第4章 ポンペイ繁栄の歴史
上流階級の富裕ぶりは何よりもその邸宅に見ることができる
豪華な部屋や貴重品は家の主人が客人たちに自分の社会的立場を
印象付けるための舞台装置でもあった。
部屋の装飾にこだわり、貴重な素材をふんだんに使った豪華な
食器や什器が用いられた。
(写真 資料より引用)
「ファウヌス家」
ポンペイで一番の邸宅(フェウヌス家)
邸宅は3000平方メートル丸々を。
「ヴェッティの家」の壁画
この家の壁画はとても保存状態がよく、美術館に飾ってある絵のよう~
画家の、モザイクの技術力最高ですね。
また、この邸を発掘した現場の当事者は、この壁画を見ての「驚き」が
想像されますよ。
この展示では、遺された「邸宅」跡などは見ることができないが
「キッチン」や「サウナ」など、破壊されたと言えども、その
痕跡ははっきりと読み取ることができる。
(ポンペイ関連資料から引用)
多くの客人を招き、世界の珍味を食材としてもてなしたのであろう
邸宅のキッチン跡。また、ローマ人たちはことさら「サウナ」は生活に
欠かせない必需品だったのかもしれません。
「キッチン」
どうです、この豪華なキッチンは、多くの使用人たちでおもてなし料理が
造られたのでしょう。
部屋の壁には、モザイク画を、造りは豪華な大理石。
「サウナ」
食事の後か、前か…ひと汗流して食卓に着く~。
いや、食後、ゆっくりとサウナで過ごし、部屋に戻って芳醇な香りの
ワインの栓を抜き、団欒の時間を過ごす・・・・?
それにしても造りも最高。天窓まであり、あかるさ、開放感あり。
閉じ込められる、という印象はなく、くつろぎの場だね。
それでは展示品を~
108. 猛犬注意 モザイク
悲劇詩人と呼ばれる家には、玄関の床に犬のモザイク画が。
「猛犬注意」という注意書きがある。
えっ、ポンペイでは犬は飼われ「番犬」の役目もしていたのだ。
きっとご主人様には忠実な番犬、嫌な奴が邸宅に来たら
「大声で吠える」? どんな吠え方、だろうか?
さぁ、ポンペイ一番の邸宅、「ファウヌス家」にお邪魔しましょう。
109.躍るファウヌス ブロンズ
ヤギの角を持った牧神ファウヌスにちなみ邸宅は「ファヌスの家」と名付けられた。
玄関広間で来客を迎えた~ 70㎝あまりのブロンズ像。
邸宅の中に入り~キッチンを覗いてみましょう。
111. 湯沸し器 112.シトゥラ(バケツ)
115.貝殻形カップ 120.料理保温器
料理がさめないようにと
「保温器」まであるの? 凄いね。
じゃぁ、居間に移動しましょう
122 笛
124. へび形ブレスレット 金(鋳造)、ザクロ石(陰刻)
125. 126.127. 指輪 (3種類) 金、ザクロ石、金
館の女主人の宝石箱にはさぞや「金銀財宝」が~
次に部屋の壁にかけられている「モザイク画」を鑑賞しましょう。
130. ナイル川風景 モザイク
(部分 拡大)
どうですこのモザイクの精巧さ…
ナイル川風景と動植物を描くモザイク画は、ヘレニズム時代のアレクサンドリアで生み出され
地中海、世界に広まりました。
132. 葉綱と悲劇の仮面 モザイク
133. ネコとカモ モザイク
134. イセエビとタコの戦い モザイク
どの絵も しっかり対象をとらえ、精巧な技法を駆使しての作品ですね、
邸宅の壁に掛けるものですから、かなりの大作でしょう…
「下世話の話ですいません…1枚 どのくらいかな?」
次は、「ファヌウス家」から「竪琴奏者の家」にお邪魔します。
部屋の各所に置かれていたブロンズやフレスコ画
を見てみましょう。
141. イヌとイノシシ ブロンズ 142.ヘビ形噴水 ブロンズ
143.ライオン ブロンズ
145. 詩人 フレスコ
147.恋人たち フレスコ
148. 竪琴を弾くアポロ ブロンズ
それでは次に「悲劇詩人の家」に伺います。
邸の 東壁、南壁(西の区画)、南壁(東の区画)、東の列柱廊に
飾れているフレスコ画を見ましょう。
150. プリセイスの引き渡し フレスコ
ホメロスの叙事詩にあるトロイア戦争の場面
151.ヘレネの略奪 フレスコ
トロイアの王子パリスがスパルタの王妃ヘレネを連れて帰郷する場面
152.ユピテルとユノの聖婚 フレスコ
153.イフィゲネアの犠牲 フレスコ
今回、展示されなかったモザイク画「アレクサンドロス大王」は、ポンペイ遺跡
で見つかった最高傑作の一つで巨大な作品。
数百万個の石片が使われ紀元前、4世紀にギリシャのマケドニア軍を率いて
東方に遠征したアレクサンドロス大王が「イッソスの戦い」でペルシャ軍と戦う
様子を描いたとされます。
会場では、ビデオの大画面によって、内容部分の解説をしていました。
その一部をご紹介しましょう。
「アレクサンドロス大王」の拡大部分
第5章 発掘のいま、むかし
154. ペプロスを着た女性(通称「踊り子」)
エルコラーノ)パピルス荘)
155. 綱渡りのサテュロス キケロ荘
157.ペプロスを着た女性(ペプロフォロス) 大理石
(ソンマ・ヴェスヴィアーナ、{アウグストゥス荘}
158.ヒョウを抱くバックス(ディオニュソス) 大理石
(ソンマ・ヴェスヴィアーナ、{アウグストゥス荘}
(部分)
火山灰に埋もれた街から発掘された数々の彫像が
こんなにも見事に美しく遺っていたとは・・・
「奇跡」という言葉しかない。
これでお終い。
現在のポンペイは平和でのどかで世界中の観光客が
この遺跡を訪ね、町並みを歩きながら人間の逞しさ、強さ、繊細さ
『「あの昔」にこんな文化が』と、感嘆の声を上げている。
今は静かに 噴火後のヴェスヴィオ山
噴火前のヴェスヴィオ山
歴史を振り返れば~数々の「争い」がその国の「生命」「文化」を破壊
どれだけの貴重な財産が消滅していっただろう・・・。
現在、21世紀の世の中は安心して暮らせる世の中だろうか?
この小さな地球でも、絶え間ない「戦争」が続く。
その度に、失われていく「生命」
そして「その時代の誇り」も
これは、「人間」のみでなく、「物」も同じ。
後世の人に貴重な価値を生んだはずのものが、である。
ただ時の為政者の思惑だけで、戦いは始まり、終わってきた。
「戦争」というもの すべて「無意味」なのだ。
今回、ポンペイ展を通じて、「生きていく」という意味を
つくづく感じた。
「触れる」という機会 の大きな意義を掴んだ収穫の時だった。