箱根のホテルを早めに出発
当初の予定では湯河原の「人間国宝美術館」だったのですが、
小田原までの電車で、旧友との話が盛り上がり…予定変更。
彼は小田急線で新宿まで ここでお別れ。
新幹線で東京へ。
(当初から、ジパング倶楽部の切符購入済み 3割引き)
乗り換えて、上野。
今回の超目玉 ホイマンス美術館所蔵ブリューゲル「バベルの塔」展
東京都美術館へ~すでに太陽は高く、気温も上昇…
いつきても どうしてこんなに人が多いの?
慣れている私でも、やっぱり 驚きです。
じゃぁ入りましょう…
館の入り口には
大きな表示が。
いつものフォルムがお出迎え 
すでに入場券売り場は 人、人、人
そして 入場 
入場券は チラシと同じデザイン。
大人1600円(ちなみに 6月21日 65歳以上は無料だった…)
入った途端、前に進めない…開催の趣旨などをゆっくり読んで、なんてできない。
押されて、まるでトコロテンみたい。
今回、ブリューゲルとネーデルラントの至宝 ヒエロニムス・ボス(画家)の絵も多く展示。
ブリューゲルの版画は 30点近く 連作「七つの大罪」などの。
何といっても、「バベルの塔」

ピーテル・ブリューゲル1世が描き上げた、壮大な構図と美しい色彩、そして細密描写
これはもう 驚き の言葉しかありませんでした。
細密って言ったて もう、うそでしょ、 の感想しか。
59.9×74.6㎝ の小さな油絵ですが… この中に うごめく人の姿
3㎜くらいの人の「動き」がまさに 米粒に絵を描いているのですよ。
それぞれの持ち場の役目をこなしている動き 石工達は真っ白に塗れ、そのまま描かれている。
この絵の中に どれくらいの人が? なんと1400人を超えるそうです。
人々の息遣いが聴こえて来そうです。
現代の科学技術を駆使して 精巧に絵を3倍に伸ばした複製画を展示
さらに、立体的に模型も作られ、壮大な絵の 感覚を…
作品に描かれている平均的な大きさの人間の身長を約170㎝と仮定して算出すると
この絵の「バベルの塔」は高さ なんと510mになるとのこと。
この細密さは…どんな筆を使ったのか?
このリアルな色彩も どんな種類の絵の具を?
あれも これも 驚異 の連続でした。
傍の模型の東京タワーも形無し…

たった1枚の絵 しかし この1枚が 今日まで 世界中の人の興味を。
まだ 解明されていないものも多くある それほどの1枚なのである。
たかが画家 いや、 なんとも表現のしようがない…黙して 語らずだな。
そしてまた このブリューゲルが やって来るのだ。 来年。
やっぱり「東京」は中心だね。 何事に関しても。
さぁ、次は 国立西洋美術館に足を延ばそう…すぐ そこだ。
「アルチンボルド展」

園内の入る ご存知の「ロダン」の彫刻が並んで迎えてくれる…
「地獄の門」
入り口には 
この画家 アルチンボルドは16隻後半 ハプスブルグ家の宮廷で活躍したイタリア・ミラノ生まれの画家。
自然科学に深い関心を示したマクシミリアン2世や 稀代の芸術愛好家で知られるルドルフ2世という
神聖ローマ皇帝たちに寵愛された。
ともかく彼は異彩の画家ですよ。
描く絵の題材に、果物、野菜、魚や書物 を 普通の人が思いつかない形に組み合わせる。
寓意的な肖像画の数々で人々の記憶に。
私も実のところは 今回初めての出会いでした。
きっと変な? 題材ばかりだろうと…
1枚の絵の中は まるで謎解きでした… えっ、これは 何に、 あっ、そうか なるほど。
よくよく眺めてみると、 納得でき、」その 筆の細やかさには 恐れ入りました。
世の中には、随分、変わった画家もいるもんだと 自分なりに受け止め眺めてました。
これ 上下絵って 言うんだ。 だまし絵?
野菜の組み合わせで 題は「庭師/野菜」 になっている。
葉のない大根、葉のついた大根、玉ねぎ、きのこ まだ なんか?
鉢に入れているだけ ですよね。

逆さにすると…
人だ、 帽子を被って、大きな花、大きな唇 長い髭

参ったね…。
チラシの 顔も良く見て下さい。
たくさんの「花」を 組み合わせて モデルは誰だろう?
皇帝マクシミリアン2世 かも? きっとそうだな、良くできているね。
皇帝の前で披露した時、皇帝は「素晴らしい!」 って 言ったかな?
そして 彼の代表作 シリーズに
「春 夏 秋 冬 大気 火 大地 水」とある
その中から
秋(右) 果物・野菜だ 葡萄、オリーブ、南瓜、大根、リンゴ、フランセ 栗など
大地(左) 動物だ。 鹿、羊、像、ライオン、猿、豹、他にも…

水(右) なんと62種類の魚類や海獣による不気味な顔 と 説明にある。
蟹、海老、タコ、イカ、亀、あさり、カエル、アナゴ カレイ もうわからない
貴方も 見つけてみては?
冬(左) これは 「樹」 根っこ…不気味

自然描写のタイトルで アルチンボルトの追随者の作品も 多く展示されていました。
80点以上の絵が 世界の色々な美術館・王室、個人蔵 から ここ日本に初お目見えです。
めったには見られない ほんとうに たのしく、愉快でした ただの気まぐればかりでなく
考えさせられる 意味深長な 絵も 多く 勉強になった。
思うに…
彼、どこから こんな発想が飛び出すのでしょう…かなりのユーモアがないと 出てこないよ。
「芸術家って、やっぱり 普通じゃないね」
さぁ、次は もう 私の過去のブログにも 毎度 登場している この美術館の常設
「松方コレクション」へお邪魔します。 東京在住から今日まで 延べ 何十回行ったことか。
昨年も(ブログ 6月22日 東京美術館巡り その4 に西洋美術館の作品をアップしています。
是非ご覧ください。)
それでも飽きない この佇まいを含めて 居心地のいい場所なんです。
はじまりはロダンから…
美術館の お勧めの言葉にある。 「西洋美術館のコレクションはロダン作品を抜きにして
語ることはできない」と。
ロダンの彫刻では この館が誇る 58点
その代表作のほとんどすべてと言ってもいいだろうと…最初の出会いがここから始まるのです。
前庭には6点のブロンズ彫刻が 「地獄の門」 「考える人」「カレーの市民」

この美術館の設計者 ル・コルビジエは来館者が先ず建物の中央に足を踏み入れ そこから螺旋状に
外へ向かって展示作品を観て歩くという…造りなのです。
早速 一歩入ると、吹き抜けの空間、ロダンの彫刻がずらりと並ぶ。
圧巻です、有名な「青銅時代」ロダンの作品に惚れ込み、ロダン美術館の協力で 彼(松方幸次郎)
は代表作のほとんどを手に入れた。 と、館の解説にある。
今回も少し 作品をアップしておきましょう…昨年のと合わせれば かなりの数になります。
先ずは ピカソ

パリの方が有名な「藤田嗣二」画伯

そして 隣で鑑賞してきたばかりの ピーテル・ブリューゲル(子)の作品
「鳥罠のある冬景色」 スケート遊びと鳥の罠

ピーテル・ブリューゲルには二人の息子がおり、孫も絵筆を取った 画家の一家だ。
この絵の風景はフランドルの農村の冬景色
村人たちが凍った川でスケートやそり滑りに興じている。
あたり一面は雪に覆われ、張りつめた冷気が肌で感じられそうなほど。
右側に立つ大きな樹の下に斜めに仕掛けられているのが、「鳥の罠」なのです。
この一族の絵には いつも こうした 動く 人が 大勢出てくる。
氷上の危なかしいスケート遊びと共に「人生はあてにならない」という教訓を
それとなく暗示しているらしい・・・。
そして 毎回 「綺麗だなぁ~」 見惚れる1枚は
「絵筆をとった女性」
つまり、題名の通り 絵筆を取っている・・画家なんだ。
最初は、どこかの貴婦人では? おしゃれなファッションですし
モデルは画家本人。 マリーーガブリエル・カペ
この絵から見ると 自分の仕事場の自画像なのだ。
えっ、そうすると、こんな艶やかな服装で 描いているの?
いかにも自信ありげに胸を張って うっすら笑みを浮かべたその姿
こんな方が 誇り高き人 そう そんな芸術家の匂いがする。
でも リアルに描きますね~ 美人です。

美術館に展示されている作品の中でも ひときわ目立つ大作がこれ。
ヤーコブ・ヨルダーンス 「危機一髪のドラマ」


今 この作品を鑑賞している 家族 隣の作品と比較しても 大きさわかるでしょ。
ほぼ等身大の人物が6人、画面いっぱいにひしめき合い…
ガイダンスに 旧約聖書の「創世記」に記された物語。
悪のはびこる町 ソドムとゴモラが天罰で滅ぼされる直前、ロトとその家族
だけが神に選ばれて町を脱出する。
中央で名残り惜しそうに振り返る老人がロト その隣で泣く老女は妻
右には家財道具を持った娘たちの姿が。
この絵、最初は巨匠ルーベンスの作品だとされていた。
今では ルーベンスの原作をその助手だった彼が自由に模写したものと考えられている。
絵には興味があるが、「宗教」に知識・ストーリーを知らないと内容を理解する
のは難しいですね。
毎回 最後に改めて この絵の前に立つ。
荒れ狂う海をじっと見つめ 激しい風と波の響きに耳を澄まし…画家は描いた。
重く雲が垂れ込めた空の下、逆巻く荒波が注ぐ次に岸辺に押し寄せてくる。
巨大な波が白い波頭を立て瑞樹和の岩を飲み込もうとしている。
このありのままの姿が、なんとも心地よく、雑念を振り切ることができる絵なのだ。
だから この絵を いつも 飽きずに見に来るのです。
ギュスターブ・クールベ 「波」

ああ今日も最高!
今宵は 東京のホテルに そうそう 夜の部のお付き合いもあるんだ
シャワーを浴びて 一休みして 久しぶりの友との夜を楽しみに…
明日はどこだっけ… 「レオナルド・ミケランジェロ展」だ。
第2話 ここまで。