黄昏どきを愉しむ

傘寿を過ぎた田舎爺さん 「脳」の体操に挑戦中!
まだまだ若くありたいと「老い」を楽しんでま~す

あの「ゴッホ」を追いかけてみよう! (№.14)

2020-10-24 | 日記
フィンセントからの手紙には~

世話になっているガシェ医師と意気投合したこと、
           (医師の肖像画は何枚も描いています。そして「庭」や婦人も。)
           「ガシェ医師の肖像」
       
         「ピアノを弾くマルグリット・ガシェ」
              
         「ガシェ医師の庭」
         

        「シャルル・フランソワ・ドービニーの庭」
         
村役場前にある食堂の三階の下宿屋に落ち着いたこと、

描きたい画題がいくらでもあること、 

 ゴッホはオーヴェル=シュル=オワーズでも盛んに作品を描きました。
 二日に一枚という驚異的なペースでした。

素朴な教会、オワーズ川の清流、
                                  「オーヴェルのオワーズ川の川岸」

                                 
 
             「夜の白い家」
         

             「藁ぶき屋根の家々」
         

             「ヒナゲシのある風景」
         

はるかに見渡す麦畑
====
        ( 収穫の時期になると広い麦畑は黄色に染まる)
           

  ゴッホ描く 「麦畑」の中から~
          「麦束の山を刈る人」
           
          
          「小麦を背景に立つ若い女性」
            
          「荒れ模様の空のオーヴェルの麦畑」
            

           「荒れ模様の空の麦畑」
          

          「ヤグルマギクがある麦畑」
         
                          =====
畑の中の小径、
四つ辻に舞い飛ぶカラスの群れ。 

====
           名作 「カラスのいる麦畑」

 3本の道がある
    真ん中の道~カラスが不気味に舞う…まっすぐどこまでも、ゴッホは?
     どの道を選んで歩こうとしているのか・・・」
    
  ◆余談ですが~
    ゴッホの自画像の中で、気になる1枚があるんです。
    私、洋画が好きで、若い頃よく映画館通いを~
    ちょっと古いんですが この方 「カーク・ダグラス」さん。
                    
     なんと、103歳でお亡くなりになった。 名優の一人でした。
 このゴッホの自画像~
           よく似ていると思いません?

      そうですよね。 だからこんな映画が~
       
           「炎の人ゴッホ」
         
          

         こんなポスターも
          
                                   ====
戻ります。

病気の影を微塵も感じさせない冴え渡った文面を読んで、
テオは、やはりフィンセントをオーヴェルに行かせて
良かったのだと安心した。

6月になって、テオの家族はそろってオーヴェルへ。
 ガシェ医師は一行を大歓待してくれた。
 
 フィンセントとテオ、二人並んで麦畑を散歩した。
四辻に立った時、フィンセントは立ち止って麦畑を眺め渡した。
・・・と、その場を離れようとしない~

 画題がひらめいたのか?

~フィンセントを残してみんなは引き返していった。

  *きっとあの絵でですよ…間違いなく、ね、ほら
      


7月1日 、フィンセントが
 テオの勤務先(パリ、ブッソ・エ・ヴァラドン)にひょっこりと現れた。
 なの前触れもなく店に現れたことがテオを困惑させた。
  経営陣は、みすぼらしい姿の貧乏画家など店に入れるなと激怒した。

  テオは、フィンセントを店の外に引っ張り出した。
  ~何しに来たんだよ⁈ なんで電報ぐらい先によこさないんだ!
  かっとなって、テオはどなりつけた。 
                                       
   フィンセントは、ぴくりと身をすくませた。

     二人のやり取りがしばらく続いて・・・

   ああ、帰るよ。いますぐに。 力なく言った。
        …悪かったな。突然来てしまって…じゃあ。

                                    
 あれから、ひと月近くが経っていた。


テオは店に出勤した。
 店に入ると、待ち構えていたかのように、彼の助手アンドレが
 駆け寄った。
  「オーヴェルから、友人が来られています」
    朝、一番の汽車でこられたということですが・・・」
  
    一瞬、テオの胸を悪い予感が矢のように貫いた。

  テオを待ち構えていたのは、フィンセントの隣室のオランダの画家
  ヒルシッフであった。

  「テオ・・・」 ヒルシッフのこぼれ出た言葉が
               テオを打ちのめした。

   フィンセントが、自分の脇腹を、撃った。
       息はまだある。来てくれ、いますぐに。 
            オーヴェルへ。
                                                                  君の兄さんのもとへ。

7月30日 オーヴェル・シュル・オワーズ

 抜けるような青空が、村落の上に広がっていた。
 がらがらと乾いた音を立てて、フィンセントの棺を乗せた荷馬車が
 ゆるやかな坂道を上っていく。
 その道は村はずれの墓地へと続いていた。

 棺のすぐ後ろにテオが続く。
 ガシェ医師、タンギー親父、幾人かの画家仲間たちがついていった。
 きらめく真夏の陽光とは裏腹に、どの顔も悲しみで曇っていた。

 墓地に到着した。ガシェ医師が喪服の上着のポケットから
 弔辞を取り出し、ぼそぼそと読み上げた。
   
 別れの言葉は、テオの耳にはまったく届いていない…
 神父の姿もなく、祈りの言葉もないまま~ 
               永遠の別れの時が訪れた。


 棺は二回の部屋の中央に据えた作業台の上に安置され、
 パレットやイーゼル。そしてフィンセントのすべての絵を
 この部屋に移動し、黙々と飾り付けた~ 
 「兄さんが、この前、手紙を送ってきて…
   ・・・いつの日かどこかのカフェで展覧会ができたらな~ってさ。

       こんなかたちで、実現するなんて…
    そこは、さながら小さな美術館のようになった。

 今まで紹介した1枚、1枚の絵は こんな風に表現しています。

 「コバルトブルーの空を背景に佇む教会。
  したたる緑を映して流れるオワーズ川。
  青い炎のようなアザミの花。
  革命記念日の万国旗を飾り付けた村役場。 
  花々が咲き乱れる、画家ドービニーの家の庭。
  鳥が舞い飛ぶ、刈り入れが終わった後の麦畑。
   ごつごつと武骨なかたちをさらけ出す木の根。」

  ~こんなものまで…描いていたのか
     木の根が描かれた横長のカンヴァス…そう、それはただの
   木の根に肉泊して描かれた絵だった。
                      遺作:「木の根と幹」
 
      
  芳しい花でもなく、照り輝く青葉でもない、木の根。
 ただただ、木の根ばかりをフィンセントは描いたのだ。
 もはやは何も青葉にも心を動かさない、画家の堅牢なまなざし。

   この絵は、画家の最後のアトリエとなった屋根裏部屋、
     そこに置かれたイーゼルに遺されていた最後の1枚だったと。

 現在、絵のモデル? 今も パリ郊外の森にゴッホが描いたという
           樹木の根が・・・
        
   
        研究者により場所の特定を~証明
         

7月30日 午後6時。
   村の教会の鐘が かっきり6回、鳴り響いた。
            
 
            
 もともと病弱だったテオは、兄の死をきっかけに衰弱し、
その半年後の 1891年1月25日、
ゴッホの後を追うように、33歳でユトレヒトの精神科病院で
で亡くなりました。

  今、オーヴェル=シュル=オワーズにゴッホとテオ
  二人の墓が並んでいます。
     

       誰だろう? 花を添えてあげたのは・・・・
     
 「見たことがないものが出てくると、初めのうちは戸惑う。
   なんだかんだと文句を言う。
   けれどそのうちに、受け止める」

    浮世絵も、印象派も、そうだった。
   
     きっと、いつか、そうなるだろう。
     ~フィンセント・ファン・ゴッホも。
                  忠正も。


    ・・・・フィンセント、いつか帰ろう。 パリへ。

 「パリという街は、なんであれ、
   最初は拒絶するかもしれないけど、最後には
         受け入れてくれる街なんだよ」  



 セーヌは滔々と、とどまることを知らず、橋の下を流れ続けている。  



 「あの、「ゴッホ」を追いかけよう」 №1~14
   
 原田マハさんの小説「たゆたえども沈まず」
  と共に、ゴッホの作品(本文中の作品及びの私の選んだ作品)を
  挿入をし、少しばかりの資料の収集と個人的な感想を入れ編集
  シリーズ編  14話で終了です。
                 ご愛読ありがとうございました。
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続 黄昏どきを愉しむ

 傘寿を超すと「人生の壁」を超えた。  でも、脳も体もまだいけそう~  もう少し、世間の仲間から抜け出すのを待とう。  指先の運動と、脳の体操のために「ブログ」が友となってエネルギの補給としたい。