのは自然なこと。
光源氏に手ほどきを受けた六姫に、自分より若い朱雀帝が夢中になるは当たり前のことだと、光源氏は思っていた。
姉の皇太后様は実家の右大臣の屋敷にかえられるのが多いので、皇太后の弘徽殿に住むまわせた。二人にとっては、危険ではあったが、逆に逢える機会は増えたのだった。
光源氏殿の義兄である私は、これらのことは10数年後に知ることになるのですが、恋というものは障害があればあるほど燃えてゆくもの。
一夜のつまみ食いの恋とは訳が違い、数少ない逢瀬を、心身をかけた情熱に燃えたのでしょう。
源氏物語の作者-紫式部さんも、大変な情熱を込めてお書きになっておりますので、ぜひお読みください。
絵は「水流-静と動」の部分

44珍訳源氏

2009-07-30 08:33:23 | 物語・絵本・童話
朧月夜に登場した右大臣家の六姫は宮中にあがり、位も帝近くの尚侍(ないしのかみ)になり、性格のよさもあり帝の寵愛を受けた。
姫が帝に愛されていることを知った姉の皇后様はお喜びではあったが、それだけに憎いのは源氏殿で、操を傷つけられた姫には后の将来図はないのである。
右大臣家にとっても誤算ではあったが、一層のこと源氏殿の後妻にと思ったが、皇后様の大反対に流れてしまった。

43-珍訳源氏-光源氏22-3歳のこと

2009-07-29 09:49:30 | 物語・絵本・童話
心が完全に通じ合う前に一子を残してなくなってしまった葵の上。源氏殿もさすがにまいったようで、私の実家である左大臣家の屋敷に冴えない日々を過ごしていました。
光溢れる初夏のころ、自分の二条屋敷に久しぶりにかえっていったのです。
 しばらくして、私はご機嫌伺いにうかがいますと、びっくりしたことに、あの幼いながらも美しかった「若草の姫」は「若藤」と呼ばれ、源氏殿のご寵愛をうけていたのです。
お忘れですか・・源氏殿が療養に行っていた先で見つけた美しい少女-若草のことです。
 お年は12-3才と思われますが、どこに出ても恥ずかしくない気品に満ちたうつくしさです。私は改めて源氏殿のお目の確かさに脱帽。まるで、花作り師のごとく、まだ蕾の花をいくつしみ・愛し・大切に育て上げれば、早々に見事な花を咲かせるごとくです。
源氏殿は、若藤を妻にしようと思っていたようです。

42-珍訳源氏-権力交代の始まり

2009-07-28 13:05:04 | 物語・絵本・童話
光源氏23歳--右大臣家の繁栄の始まり
翌年、源氏殿が23歳。いまは桐壺院になられていた父君の病状が10月になるとさらに思わしくなくなりました。
朱雀帝への遺言として、源氏殿を補佐役に治世するようにと固く申されました。
源氏殿には東宮(源氏の子供だか)をくれぐれもたのむと・・。院の崩御のあと、後宮は大きく入れ替わり、藤壺の中宮さまもお里の三条の屋敷にお移りになりました。
それ以後は、弘徽殿の皇太后の取り巻きと、右大臣家の栄華の始まりでした。
ということは我が左大臣家の権力が右大臣家に移ること。となれば、光源氏殿に積年の嫉妬があった弘徽殿が黙っているわけは無い。
私は妻が右大臣家なので問題はありませんが、内心は面白くなく政務もおろそかになっていきました。

41-珍訳源氏

2009-07-27 10:51:03 | 物語・絵本・童話
41--去りゆく人
六条の君は源氏殿より7才年上だが、気品と才識ある方で、かような嫉妬から来る、浅ましき生霊になるなどと考えられなかったが、寂しさからくることだったのだろうか。
この六条の御息所は、自分が浅ましい生霊になったことを恥じ、神仏に身を清めてもらうために、潔斎所に入っていた。それは、娘が伊勢に斎宮として赴くための、付き添ってゆく者の決まりごとだった。
源氏殿は妻葵の上に先立たれた上に、愛する六条まで完全に手の届かぬ人となり、寂しさは傍目にもきのどくでならなかった。
「行くかたをながめもやらぬこの秋は逢坂山を霧な隔てそ」
朝霧立ち込めるなか、去りゆく行列を隠れ見ながら、詠ったのです。

40-珍訳源氏-女の怨念

2009-07-26 09:37:12 | 物語・絵本・童話
40女の怨念
源氏殿に訊ねると、懐妊中の正妻-葵の上を見舞ったとき、寝室の隅に六条の御息所の生霊--いきりょうをみて、ぞっとしたという。
六条の君にはしばらく会いに行っていない。もしやそのことが原因なのか知れない。申し分のない教養と美しい姫だが、惜しむらくは気性が激しいことである。
妻・葵の上にお子ができたことも面白くなかったのでしょう。
なんといっても先の加茂の祭りの折に、葵の上の車と六条の君の車とに、並び順番のことで争いがあったらしいのです。
私はたいして気にもしていなかったのですが、六条の方は辱めを受けたと、かなり恨み辛みがあったようです。
真に女子の嫉妬心の強さには理解できませんが、むしろ自分の不備で、生霊にまでなって恋焦がれてしまうことに、六条があわれでならない。と光源氏殿は語った。
私はお聞きをして恐ろしくもありますが、生霊とまで成っても恋焦がれる女性がおいでになる光源氏殿が多少なりともうらやましくもあった。

イラスは「暮景の女」シリーズより

39-珍訳源氏-光源氏21歳

2009-07-25 10:12:15 | 物語・絵本・童話
光源氏の正妻-葵の死
光源氏殿が21歳になられた。
我が妹であり、源氏殿の正室 葵の上は25歳と年上女房。貴族社会では、年上女はどちらかといえば、恥ずかしきことだった。
妹の性格もあったが、年上というおいめは、かえって妹のプライドにさわり、妹の性格からして、決して下出にひかえるようなことはなかったに違いない。しっくりといっていない夫婦であったが、なんと男の子が誕生した。
 我が左大臣家では一族を挙げて祝った。しかし、急に、物の怪に襲われたごとく、亡くなってしまった。
この折の源氏殿の嘆きようはひとかたでなく、夫婦仲がうまくいっていないなど、ただの邪推かとおもわれるほどだった。
盛大な葬儀のとき源氏殿は私に、ようやく心が通うようになったのにと、心のうちを明かしてくれた。私は「嗚呼。大人になられたなー」と心から感じた。
それにしても、物の怪がとりつくとは尋常でなく、陰陽師によるとある女の恨みだと・・・。

38-珍訳源氏-朧月夜の巻

2009-07-24 08:32:11 | 物語・絵本・童話
予測はピッタシ
面倒なことになるかもしれないと思いつつも、一夜限りの姫にしては心残りがある。姫と交換しあった扇を見つめては思い起こすのでした。
世にしらぬ ここちこそすれ 有明の月のゆくえを 空にまがえて
思いを込めて記しておきました。
朧月夜の姫君はまさに六の姫で、まもなく宮中の深窓に入ってしまいました。
いくら源氏殿とて、永遠の思い人-藤壺様(帝の正妻-中宮だが光源氏との間に不倫の子がいる)と同じく、そう簡単会うことは出来ません。

話は一挙に飛びますが、今後の話の骨格をなすので、予備的に覚えておいてください。
源氏殿が22歳になられたとき、桐壺帝は弘徴殿の女御の生んだ東宮に帝位を譲り、桐壺院として藤壺の中宮と暮らすようになった。そのお子(本当の父親は光源氏)は、東宮となられ、後見役に近衛の大将になっている光源氏が任命された。
以前の東宮さまは朱雀帝となられ、母親の弘徽殿は皇后様になられた。
なんとも、団子状態でややっこしいですが、位があがり入れ替わっていく。もろもろの権勢欲からうまれでる人間模様、これが源氏物語です。

37-珍訳源氏-朧月夜の姫

2009-07-23 08:42:22 | 物語・絵本・童話
37-もしかしたらヤバイ姫君だったのでは
朧月夜の夢のような一夜を過ごした光源氏は、昨夜の姫の貴賓や物腰から只者ではないと感じました。
例の赤鼻の末摘花の姫君とは大違いですが、もしかしたら、政敵の右大臣の末娘・六の君だったらまずいと、少々あわてた源氏どのでした。
なぜならば、六の君は宮中にあがる予定になっていた方であったのです。
その姫様のお歳の確かなことはわかりませんが、おそらく15-6歳でしょうか。前にお話をしたように、帝の正妻-中宮になれる資格は第一に家柄と処女でなくてはいけません。家柄が申し分なく宮中へあがったとしても、お手つき姫だとわかったら絶対に正妻の位にはなれませんでした。
政敵の右大臣家の娘ということばかりでなく、まことにヤバイことをしてしまった・・カモ・・。
いつになく不安になった光源氏でした。

36-珍訳源氏-朧月夜の巻

2009-07-22 09:03:23 | 物語・絵本・童話
虫が騒ぎ出す
宴も終り私どもは帰宅しましたが、源氏殿は、いまわは中宮になられた藤壺様にあいたくてうろうろしていたのです。
奥の庭に忍び込むと、朧月の怪しげな光が差し込んでいる中に、天女のような姫君がいます。
体内に宿るナントカ虫が騒ぎ出した光源氏。黙って帰る源氏殿ではアリマセンから、すばやく姫を小部屋に入れてしまいました。
姫も驚きと恐怖で、声も出なかったのでしょうが、光源氏だとわかると、芯から安心しきって身を任せたのです。
この辺の描写は、流行のPCを駆使してご想像ください。ナニセそのことが目的の、懐古譚ではございませんので・・・。
老婆心ですがおさらいの一つとして「藤壺様」とは、父である帝の妻ですが、なんと光源氏との間に不倫の子ができてしまったのです。ナーンモ知らない(アタリマエですが)お父ちゃんは大喜びで、藤壺様を正妻--中宮にしてしまったのです。
後々のことですが、この子が末は帝になるのですが・・・。

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本