以前にちょこっとご紹介したNEWプロジェクト。 来月早々に旧豊栄市に着工予定で地域型住宅ブランド化事業の補助金対象となる物件です。 現在は、構造計算や断熱性能などの技術審査も通り、長期優良住宅の認定の申請中です。
この豊栄の住宅の特徴はたくさんありますが、何と言ってもこのファサード。 ホワイト単色のみでも これだけかっこよく見える外観は、カタチがとても整っている証拠です。 (全方位から見てもカッコいいんです。)
アクセントで色や素材を部分的に変えて外観を整えれば、カタチが多少悪くてもそこそこ誤魔化せちゃうのですが、そのカタチ自体に意味がなければ 数年後には陳腐なものになってしまいます。 逆に意味あるデザインなら余計な装飾をしなくても何年たっても残るものなのです。
表面的な装飾や形状を使った「デザインしてます。」的な薄っぺらなデザイン住宅も多く見受けますが、それが一体何年もつのか・・・ 外観にも間取りと同様に、目には見えないけれど しっかりとした意味のあるデザインをしなければならないのです。
では、この豊栄の住宅の外観や間取りには、どんな秘密があるのでしょう。
まず、下の鳥瞰図をご覧ください。2階がメインとなるLDK。左右(東西)には窓がなく、逆に上下(南北)方向には外周壁も間仕切壁もなく全て開口。 まるでトンネルです。 これは単純に立地条件から導き出されたものです。
ここまでは、とてもシンプルな考えですね。(構造計算的には大変ですが・・・)
しかし大開口のある単純なトンネルプランは、今回の様に敷地と南北方位がズレている場合には、南北の大開口から、夏の暑い日差しが朝と夕方に入ってしまいます。 そこで・・・
と、袖壁を設ける事でクリアしています。 これが外観にアクセントを与えデザインの一部となっています。
次に通風に関してですが、これが意外と難しい。通風の良い家を作るためにアメダスなどでその土地の卓越風を調べるのですが、季節や日や時間によっては予定していた方向と全く異なる方向から風が吹いてしまうのです。
ではどうやって通風の良い家を作るのか? あまり頼りにならないこの卓越風利用する以外に、高低による温度差を利用した重力換気とする方法があります。 しかし吹抜けやロフト、天窓がない立体的に空間がつながらない住宅の場合は これもなかなか難しい。
ところが今回は、前述の日射遮蔽のための袖壁が、風をキャッチするためのウインドキャッチャーとしても有効となるのです。 なんと全方位通風が可能なのです。 こんな風に・・・
以上の様に、周辺環境への対応や日射や通風など快適性を追求した結果生まれたカタチは、表面的にカッコつけたカタチとは異なり、しっかりとした意味のあるデザインなります。
この意味のあるカタチは、住まいを快適なものにするだけでなく、ご近所さんや通りを行き交う人達の目にも 嫌悪感を与えずに 何年たっても許容してもらえる風景の一部になるものと信じております。