足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

バフェットがIBMを買う理由

2015-10-21 06:22:24 | 投資戦略
NY株は3連騰後、この日は小幅安。
ダウ平均の足を引っ張ったのはIBMで2010年10月の水準にまで落ち込んだ。売上が予想を下回ったことを嫌気した。IBMといえばバフェットが筆頭株主で発行株式の5.87%所有する。株価は2013年初めから21%も下落した。現在のPER12倍(予想ベースでは8.7倍)、利回り5.2%とバフェットの基準からすると安心にして保有できる銘柄である。
クラウド時代を迎えIT業界の先行きの構造が大きく転換し、同社もハードからITサービス部門へ事業転換中だが、その成果が業績には示現していない。
しかしバフェットには1年先ではなく3~5年先のIBMの見通しが投資の基準になっている。株価は下落したが利回り5.2%というのは米国債2.07%よりはるかに高いリターンを得ることができる。
市場が評価する基準とバフェットの尺度の違いはことIBMに関しては大きい。現在のIBMの構造改革が成功すれば、IBMはかつてのようにアメリカ企業のシンボル的な存在になるとみる。彼の目にはアマゾン・コム(AMZN)やフエィスブック(FB)よりもIBMの将来は確実につかめるという自信がある。
米国の株式市場が生んだ世紀の投資家だけにその判断は無視できない。同時に株式投資の在り方を教えてくれている。
「私には1年先の相場予想はできない。しかし3年、5年先は予想できる」という信念のあらわれがIBMやコカコーラ(KO)への大量投資に現れている。
反面、指数の動きに大きくアウトパフォームする銘柄もちゃんと選択している。それがIBMの株価の短期的な下落を埋める役目をはたしている。われわれは、その銘柄に大きな関心を払ってきた。

9月を起点にするNY株の反騰局面では日本株は立ち遅れてきた。足元の日米の差を埋めるのは今月下旬から始まる4半期の決算発表である。短期的な企業業績には日本株に魅力のある銘柄が多い。