棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

74-珍訳源氏-松風

2009-09-02 05:56:20 | 物語・絵本・童話
入道一族は明石で豊かな暮らしはしていたといっても、大臣まで勤めた父の名を辱めることおもっていたのです。
入道殿は京に錦の旗を揚げられずに帰京するのは耐え難く、明石に留まりました。
その上出家し、仏に家族の安泰を願う。特に一人娘への思いは高く、高貴な方との縁を望んでいたことがかない、思い残すことはアリマセン。
自分の死後のことなどどこにでも打ちすてろと、本心から娑婆の未練を断ち、仏道に入っていったのです。

明石の姫が嵯峨に住んでも源氏殿がすぐにきてもくれず、かえって寂しさをつのらせていきました。
源氏殿が形見と置いていった琴をひいては、楽しかった明石での日々をしのんでいたのです。
源氏物語の原文では、人里はなれた松林の茂る地に、なんともたえなる琴の音が響き、人々の話題になってゆくことが、松風の巻として美しくもあわれに語られています。


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