足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

NY株の4連騰

2009-07-17 08:22:38 | 株式

アラビア半島を訪問していた米ガイトナー財務長官は帰途、ヨーロッパに立ち寄り、昨日はネットを通じてバリで講演し、「米金融機関の決算の好調が金融市場の安定を示す」とゴールドマン・サックス、JPモルガンの決算発表の内容を理由にあげた。

実にうらやましい話で、東京市場でも与謝野財務相が「三菱UFJ,三井住友の好決算が日本の金融市場の好転を示す」と発言するような場面を期待したいものだ。

日本経済の舵取り役たちは政争に首を突っ込んで、日本経済の現状についいてはまるで無関心であるような動きをしている。

本日の日経新聞に1~6月と7月の世界20ヵ国の株価のパフォーマンスが掲載された。東京市場は1~6月は+22%と第10位であったのに、7月は第19位で-6.2%とロシアの第20位(-10%)に続いた。かろうじてワーストから逃れたものの、最近は外人投資家が見放してしまったのも理解できる。

政争を理由の一つにあげているが、それよりもウォール街のように金融、ハイテクが相場の反騰をリードするような、リード役が見つからないのも一因である。

今週にはいってゴールドマン、JPモルガン、インテル、IBMが決算を発表し、景気の回復を先取りした数字を出した。

日本なら三菱UFJ、トヨタ、ソニーなどが胸を張って先行きの明るい見通しを出すべきところである。そのような動きがいつ期待できるのか?

引き続きNY株の上昇に追随する動きが、東京市場でも続くと思うが、銘柄選択の視点が難しくなった。

1022日発売の「ウィンドウズ7」に期待して日本写真印刷(7915)、ワコム(6727)に注目。


NYダウ、4ヵ月ぶりの上げ幅

2009-07-16 08:34:59 | 株式

ゴールドマン・サックス、インテル、ジョンソン&ジョンソン、この3人組が世界の株価を動かした。

NYダウは+256ドルになり、3月以来、4ヵ月ぶりの上昇幅だ。

ゴールドマン・サックスが口火を切った決算は前年比+65%という大幅増益。従業員へのボーナス支払いのために100億ドル(1兆円)の準備金を積み増した。昨年9月には証券会社から銀行に衣替えしたが、そのときは「もう投資銀行のような荒っぽい儲けは不可能だろう」といわれたが、その種の見方を払拭した。今回の決算では相場の動きに賭けるトレーディング部門が稼ぎ頭だった。預金を集めてその鞘で利益を出す伝統的な銀行とは一線を画している。日本の銀行には絶対にできないビジネスモデルである。ついこの間まで世界中から悪人扱いされたウォール街の名誉挽回に立ち上がった。

インテルは前年比では減収減益の決算であったが、事前の予想を上回る数字を発表した。中国をはじめアジアの個人需要を取り込んで回復の糸口をつかむ。日本のハイテクは早くから中国の需要を取り込んできたが、インテルのように短期間に業績を転換させる力のある企業はない。インテルの決算がアドバンス・マイクロデバイシスの株価にも影響を与え急騰した。

ジョンソン&ジョンソンはヘルスケアのトップを行く企業だ。今回の決算でいち早く不況からの立ち直りの兆しをみせた。

それぞれが米国の景気の動きを代表する先行指標的な存在である。サブプライム問題で沈没したかにみえた米国だが、投資家の目でみると世界でのプレゼンスはむしろ高まっている感じを受ける。


VIX(不安)指数が大きく沈静化・・・好材料が多い

2009-07-15 08:20:08 | 株式

昨日のNY市場は小幅高で終わったが、中味は先行きの相場にとっては注目すべき強気のサインがいくつか見られた。

VIX(恐怖)指数が25.02で終わったが一時は24台になった。先行きのセンチメントに安心感が蘇ってきた。626日に25.9325台になったが、その後は2日間の25台で今月上旬には一時は30台(77日)に逆戻りしていた。このときは市場に「相場が本格的な反騰局面に入る前には40台に逆戻りしてから」という慎重な見方も出てきた。それが意外に早く低水準になったのは意外であった。

昨日はゴールドマン・サックスが事前の予想を上回る好決算を出したが株価は売られた。前日に影響力あるメレディス・ホイットニーが強気意見を出し株価には一足先に織り込んだ。しかし金融株は今後、上昇モメンタムを取り戻すだろう。

インテルが引け後、好決算を発表した。通常、第2四半期の業績は落ち込むが事前の予想を上回った。中国などの需要が堅調であったことと、国内では小型ノートPCの好調が寄与した。ここでも中国の需要が話題になった。ハイテクの先行きを読む上では注目すべき内容だ。

中国といえば、昨日はウォール街で海運株が久しぶりに買われ、大幅高になった。バルチック海運市況が2週間ぶりに反騰した。中国の鉄鉱石輸入が材料だ。仕手化している海運株ドライシップ(DRYS)を中心に買い物が集まった(最近10倍以上になった)。ウォール街でも海運株ファンが多い。

ガイトナー財務長官がサウジのジェッダで「景気対策は短期の効果よりも中、長期の効果を狙った。しかし1月に考えていた予定よりも早く効果を出すだろう」と語った。

久しぶりに投資家を元気づける話題が多い。


1人のアナリストが世界の株価を動かした

2009-07-14 08:44:20 | 株式

久しぶりにウォール街を動かすアナリストの登場である。

メレディス・ホイットマン。

2007年にシティ・グループの問題を指摘し一躍、有名になった。その後、証券会社オッペンハイマーを退社しメレディス・ホイットニー・アドバイザリー・グループを設立した。いまウォール街では金融株にもっとも影響力がある。

彼女がフォローしている金融株8社のうち、初めてゴールドマン・サックスを「買い」推奨にリスト・アップした。

「金融市場の混乱で国債など証券の発行が津波のように市場にあふれたが、いちばん好影響を受けるのはゴールドマン・サックスだ」と顧客にメールを送った。

水曜日にゴールドマン・サックスは第2四半期(4~6月)の決算を発表する。

NY株は先週まで4週間の連続安になっていた。

このタイミングをとらえての推奨は市場の動きを知り尽くしているなと感心させられる。同時にNYダウ採用のバンク・オブ・アメリカの評価を「もっとも割安株」とした。米国では最大の資産を持つ銀行株である。これまで金融株には慎重姿勢を続けてきた。

市場はそのコメントに大きくは反応して5月末以来の大幅高になった。金融株とハイテク株がリードした。3月に相場が底意いれしたときと同じ構図である。3月に始まったラリーの再現につながるか?

それにしてもアナリストのコメントが世界の市場を動かすというのは、アビー・コーヘン(ゴールドマン・サックス)以来のことだ。


今週の焦点

2009-07-13 07:28:21 | 株式

今週のウォール街の焦点は第2四半期の決算発表だ。

S&P500のうち5%に当る31社が発表になる。数は多くないがゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、シティ、JPモルガンなどの金融株、グーグル、インテル、IBMなど今回の反騰相場のリード役であった金融、ハイテクの大物の発表がある。

いままでのところ大幅な減額修正組みは少なく、強気筋は決算発表を調整相場の脱出口として期待する。

先週はアルコアが恒例により決算を先陣を切って発表した。数字は赤字であったが、事前の予想より損失額が少なかった。一時は数字を好感して買われたが、あと週末にかけては全体の下落相場の仲間いりして安く引けた。

3月以来の反騰相場の牽引車は金融、ハイテク、素材であった。

素材には慎重論が多い。中国の國際商品市場での買いつけが出て市況関連が上がったが、素材の代表格である鉄鋼、化学の収益は‐78%、エネルギーは-64%の減益というのがアナリストの予想だ。市場の関心は景気の回復の遅れに経営者がどのように反騰するかにある。45月の反騰相場の材料の一つが企業業績の発表にあっただけに、今週のNY株の動きは先行きを占ううえでのかぎに一つを提供しそうである。

東京市場では最近の市場の注目点であった新興市場の人気が継続するかどうかが関心事である。継続するようなら銘柄の物色の範囲は拡大するだろう。