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棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

76-珍訳源氏-松風の巻-親子の別れ

2009-09-05 08:39:04 | 物語・絵本・童話
源氏殿はようやく妻の紫の上を説得し、明石の姫との間に出来た我が子を引き取ることに成りました。
源氏殿は愛らしい3歳の我が姫を抱き車に乗ると、「おかあさまも、はやくおのりになって」とはしゃぐ姫に明石の君は
末遠き双葉の松に引き分かれいつか小高き影をみるべき
と、もうあえなくなるのではと、なきくずれたのでした。
「おいそめし根も深ければ武隈の松に小松の千代をならべむ
と、必ず迎えに来るから安心しなさいと、源氏殿でした。

姫を迎えた紫の上は。我が子のように袴の式(現在の七五三にあたる)を立派におこなったのです。
源氏殿は年末近い頃、報告に明石の君を訪ねました。姫と別れた寂しさに少しやつれた様子が、なんとも美しく、本来の聡明さが気品となってそなわってきました。源氏殿は明石の君をなんとしても、身近にいてほしいものと芯から願ったようです。

75-面白くない紫の上

2009-09-04 07:54:32 | 物語・絵本・童話
源氏殿はご機嫌斜めの紫の上にてこずりながらも「我が娘をひきとり、立派な姫に育て宮中にあげたい。それには、身分の低い母親ではだめだから、なんとしても君でなくてはならないんだ」と、子供好きの紫の上の母性本能に訴えたのでした。
 寒くなってきた頃、源氏殿は明石の君に、「二条の屋敷に親子で住んでくれ。せめて娘だけでも紫の上に養育してもらえば、将来は后の道も開かれる。貴方たちにとっても一番いいことなのだ」などと説得したのですが、明石の君は貴族社会の冷たさを訴えるのでした。

74-珍訳源氏-松風

2009-09-02 05:56:20 | 物語・絵本・童話
入道一族は明石で豊かな暮らしはしていたといっても、大臣まで勤めた父の名を辱めることおもっていたのです。
入道殿は京に錦の旗を揚げられずに帰京するのは耐え難く、明石に留まりました。
その上出家し、仏に家族の安泰を願う。特に一人娘への思いは高く、高貴な方との縁を望んでいたことがかない、思い残すことはアリマセン。
自分の死後のことなどどこにでも打ちすてろと、本心から娑婆の未練を断ち、仏道に入っていったのです。

明石の姫が嵯峨に住んでも源氏殿がすぐにきてもくれず、かえって寂しさをつのらせていきました。
源氏殿が形見と置いていった琴をひいては、楽しかった明石での日々をしのんでいたのです。
源氏物語の原文では、人里はなれた松林の茂る地に、なんともたえなる琴の音が響き、人々の話題になってゆくことが、松風の巻として美しくもあわれに語られています。

73-珍訳源氏-明石の入道のこと

2009-09-01 06:49:15 | 物語・絵本・童話
源氏殿が流刑になった明石では、土地の実力者に世話になったことはお話をしました。その入道さんは、以前は役職をもって京に住んでおりましたが、京では性格的に同僚と折り合いが悪く、出世をあきらめ京を去ったのです。
うわさによると、確かに仕事もできた人物でしたが、そのことを鼻にかけ他人を見下す振る舞いがあったようです。
「仕事はできるが嫌な野郎だ」ということになりますと、文句も言えない上に悔しさもあり、親しくする人はいなくなってしまいます。
人間ずきあいはその辺が難しく、仕事オンリーでも必ずしも出世するとは限りません。実力があるだけに、口惜しさも人一倍だったでしょう。
貴族・官僚世界は実力だけではどーーにもならない、ゴマすり世界なのです。
明石の地で在家出家をして、入道となったのです。

72-珍訳源氏-松風の巻

2009-08-31 08:42:50 | 物語・絵本・童話
光源氏殿が流刑になった明石の地で出来た恋人-明石の姫-に女の子が産れ、其れを知った源氏殿は大喜びで乳母などを送り込んだのです。
さらに、源氏殿は明石の姫(21歳)に「むすめ」をつれ、都に来るように請願していたのですか、なかなか上京してくりません。
実は明石の姫は密かに京に来ていました。
そのおり、姫が住吉神社に詣でたとき、偶然に参詣に来ていた源氏殿の華々しき行列を見て、改めて身分の違いを見せ付けられ、会わずにかえってしまったのです。
都の華々しさに気後れした姫は、気位が高かっただけに、一層かたくなになってしまったといえましょう。
しかし、父親のせっとくもあり、ようやく入道殿の所有地・嵯峨の大堰川(おおい川)に、母親と共に移り住んでくれたのです。

71-珍訳源氏-浄土世界

2009-08-30 08:56:29 | 物語・絵本・童話
今日は皆様の世界では選挙投票日。立候補者にとって地獄になるか極楽になるか。
なによりも皆様世界が、極楽世界にならなくてはいけません。それを判断できる世の中は素晴らしいことです。私の語り部も、早々に投票にいってまいりました。
話をもどしましょう。
極楽浄土世界は迷いの世界をはなれ、悟りの世界におられる如来様を中心に、我々、菩薩と称されるものが日夜研鑽努力している世界です。
つまり、菩薩とは自分だけ悟ろうと努力するのではなく、総ての生き物たちも浄土世界に住めるように願い導いているのです。
言い方を変えますと、もう悟りの境地にありながら、皆様方をおすくいするためにあえて留まっている状態をいうのです。
私もそんな立場ですから、皆様方の娑婆世界にいつも目を向けているのです。
極楽浄土世界に生まれ出るとけっこう忙しいのですが、如来様のお言葉や光を浴びるとソリャーー気持ちのいいものです。
私の生きた時代は、総ての人が心から浄土世界を信じていたのです。
源氏物語の喜怒哀楽の根っこは、このような思いがあることをご想像ください。

70-珍訳源氏-極楽浄土世界

2009-08-29 08:54:53 | 物語・絵本・童話
物語はこれから一層ややっこしくなっていきます。
自分の子供たちが物語りに登場するようになってきますので、あたりまえのことですが。
この珍訳源氏は、原文の冒頭に登場します左大臣家の長男-光源氏殿の義兄にあたる私が、皆様方の娑婆世界から人選(少少間違って、アルコールずけのオッチャンでしたが・・)して語らせているもの。
話を進める前に、私の住む極楽浄土世界のことをチョットお話をしたいと思います。
私が現世でくらした時代は、今から1000年ほど前のこと。
生き死に・天変地変・病など、ただただ神仏にすがるしか方法がなかった。
陰陽師などが大活躍した昔のことですが、皆様の時代でも同じようなことを信じている方が少なくないと知り、人間って本質的にはカワッテイナイナーーとおもってしまうのです。

69-珍訳源氏-親子ドンブリ

2009-08-28 07:48:10 | 物語・絵本・童話
源氏殿は姫を入内させることによって、己の恋の虫を殺そうと段取りをしていました。そおです、源氏殿も28歳でなおかつ父親でもあったのですから、欲望だけでの火遊びはならないと・・。
まーー少しお考えください。もと自分の彼女の子供に思いを寄せてしまう、下世話で申します「親子ドンブリ」。貴族の私がそんなことをよく知っているとお思いですね。以前にお話をしたように、私は下下の巷に遊び歩いた経験があるのです。

そんなおり、退位した朱雀帝はになられ、本当は源氏殿の子供である冷泉帝は、フット元斎宮の姫を思い出し、参るようにおおせになりました。
これはまずいと源氏殿は、藤壺の尼宮と相談の上、はやく入内させることにしました。
私の娘が弘徽殿(こきでんの女御)として上がっていました。次期皇后の第一候補です。
源氏殿とはしだいに権力の座を争うようになっていきました。

68-珍訳源氏-昔の彼女

2009-08-27 08:40:48 | 物語・絵本・童話
六条殿は屋敷を修理し、まだ幼い斎宮と慎ましやかに暮していましたが、重い病にたおれてしまいました。
それを聴いた源氏殿は、6年間の隔たりなど忘れ、見舞いに行ったのです。
「私の亡き後、頼る方がいない斎宮をお頼しみしたい。どこにでても恥ずかしくない姫として育てました。しかし、貴方様の恋愛の対象だけはしないでください。
恋愛からくる、そねみ・ねたみ・嫉妬など、女の愛の苦労だけはさせたくありません。」と、せつせつと訴えるのでした。
ずばりと言われてしまった源氏殿ですが、思い当たることもあり、もはやそんな年ではないといったのです。

見舞いを重ねるうちに、小柄ながら上品で愛嬌のある元斎宮の姫をみると、恋の虫がまたまた起きだしてしまった光源氏殿でした。
御息所は回復することなく35歳でお亡くなりになってしまいました。

67-珍訳源氏-六条の彼女

2009-08-26 07:50:55 | 物語・絵本・童話
話は前後しますが、源氏殿の亡くなられた正妻・葵の上に生霊としてとりついた六条の御息所のことです。
思い出していただけましたか。源氏殿より年上で、かなり嫉妬ぶかいおかたです。
我が子が伊勢の斎宮(伊勢神宮に奉仕する天皇の未婚の皇女・基本的には天皇一代の役目)に選ばれ、そのお供で伊勢神宮に御使えをしていました。
その6年間は恋しき源氏殿と会っていなかったのですが、様々な心の行き違いから、帰京しても源氏殿への挨拶はひかえていました。
源氏殿も気がかりのようでしたが、6年間の変わりようを想像すると、無理にあわないほうがいいとおもっていたようです。

ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本